16chものアンプを独立制御し、完璧なタイムアラインメントを追究
SA-Z1は、最大22.4MHzのDSD音源と最大786kHz/32bitのPCM音源に対応。この信号をFPGAを使って処理し、「D.A.ハイブリッドアンプ」に送る。
D.A.ハイブリッドアンプは 、デジタルアンプの「S-Master HX」に、補正用のアナログ回路を追加したものだ。この仕組みは、Signatureシリーズのヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」でも用いているが、SA-Z1では、S-Master HXの最終段に使っていたMOS-FETを、新素材(窒化ガリウム)の半導体「GaN-FET」に変更した。MOS-FETは性能上の限界で、大出力で高速動作させると信号がなまってしまう。これを補正するのが、D.A.ハイブリッドアンプだが、GaN-FETはMOS-FETより反応速度が速いので、もともとの誤差をより低く抑えられる。
GaN-FETを採用したアンプはすでに市場に出ているが、開発時点で公式に100kHzまでの再生をうたっている機種はなく、ソニーが初めてとのことだ。
SA-Z1ではこのD.A.ハイブリッドアンプを合計16chも利用している。メインウーファー、アシストウーファー、メインツィーター、アシストツィーターをそれぞれ2つずつのD.A.ハイブリッドアンプで独立して駆動。これが左右にあるため、合計で16chになる。
SA-Z1はメインウーファーの前にI-ARRAY SYSTEMのツィーターが置かれる構造だが、これらの発音タイミングをFPGAで厳密にコントロールし、波面のタイムアラインメントを揃えるようにしている。またマルチアンプ駆動で、アンプからの信号を高域と低域に分けるネットワーク回路も持たないため、ウーファーが駆動することで生じた電力がネットワーク回路を伝ってツィーターに逆流してくる悪影響も防げる。
【参考】D.A. ハイブリッドアンプの仕組み
S-Master HXで生成したパルス信号を、S-Master HXで増幅する前に、アナログ回路にも出力。これをS-Master HXの増幅段で生成した信号と比較して誤差を検出。この誤差信号を逆位相にした誤差訂正信号を作り、S-Master HXで増幅した信号に足し合わせる(フィードフォワード処理する)ことで、元の理想的な信号に近づける。MOS-FETの性能限界から、大出力にすると信号の立ち上がり、立ち下がりが遅れ、波形に誤差が生じる。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります