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AMDが映像プロダクション向けPCを展開

「ルパン三世」シリーズのスタジオであるテレコムと、AMDが選定したアニメ制作用PCとは

2020年06月26日 11時00分更新

背景美術スタッフ目線で実際の効率は体感で2倍以上
テレワークでも重宝

テレコム・アニメーションフィルム 美術部 山子泰弘氏(左)、大貫雄司氏(右)

 最後に、実際に提供された機材を使用して業務を行なっているクリエイターからの声として、テレコム美術部の山子氏と大貫氏の両名からも、お話を伺うことができた。


――AMDさんの新しいPCを使ってみて、前のPCと比べてどういった作業がどれくらい快適になったと感じましたか?

大貫氏:私はPhotoshopを使っているのですが、以前のPCと比べて圧倒的に速いので、明らかに作業効率は上がりましたね。かなりサイズが大きい最近のアニメ作品の参考資料のPhotoshopファイルも多く開けますし、ブラシのレタッチ作業も遅延が全くないので、非常に助かっています。

 以前のPCがメモリー16GBだったのですが、今回提供して頂いているPCではメモリーが64GBになっています。16GBだと、今のアニメーション用の画像データだとほぼ容量いっぱい使ってしまうので、メモリーの増設というのは以前から課題ではあったのですが、今回メモリー容量が増えたことで作業しやすくなりました。

山子氏:作業的に、2DのPhotoshopの作業と、Modoなどを使った3DCGの作業を並行してやっているのですが、複数のソフトを同時に立ち上げる際に、以前だと重くてPCが落ちてしまうこともあったのですが、今のPCはスペックが高いので、レスポンスも早くて作業も快適ですね。

 また以前のPCはストレージがHDDだったんですが、今回提供して頂いたモデルはPCIe Gen4のSSD(※BTOで展開するモデルはGen3のものも有り)に変わったことで、容量の多い作業データなどの保存・読み出しも格段に速くなったのがありがたいです。背景美術の作業をしているので、1枚の画像ファイルの容量がとても大きくなる場合もあるため、ストレージの速度が速いと快適です。

実際の作業中のイメージ

――CPUやGPUについては、何か変化を感じる部分などはありましたでしょうか。

山子氏:Photoshopでの作業ですとそれほど影響はないのですが、Modoは以前のPCだと動かないので、スペックアップしたRyzenやRadeonを搭載した新しいPCの恩恵が大きいと感じています。


――数値化するのは難しいと思いますが、PCが変わったことによって作業スピードが感覚的にどれくらい速くなったなどありますか。

大貫氏:以前は、クラウドにデータをアップロードしながらPhotoshopなどを触ると、どうしても動作が重くなってしまうこともあったのですが、そういったマルチタスク作業でも、ものによっては体感で2倍くらいには速くなっているように感じます。

山子氏:最近はテレワークの影響で、クラウドやPhotoshopも使いつつ、Skypeなど複数の仕事用のソフトなども同時に起動していますが全くストレスはないですし、2倍といわず3倍くらい効率が上がっているように感じます。またPCが落ちる心配もしなく、ストレスがないのは精神的にもありがたいです。


――コア数が多く、マルチタスクでも快適なRyzenの強みが生かされている形ですね。

山子氏:私たちの場合は、重ければ1GBくらいになる画像をたくさん表示させたうえで作業していくので、PCのスペックが低ければかなりストレスになっていたと思います。

大貫氏:以前のPCでは3DCGソフトを動かすのは無理があるので、3Dを扱う際はわざわざ別のPCで作業していたのですが、今回のPCでは1台ですべてできるので、あちこち使い分ける必要がなくて非常に助かっています。

作業中の画面の様子。左に複数の画像を表示させながら、中央で作業をしている

パーツ選定は小規模な映像プロダクションのためのこだわりも

 今回、BTOメーカーを通じて展開する映像・CG制作プロダクションモデルは、実際に商用のコンテンツを制作するテレコムとAMDで、各作業工程で必要なスペックを協議し、ストレスなく作業が可能で、かつオーバースペックになりすぎないように、しっかりとパーツの選定がなされている。

 アニメ会社としては、テレコムやトムスの規模は比較的大きいため、会社としての体力はある方だが、業界全体としてはそういった会社ばかりではない。今回の取り組みにおいては、作業の質を担保しつつ、かつコストのバランスも考慮することで、小規模なアニメ制作スタジオなどでもなるべく導入しやすく、業務の負担も減らせるモデルを提供していければという狙いがあるそうだ。

 また、昨今増えているフリーランスで活躍するクリエイターにとっても、実際にコンテンツ制作の現場を知る実績のあるスタジオがスペックを選定したモデルというのは、安心感のあるモデルと言えるのではないだろうか。

 なお、本稿で紹介した映像・CG制作プロダクションモデルの発売時期は6月26日を予定している。詳細については後日発表予定なので、続報に注目してほしい。

(提供:AMD JAPAN)

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