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Comet Lake-Sことインテル第10世代Coreを第3世代Ryzenや第9世代Coreと比較!

Core i9-10900KとCore i7-10700K、Core i5-10600Kの性能を速攻検証

2020年05月20日 22時00分更新

前モデルHT解禁による論理コア数増とクロック増が大きな特徴

 では、今回入手した第10世代Coreプロセッサーのスペックを紹介しながら、注目すべきポイントを解説していきたい。

今回検証する第10世代Coreプロセッサーとそれに対応する第9世代Coreプロセッサーのスペック比較。なお、価格は初出価格で比較したいため、第10世代Coreプロセッサーは予約受付がスタートした2020年5月14日時点、第9世代Coreプロセッサーは2018年10月9日時点の予約価格とした

モニタリングツール「CPU-Z」を利用して、今回検証に使用したCore i9-10900Kの情報を拾ってみた

同様にCore i7-10700Kの情報

これはCore i5-10600Kの情報

●ポイント1:コア数とHT解放

 第10世代Coreプロセッサーは昨今のCPUトレンドであるコア数が増加した。最上位のCore i9ブランドは物理10コアになった点に目を奪われがちだが、全モデルでハイパー・スレッディング(以下、HT)が有効になったことのほうに注目したい。

 つまり、Core i7は8コア/8スレッドから8コア/16スレッドへ、Core i5は6コア/6スレッドから6コア/12スレッドへ、論理コア数が倍になったため、マルチスレッド処理が重要な処理では相応の性能アップが期待できる。ライバルAMDの製品群と比較すると、最上位のCore i9-10900Kは10コア/20スレッド止まりなのは残念なところだが、Core i5/i7では(未発売だがCore i3も)Ryzenとコア/スレッド数で真っ向から殴り合う形となった。

●ポイント2:TBM3.0やTVBの実装

 第10世代Coreプロセッサーの上位モデルでは、従来の「Intel Turbo Boost Technology 2.0」(以下、TB2.0)に加えてさらにクロックを高めるブースト機能が2つ追加された。まずCore X(初出はBroadwell-E)シリーズに搭載されている「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0」(以下、TBM3.0)はCore i9とCore i7に搭載され、TB2.0時よりも1 bin(CPU倍率+1倍)高いクロックでの動作が可能になる。

 さらに、Core i9(T付きモデルを除く)には、ノートPC向けのCore i9(第8世代Coreプロセッサーから)に先行して組み込まれていた「Intel Thermal Velocity Boost Technology」(以下、TVB)も実装され、TBM3.0時の最大クロックよりもさらに1 bin高いクロックを提供する。Core i9-10900Kの場合、TB2.0時では最大5.1GHz動作となるが、TBM3.0が効いて5.2GHz、さらにTVBが発動すれば5.3GHzというように最大クロックが引き上げられる。TVBはさらに全コアブースト時のクロックも1 bin引き上げる効果もある。

 TBM3.0とTVBの動作のカギとなるのは、第10世代CoreプロセッサーのCore i9/i7が持つ“特に優秀な2コア”だ。Core i9/i7環境でクロックを引き上げて性能を稼ごうという場面では、この優秀な2コアが使われる。

 この優秀な2コアはCPUの個体ごとに異なるため、BIOSもしくはWindows上のツール(CPU-ZやIntel Extreme Tuning Utilityなど)で確認できる。Skylake-XなどのTBM3.0はOSに常駐するユーティリティーが必須だったが、第10世代Coreプロセッサーに対応するインテル400シリーズチップセット搭載マザーボードでは、このユーティリティーは不要(マザーボードのドライバーDVDにも収録されない)となった点は朗報と言えるだろう。

ASUSのマザーボード「ROG MAXIMUS XII EXTREME」では、「CPU Power Management Control」でコアごとの最大倍率(Favored Core Ratio)が確認できる。図の場合はCore 0とCore 9が53倍になっていることから、これが優秀なコアであることがわかる

CPU-Zの最新版(Ver.1.92.0.x64)では、Toolsメニューから呼び出す「Clocks」を開くと赤い文字で書かれているコアが確認でき、それが優秀なコアを示す。図はCore i9-10900KのCore #0が53倍(5.3GHz)を示しているが、5.3GHzはCore #0か#9以外では発現することはない

同様にCore i7-10700Kの場合。TBM3.0に対応しているので赤く表示されるコアを確認できた

TBM3.0に対応しないCore i5-10600Kの場合は、赤文字のコアは存在しない

IXTUこと「Intel Extreme Tuning Utility」では「Advanced Tuning」→「Core」の「Ratio/Voltage Tuning Mode」を「Per-Core」にすると確認できる。優秀なコアには★マークが付与される。ただし、現行バージョン(6.5.2.38)ではCore i5にも★が付いてしまう不具合がある

ちなみに、モニタリングツール「HWiNFO」(v6.27-4170)では、RyzenやThreadripperシリーズのコアにハードコードされた性能の順位(perf #とあるもの)を判別できるが、第10世代Coreプロセッサーの優秀なコアの判別には対応していない

●ポイント3:K付きモデルのTDPは125Wへ増加

 第10世代Coreプロセッサーはコア数とクロックが上昇したのに伴い、K付きモデルのTDPは従来の95Wから125Wへ大幅に引き上げられた。TDP125Wと言えば、全コア5GHz動作を謳った「Core i9-9900KS」のTDPが127Wであった。Core i9-9900KSのレビューでは、360mmラジエーターを備えた簡易水冷CPUクーラーと組み合わせても、全力で回すとCPUパッケージ温度が一瞬で100度に到達してしまうことを報告した。そうなると、TDP125WのCore i9-10900Kでも360mmラジエーターは必須……と考えてしまうだろう。

 しかし、結論から言うと発熱に関してはCore i9-9900KSよりもやや大人しくなっている。実際CPUのPower Limitを無制限にしていても、動画エンコードやCGレンダリング処理でも280mmラジエーターの簡易水冷環境でサーマルスロットリングが出ることはなかった(このあたりは後日改めてデータを交えて検証する)。ただし、負荷テストツール「Prime95」のSmallFFTのような超高負荷なシーンだと280mmラジエーターでは追い付かない現実もある。

 Core i9-9900KまではPower Limitのことなどあまり考えずに運用できていたのに、今回から考慮が必要になったというのは14nmを使い続けた第10世代Coreプロセッサーの苦しい部分と言える。

●ポイント4:上位モデルはDDR4-2933に対応

 第10世代CoreプロセッサーではCore i9/i7はDDR4-2933まで正式対応となった。RyzenのようにInfinity Fabricのクロックとメモリークロックが同期しているわけではないので、メモリークロックの向上が劇的な性能向上に結びつかないのがCoreプロセッサーの特性ではあるが、メモリー帯域が効くアプリ(例:FINAL FANTASY XIV)では嬉しい変更点だ。

 ただし、DDR4メモリーの実勢価格を見ると、第3世代Ryzenで需要の増えたDDR4-3200のほうがDDR-2933よりも安く出回っているという現実がある。そのため、第10世代Coreプロセッサーを使って1台PCを組む際は、DDR4-3200を選ぶべきだろう。もちろん、定格より上の運用となる(つまり、OC動作になる)ため、BIOSでメモリークロックをDDR4-2933に変更するか、良質なメモリー&マザーボードを組み合わせてDDR4-3200でOC運用するか、の2択となる。特に後者を選ぶならショップ独自の交換保証などもうまく利用すると良いだろう。

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