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圧倒的な没入感が得られるというスピーカー「SA-Z1」を自宅で聞いてみた

2020年06月16日 17時00分更新

新しい音楽体験を感じてほしい

 最後に、冒頭で書いた3つのテーマに対する個人的な結論を。ニアフィールドでも部屋の影響は受ける。しかし、その対処を部屋全体に施すよりは、だいぶ現実的である。また、緻密に作られた製品だけに、設置方法や周囲の音の反射にもシビアなので、それなりに配慮する必要があった。その点では、使い込みや追い込みの楽しさも感じられる製品だ。

 ただし、ハイエンドのスピーカーシステムとは異なる性格を持ち、それを置き換える製品でもない。体験の質そのものが違うので、比較自体が適切でなかったと反省した。これもまた適切ではないかもしれないが、少し感じたのは、RAAL requisiteの「SR-1a」ような非常に高解像度なイヤースピーカーに、前方のハッキリとした音像定位が加わった製品かもしれないなということ。至近距離に緻密な空間ができ上がる感覚が新鮮だ。

 一方で「究極の解像感」や「目の前に広がるステージ感」、そして「これまでにない音楽体験」といったうたい文句は、偽りなし。机の上にコンサートホールのステージが立体的に浮き上がる体験は、従来のデスクトップ再生とは数段上の次元のものと言ってもよく、アクティブスピーカーの立ち位置を変える力を持っている。

 そして何より、規格外に振り切ったコンセプトを形にして世の中に出してくれたことに驚かされ、感謝したくなる製品だ。

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