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高性能PCならスマホより断然快適!?PCでスマホアプリが動作する「BlueStacks」の機能と性能をガチレビュー

2020年07月20日 11時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII
提供: BlueStacks

最新のRadeon RX 5700 XT搭載PCでは
2年前のゲーミングスマホの3倍の性能に!

 BlueStacksは、スマホよりも高い性能を持つPCで利用できるため、低スペックのスマホでは実現できない、高フレームレートでスマホゲームが遊べる可能性を秘めている。

 エミュレーターは、本来そのシステムを動作させるハードウェア(この場合Android搭載スマホまたはタブレット)とは異なるハードウェア(WindowsまたはmacOS搭載PC)にて、ソフトウェア的に本来のハードウェアの動作をエミュレートする。そのため、Androidの命令をWindowsまたはmacOS用に変換する必要がある。それによるオーバーヘッドは避けられない。

 そうした、動作の遅延は発生するものの、その遅延すらも超える処理速度をPC側が持っていれば、スマホの動作よりも快適になる。BlueStacksにエミュレーター上で動かしたベンチマークソフトは、ある程度信頼できる数値になると伺ったので、3DMarkを用いて、いくつかの環境でスコアーを計測して比較してみた。

 比較用に使用したのは、筆者の自宅のメインPCと、普段仕事で使用している2 in 1ノートPCであるマイクロソフトの「Surface Book 2」。それと、スマホは2018年に発売されたゲーミングスマホの「ROG Phone」にて、クロックをブーストするXモードを使用して計測。

 PCにインストールしたBlueStacksの設定は、「ディスプレイ」が2560×1440ドット、DPIは320にし、エンジン設定はデフォルトのCPUとRAMが「高」に、デバイスは現バージョンでデフォルトに設定されていた「Asus ROG 2」(おそらくROG Phone IIと思われる)で、「高フレームレートを有効にする」にチェックを入れて、フレームレートを240fpsに設定して測定。

 Surface Book 2のみ、CPU内蔵GPU(Intel UHD Graphics 620)と、GeForce GTX 1060を使用した2パターンで計測した。

自作PCは、Ryzen 7 3800Xに内蔵GPUがないため、自動的にビデオカードが使用中になっていたが、Surface Book 2はデフォルトだとCPU内蔵GPUが使用されていたので、dGPUを使用する場合は環境設定の「エンジン」にあるGPU設定で、「専用のコンピュータグラフィックスを使用する」にチェックを付ける必要があった

初期設定の60fpsだと、自作PCのスペックだと頭打ちになってしまうため、最大設定の240fpsに設定。CPUは「高」の4コア、RAMは「高」の4GBにした

検証用PCの主なスペック
PC ジサトラハッチ自作PC Surface Book 2(15)
出力ディスプレー ASUS「ROG STRIX XG32VQR」
(32インチ、2560×1440ドット、144Hz)
15インチ(3240×2160ドット)
CPU AMD「Ryzen 7 3800X」(8コア/16スレッド、3.9GHz~4.5GHz) Intel「Core i7-8650U」(4コア/8スレッド、1.9~4.2GHz)
dGPU ASUS「ROG-STRIX-RX5700XT-O8G-GAMING」
(Radeon RX 5700 XT、8GB GDDR6)
NVIDIA「GeForce GTX 1060」
(6GB GDDR5)
メモリー G.Skill「Trident Z Royal Gold F4-3200C14D-32GTRG」
(DDR4-3200 16GB×2)
16GB(DDR3L-1866)
ストレージ Seagate「FireCuda 520 ZP2000GM30002」
(2TB SSD、NVMe対応/M.2規格/PCI Express Gen4×4接続)
+Western Digital「WD80EFZX-68UW8N0」
(8TB HDD)
(DDR4-3200 16GB×2)
512GB SSD
OS Windows 10 Home(64ビット)
ASUS「ROG Phone(ZS600KL)」の主なスペック
ディスプレー 6インチ(2160×1080ドット、120Hz)
CPU Qualcomm Snapdragon 845(オクタコア、2.96GHz)
GPU Adreno 630
RAM 8GB
ROM 512GB
OS Android 9(Update済)

