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2.5インチSSD「860 QVO」の正統後継シリーズ

8TBで10万円切りもあり得る!?最新SATA接続SSD「870 QVO」をレビュー

2020年07月09日 17時00分更新

データコピー時間からIntelligent TurboWriteの挙動をチェック

 さらにIntelligent TurboWriteの挙動を確認するために、実際のファイルでデータコピー時における速度変化を追ってみた。データは写真50.3GBぶん、動画27.2GBぶんの合計77.5GBのフォルダーを作成し、それをNVMe SSDのCドライブから各SSDへコピーした。

 なお、870 QVOの8TBモデルのSLCキャッシュ容量の最大は78GBなので、一見用意したデータ容量が足りないと思われる人もいるだろう。しかし、実際のコピーではうまくSLCキャッシュされた領域にあたらず高速化が効率良くいかない場合もあるため、ギリギリの容量を用意して複数回試行し、その挙動を探ってみることにしたのだ。

77.5GBぶんのデータを870 QVOの1TBモデル(SLCキャッシュ容量最大42GB)と8TBモデル(SLCキャッシュ容量最大78GB)にコピーした時間

 結果はご覧の通り、試行によって結果はばらついた。8TBモデルはSLCキャッシュ容量が最大78GBと大きいので、コピーしたデータがSLCキャッシュ内にきっちり収まれば2分以下で作業を終えられる。1回目の試行のみ、思惑通りと言ってしまうと語弊が出るかもしれないが、うまくSLCキャッシュにあたらずコピーの終盤に160MB/s程度まで落ちたが、それでも1TBモデルよりは速かった。

 一方で、1TBモデルはいずれの試行でもSLCキャッシュは中盤ぐらいから切れるのだが、うまくSLCキャッシュの領域にあたらないと8分と大幅に遅くなるケースもあった。ゆえに、大量のデータを頻繁にコピーするような使い方をする人は容量的にも速度的にも8TBモデルがオススメと言える。

まとめ:870 QVOはQLC NAND SSDでド定番だった860 QVOの正統後継にふさわしい実力、懸念は日本市場での価格ぐらい

 というわけで、870 QVOのレビューはここで終わりとなる。近年、インターフェースの都合上、速度が頭打ちとなっている2.5インチSATA接続SSDだが、その速度も使っていく内に徐々に低下していくものだ。そのため、新品状態では横並びであっても、なるべく最初の速度を維持できる素性の良い製品を買うべきだろう。

 SSDの低価格化を強く牽引した860 QVOだが、QLC NANDを採用した最初の製品ということもあって不安に思ったユーザーもいたかと思う。しかし、現状では多くのユーザーに支持され、大きな問題も聞こえてこない。その860 QVOをさらにブラッシュアップしてリリースされたのが870 QVOだ。その実力は今回のレビューでも確かなものだと証明された。汎用的なメインストリームのデスクトップPCで使うぶんには何ら問題なく使えるはずだ。

 ひとつ懸念があるとすれば、現状日本市場における発売時期や価格が不明な点。現在、860 QVOの1TBモデルは1万2000円前後、2TBモデルは2万9500円前後、4TBモデルは5万9000円前後と、1TBモデルが最もおいしいGB単価になっているが、果たして870 QVOではどうなるのか。筆者の予想を述べておくと、新製品とは言えどコストパフォーマンスがすべてのストレージ市場において、大きく価格帯を変更することはないと考えている。

 特に今回から加わった8TBモデルは検証でわかった通り、Intelligent TurboWriteが切れた後の速度は1TBモデルよりも良好で、MSRP(Manufacturer’s Suggested Retail Prices=メーカー希望小売価格)は899.99ドル(日本円換算で9万6900円前後)とGB単価が最もお得(1TBモデルは129.99ドル)になる計算なので、多くのユーザーにとってかなり気になる存在だろう。ぜひ、インパクトのある価格設定で登場してもらいたいものだ。

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