接続できる機器はかなり多彩、操作性も考えられている
音質機能については「HP-Z1ES」から受け継いだ、標準から一気に8倍のレートに変換できるオーバーサンプリング機能、CDや圧縮音源で失われた高音域の補完ができる「DSEE HX」アップスケーリング機能、入力されたPCM信号を11.2MHz相当のDSD信号に変換する「DSDリマスタリングエンジン」などを搭載する。
合計でデジタル2系統、アナログ3系統の入力を持つ。側面には最大22.4MHzのDSDと768kHz/32bitのPCMに対応したUSB入力(角型のUSB B端子)、最大11.2MHzのDSDと384kHz/32bitのPCMに対応したウォークマン接続用端子(Micro-USB+固定穴)、最大96kHzの光デジタル入力端子、アナログのステレオミニ端子を装備。背面にはアナログバランス入力(XLR)と、アナログアンバランス入力(RCA)を持つ。また、標準ではボリュームコントロールを持つ側を右側に置くことを想定しているが、左右を反転して設置したい場合に信号を切り替えるスイッチもある。
本体サイズは横幅が最大199mm、奥行きが326mm、高さが207mmまたは205mm(左右で異なる)、重さは片側10,5kg。本体には、USB B/USB Type-Cケーブルが付属する。
“本当のステージ感”を追究、妥協という言葉とは無縁の成果
ソニーのニアフィールドスピーカーというと、2015年発表の「CAS-1」を思い出す人がいるかもしれないが、開発メンバーは異なる。CAS-1が目指していたのはデスクトップに“箱庭”的な音の空間を作るもの。対するSA-Z1は、机に置いて聴く位置で広さのある“本当のステージ”を生み出したいという発想で作られたものだという。
数百万円のオーディオシステムを専用ルームで聴くのと同等の体験が、限られたスペースでも、ウォークマンやPCとUSBケーブル1本で接続するだけの手軽さで手入る。ローエンドについては50Hzほどということで、大型のフロア型スピーカーにはおよばない面もあるが、低域の量感には目をつぶり、中音・高音の解像感や抜けの良さだけに注目するのなら、1000万円クラスのシステムに匹敵する音が鳴っていると言っても大げさではないかもしれない。
いずれにしても、半端なものを作りたくないという開発者の気概がヒシヒシと伝わってくる製品に仕上がっている。一切の妥協を許さなかった反面、デスクトップオーディオとしては、異例の価格になったSA-Z1だが、そのこだわり抜いたコンセプトと圧倒的な再生能力に触れると、その価値が納得できるはずだ。
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