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奇をてらったわけではないその仕様に

1筐体に2種類のプレーヤーを収めたAstell&Kern「SE200」、世界初の試みの価値は?

2020年07月13日 15時00分更新

2種類のDACが選べるメリットは3つ

 DACが2系統あることについては3つのポイントがある。

 1つ目のポイントは、DACメーカーの違いによる音質の差を楽しめるということだ。DAC ICのみならず、アンプ回路までもDACに合わせて専用設計しているため、個性の違いを味わうことができる。例えば、AKMはナチュラルであり、ESSはドライでシャープなどだ。SE100ではAstell&KernではじめてESSのDACが採用されたが、いままでとの音の違いに気がついたユーザーも多いだろう。

 2つ目のポイントは、据え置き/モバイル用のDACを選べる点だ。AK4499EQはモバイル用途を一切考慮してない音質優先の据え置き用DACであり、ES9068ASは(ESS社の説明からすると)同社2Mラインを継ぐモバイル用途も考慮されたDACであると考えられる。これは連続再生時間に大きく影響する。ES9038PROを搭載したSE100の連続再生時間は11時間であった。SE200でES9068AS利用時は14時間に伸びたが、AK4499EQ利用時は逆に減って10時間しか持たなくなる。再生時間という観点からの選択もできる。これはポータブルオーディオとしては画期的だ。

 3つ目のポイントは、DAC ICが持つ機能の違いだ。ES9068ASはDAC ICでは初めてMQAレンダラー機能を内蔵した。また、AK4499はDSD再生時に専用経路を有する強みがある。MQAに関して言うと、ES9068ASとAK4499EQでMQAファイルをデコードする際の経路は下のブロック図のようになる。緑の部分は96kHzまでのコアデコードで、これはAK4499、ES6098ともCPUを使用する。96kHz以上のフルデコードは右のAK4499EQはCPUを使う。これはいままでのAstell&Kernプレーヤーと同じだ。一方、ES9068ASでは、左のようにDAC IC内のハードウエア(MQAレンダラー)を用いる。ただし、この機能は次のファームウエアアップデートでの対応となるそうだ。

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