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在宅が増えると、新しいプリント需要が生まれる面も、セイコーエプソンの2019年度決算から

2020年05月07日 09時00分更新

 現在、セイコーエプソンは、2021年度を最終年度とする「Epson 25 第2期中期経営計画」を推進している。

 小川社長は、「中期経営計画の基本方針に変更はない」とし、「資産の最大活用と協業およびオープンイノベーションによる成長加速」、「本社からのコントロールによるグローバルオペレーションの強化」、「経済環境や戦略の実効性を踏まえた規律ある経営資源の投入」という3つの方針を掲げる一方、「大容量インクタンクモデルや、オフィス共有インクジェットプリンタなどの戦略商品の販売拡大を継続させると同時に、従来のエプソンでは実現できなかったような新たな成長分野での販売拡大が、2020年度の基本方針になる」と語る。

 そのなかで、拡大しつつある先進国における大容量インクタンクモデルの認知度向上に取り組む姿勢をみせる。

 「本体価格で選択するのではなく、生涯の印刷コストを比較してプリンタを選択することが当たり前になるように、TCOを訴求する一方、熱を使わないインク吐出技術である『Heat-Free Technology』など、環境性能の訴求も強化する」と、大容量インクタンクモデルのメリットを積極的に訴求する考えだ。

 そして、「これらの取り組みは、オフィス共有インクジェットプリンタの拡大にもつながる。ディーラー各社と、インクジェットプリンタの価値訴求を行うとともに、ラインアップの継続的な強化に取り組む。さらに、サブスクリプション型サービスの拡大をはじめとして、エプソン商品を使うユーザーと直接つながることで、次なる打ち手につなげるなど、顧客接点の強化にこれまで以上に取り組む」と語る。

 2019年度は、インクジェットプリンタ全体で、約1570万台を出荷。そのうち、約1000万台を大容量インクタンクモデルが占める。先進国でも、大容量インクタンクモデルの構成比は上昇しつつある。

 一方で、これまでエプソンでは実現できなかったような新たな成長分野での販売拡大としては、商業/産業インクジェットプリンタにおけるプリントヘッド外販ビジネスの拡大のほか、この領域におけるエプソンブランドの完成品事業において、高生産性領域でのラインアップ強化を進めるとともに、ソフトウェアソリューションを組み合わせて提供することで、分散印刷などの提案を加速することになるという。

 新型コロナウイルスによってビジネス環境は厳しい状況にある。しかも、終息したあとの社会は、これまでとは異なる常識が定着することが想定される。そのなかで、企業が生き残り、成長するためにはどんな手を打つのか。セイコーエプソンは、その模索を開始している。

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