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ソニー、究極の解像感と定位感を両立したニアフィールドスピーカー「SA-Z1」

2020年05月28日 13時00分更新

16chものアンプを独立制御し、完璧なタイムアラインメントを追究

 SA-Z1は、最大22.4MHzのDSD音源と最大786kHz/32bitのPCM音源に対応。この信号をFPGAを使って処理し、「D.A.ハイブリッドアンプ」に送る。

 D.A.ハイブリッドアンプは 、デジタルアンプの「S-Master HX」に、補正用のアナログ回路を追加したものだ。この仕組みは、Signatureシリーズのヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」でも用いているが、SA-Z1では、S-Master HXの最終段に使っていたMOS-FETを、新素材(窒化ガリウム)の半導体「GaN-FET」に変更した。MOS-FETは性能上の限界で、大出力で高速動作させると信号がなまってしまう。これを補正するのが、D.A.ハイブリッドアンプだが、GaN-FETはMOS-FETより反応速度が速いので、もともとの誤差をより低く抑えられる。

基板。右下の大きなチップがプログラム可能なFPGAだ。S-Masterのパルス信号の生成に加え、タイムアラインメントの調整やDSDリマスターエンジンの処理などを担当する。なお、DSEE HXやオーバーサンプリング処理は別基板のDSPを使用するようだ。

 GaN-FETを採用したアンプはすでに市場に出ているが、開発時点で公式に100kHzまでの再生をうたっている機種はなく、ソニーが初めてとのことだ。

 SA-Z1ではこのD.A.ハイブリッドアンプを合計16chも利用している。メインウーファー、アシストウーファー、メインツィーター、アシストツィーターをそれぞれ2つずつのD.A.ハイブリッドアンプで独立して駆動。これが左右にあるため、合計で16chになる。

 SA-Z1はメインウーファーの前にI-ARRAY SYSTEMのツィーターが置かれる構造だが、これらの発音タイミングをFPGAで厳密にコントロールし、波面のタイムアラインメントを揃えるようにしている。またマルチアンプ駆動で、アンプからの信号を高域と低域に分けるネットワーク回路も持たないため、ウーファーが駆動することで生じた電力がネットワーク回路を伝ってツィーターに逆流してくる悪影響も防げる。

【参考】D.A. ハイブリッドアンプの仕組み

S-Master HXで生成したパルス信号を、S-Master HXで増幅する前に、アナログ回路にも出力。これをS-Master HXの増幅段で生成した信号と比較して誤差を検出。この誤差信号を逆位相にした誤差訂正信号を作り、S-Master HXで増幅した信号に足し合わせる(フィードフォワード処理する)ことで、元の理想的な信号に近づける。MOS-FETの性能限界から、大出力にすると信号の立ち上がり、立ち下がりが遅れ、波形に誤差が生じる。

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