昨今、PCゲームの人気が日本でも高まってきており、それに伴ってゲーミングPCの需要も増えている。ゲーミングPCといえば、重要視されるのがPCのスペック。CPUにGPU、メモリー、ストレージなど、最新のPCゲームをプレイするには一定のスペックが求められる。結果、PCゲームに興味を持てば、必然的にPC自体に関する知識もある程度は必要になってくる。
「今まではGPUなんて聞いたこともなかった」という人も、ゲームを契機にPCのスペックに関心を持つ、なんて機会はここ数年でかなり増えているのではないだろうか。
ではどんな分野でゲーミングPC並みのスペックを要求されるのか? お察しの方もいるだろうが、それは「クリエイター」の分野だ。デジタルイラスト、映像編集、3DCG、あるいはゲーム開発など、コンテンツを楽しむ側だけでなく、コンテンツを作る側もPCのスペックを要求される。
ここ数年、CPUにおいては7nmプロセスをいち早く導入し、コア/スレッド数が多く、コスパにも優れるということで、AMDの「Ryzen」、「Radeon」が注目を集めている。
時にはゲームを遊ぶことよりも高いPCスペックを必要とするクリエイターの分野でも同様で、「Ryzen」や「Radeon」を搭載したプロのクリエイター向けのスペックを厳選した映像・CG制作プロダクションモデルのPCを、各BTOメーカーを通じて展開するという。
今回のプロダクションモデルに関しては、「それいけ!アンパンマン」や「名探偵コナン」、「ルパン三世」など、国民的人気アニメを手掛けているトムス・エンタテインメント(以下、トムス)の社内システムデジタル化推進において、AMDとPCパーツ製造販売のCFD販売で協力し、制作用途に合わせたスペック別のモデルを用意。
トムスの子会社で「ルパン三世 カリオストロの城」を制作したアニメ制作会社、テレコム・アニメーションフィルム(以下、テレコム) 美術部のPCに、新たに最新のRyzenとRadeonを搭載したPCを導入している。
また、2017年夏にトムス子会社のマーザ・アニメーションプラネット株式会社(以下、マーザ)出身者によって設立されたCGアニメーション制作会社Quebicoにも、AMDはRyzen/Radeon搭載PCにてシステム協力を行なっており、「トムス(Quebico)」「テレコム」で使用しているモデルをベースに計4モデルを販売していくとのこと。
近年PC市場でも人気の高いAMDのCPU・GPUであるが、映像制作スタジオに向けたPCモデル展開にはどういった経緯があるのか、また、実際に導入した制作現場でどのような変化があったのか。トムス デジタル推進部 部長の伊東耕平氏と、AMDの森本竜英氏に、まずお話を伺ってみた。
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