比較の仕様がないCPUクーラーや電源、性能に直接関係ないインターフェースなどは割愛

 結果は上の図の通り。現行世代の最新CPUでは結果も変わるだろうが、2年前のCore i7の内蔵GPUでも、当時のゲーミングスマホには劣った。一方で、最新のビデオカードであるRadeon RX 5700 XT搭載機と比較した場合、スコアーに3倍ほどの差が生まれた。

 Graphics test 1は、Intel UHD Graphics 620で15.20fpsと低く、ROG Phoneが31.50とまずまず、GeForce GTX 1060で54.40fps、Radeon RX 5700 XTでは140.40fpsと2位のGTX 1060の倍以上という結果に。Sling Shot Extremeは、2560×1440ドット(WQHD)の映像を処理する、高解像度ゲームアプリを想定しているため、このような結果になっているが、Radeon RX 5700 XTはWQHDで快適にゲームをプレイできることを謳っているため、この結果はある程度信ぴょう性の高いものと思われる。

 最後に120fpsに対応しているMinecraftを使って、実ゲームのフレームレートを計測。Radeon搭載のPCでしか使えない方法だが、AMD LINKをインストールしたスマホで、Radeon RX 5700 XTを組み込んだPCと接続。BlueStacksでMincecraftを起動し、フルスクリーンにしてAMD LINKの機能にて平均FPSを計測した。

フルスクリーン表示時なら、AMD LINKのパフォーマンスの「FPS」にてキャプチャーを行ない、フレームレートが計測できる

 結果は平均207fps。Androidエミュレーターでは、スマホでは60fps、120fpsまでしか表示できないゲームが、その上限を超えて表示(内部機能でFPS表示が可能)されることがあるので、BlueStacksにその理由について尋ねた。

 すると、Windowsのプログラムでは、GPU向けにV-Sync(垂直同期)による上限設定があり、その多くは60fpsだが、アプリ側でそれ以上発揮できる場合、BlueStacks側でこのV-syncにおける調整を行なっているとのこと。

 AMD LINKで計測した数値が、BlueStacksで表示している数値とほぼ一致しているため、ゲームが出力できるフレームレートということなのかもしれないが、Radeon Settingsで「垂直リフレッシュを待機」を常にオンにしても、数値がほぼ変わらなかったので、ディスプレーとの同期が効いていないのかもしれない。この辺りは他のAndroidエミュレーターも同じ挙動をするので、結論は控えたい。感覚的には今回使用した「ROG STRIX XG32VQR」が出力できる144Hz貼り付きくらいの動作はしているようだが……。

工夫次第では無限の可能性がある
高い信頼と充実の機能でスマホゲームの楽しめる!

 BlueStacksは、確かなバックボーンを持つ企業が開発し、高い信頼性と充実な機能を有したAndroidエミュレーターだ。頻繁にアップデートも行なわれ、機能性も向上している。60fps以上に正式対応しているゲームはまだかなり少ないが、唯一240fps表示に対応している点も、高性能なPCを持て余している人にはうれしいところ。

 6月に行なわれたWWDC 2020にて、Appleの独自CPU「Apple Silicon」搭載機では、iOSアプリがネイティブのまま動作することが発表された。これまでスマホゲームは、DMM GAMES他、AndAppやShift for docomoなど、数多くのサービスにてPCと連携してきた。そして、ついにあのAppleまでが、独自にPC上でスマホアプリを動作させようとしている。

 中には複数の指でタッチして操作するリズムゲームなど、タッチパネルがないと操作が難しいアプリもあるが、オープンソースのAndroidに提供されている膨大な量のゲームやアプリが、試した限りではほとんどが動作し、不安定どころかスマホよりも快適に動作するのは、確かな技術力のなせる業だ。

 ユーザーの中には、高解像度&大画面でゲームを表示し、迫力ある美しい映像で動画配信したりと、BlueStacksならではの使い方で楽しむ人もいる。ユーザーの使い方次第ではいろんな可能性、利便性があるので、自宅にPCがあって大画面のディスプレーやテレビを使って楽しめる環境があるのなら、一度は試してみてはどうだろうか。

(提供:BlueStacks)

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