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奇をてらったわけではないその仕様に

1筐体に2種類のプレーヤーを収めたAstell&Kern「SE200」、世界初の試みの価値は?

2020年07月13日 15時00分更新

いま市場にある中で、最もノイズが少ない
デジタルプレーヤーのひとつという意見

 SE200を手に取ってまず感じたのはデザインの美しさだ。

 Astell&Kernの製品はどれも優れた工業デザインだが、SE200では優美な曲線のシルエットが美しい。特にボリュームホイール周りの曲面が、見る角度によって異なる表情を見せてくれる。そのデザインの巧みさに見入ってしまう。ボリューム付近は、動作状態によってLEDライトが点灯するが、その光がカーブに美しく照り映えるところまでよく計算されている。

 また、底面と上面は新素材を使った鏡面になっている。メインカラーのシルバーと対比をなすところも良い。

 SE200の工業デザイナーは、2種類のDACを搭載する点から、2つの顔を持つローマ神話のヤヌス神をモチーフに選んだというが、デザインと機能がうまくマッチしているように思える。またこうしたいままでの製品とは一風変わったデザインが、形からA&futuraという製品を際立たせているように感じた。

 わりと大柄なボディだが、重さも含めて「A&ultima SP2000」や「KANN CUBE」のように持ち出すのをためらうようなサイズ感ではない。また華々しいDACの仕様に隠れがちだが、SE200では内蔵ストレージの容量が256GBとSE100の倍に増強されている。

 音質については使い始めたばかりでもありファーストインプレッションということになるが、さっそく、いくつかのメリットに気がついた。まず気が付くのはAKM側、ESS側のどちらにしてもとてもS/N感が良く、音が浮き上がって聞こえることだ。これは海外フォーラムHead-FiにアップされたSE200紹介動画で、主宰のJude氏も語っていたが、SE200はこれまでで最もノイズが少ないデジタルプレーヤーのひとつで、どんなイヤホンを使ってもヒスノイズが聞こえにくいということだ。

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 もしかするとこれは、SE200で採用されたノイズフロアを限りなく抑えるという“レーザーグランドエキスパンションテクノロジー”の成果かもしれない。この技術はボディを効率的にGNDに使うことで電気特性を向上させるものらしい。推測だがAstell&Kernがこれまでステンレスボディやカッパーボディで培ってきた研究の成果ではないだろうか。

 またAKM側、ESS側のどちらにしても低音域の深み・豊かさがとてもすぐれている。音の歯切れが良くテンポの速い曲が気持ちいい。プロ用途も考慮した優等生的なA&ultimaとも違うA&futuraならではの躍動感を活かした味付けがあるようにも思える。

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