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多機能と高音質、アナログ技術や真空管にこだわった製品

Wi-Fiスピーカーへの印象を改めるとき、iFi-Audioの「AURORA」は感激の音

2020年04月22日 15時14分更新

6つのスピーカーを巧みに駆動、操作はタッチセンサーで

 ハードウェアについて少し見ていこう。

 本体のサイズは幅590×奥行き280×高さ270mmで、重量は15kg。本体は木製だが、側面に竹材をスリッド状に配置している。それを三角錐のようなアルミフレームで持ち上げ、チルトした状態で3点支持する。なかなか斬新な構造だ。

AURORA

 デザインを担当したJulien Haziza氏は、日本の建築家である伴茂氏や安藤忠雄氏、そして表参道や原宿の風景にインスピレーションを受けたという。一見、奇抜に見えるデザインだが、部屋の中でも浮かない。竹や木材の質感自体はナチュラルであるため、置く場所が洋室でも和室でも主張しすぎず、自然に調和する。

 操作にはリモコンまたは前面のタッチセンサーを使う。上部は有機ELディスプレーになっており、入力切り替えやモード切り替えの際に、最低限光る仕様だ。小さいが明るく、離れた場所からも十分視認できる。入力の切り替え時に文字だけでなく、端子と同じ形のアイコンが表示されるのも親切な設計だ。

有機ELディスプレーは分かりやすいアイコンを交えて状態を表示。その右にほのかに光る真空管が見える。タッチセンサーは最上段が機能の呼び出し、中段が各種ソースの切り替え、最下段が電源と音量調節となっている。

 ボリュームは、3列あるタッチセンサーのうち、一番下のラインを指でなぞることで調節可能。表示するLEDの数で音の大小が直感的に分かる仕組みになっている。

写真のように一番下のタッチセンサー部を横になぞることで音量の調節ができる。

 ドライバーユニットは直径120mmと大きめのユニットを前面に2つと側面に2つ、直径28mmと小さいユニットを左右のコーナー付近に配置している。さらに下側に向けて2つのパッシブラジエーターを装備する(パッシブラジエーターにはiFiロゴがあしらわれている)。また、背面の中央に1組、左右外側に向けてそれぞれ1組のマイクを装備。この6つのマイクを使い、超音波の反射を計測し、周囲の壁や遮蔽物までの距離を計測する。

竹のスリッドからドライバーがのぞき見える。このドライバーもかなりこだわったものだ。

パッシブラジエーターは下向きに配置。持ち運ぶ際には手で触れないように注意したい。

部屋に最適な音を得る独自技術もありがたい

 AURORAは「Automatic Room TAILORING」(ART)という部屋の環境に合わせたチューニング機能を装備しており、反射による影響が出やすい低音の量を調節する。部屋の環境(広い場所、狭い場所)や設置場所(壁際やコーナーなど)に合わせた再生音が自動で得られるわけだ。

 また、「SoundSpace」という音場を広げる機能や「TrueBass」という2段階(オフを含めると3段階)で低音の量を増強できる機能も持っている。これらすべてがアナログ処理になっているのは、iFi-Audioのこだわりだ。言葉で書くのは簡単だが、6つのドライバーと2つのパッシブラジエーターの細かい制御を、複雑になりがちなアナログの回路で実現すると考えると、なかなか手の込んだ仕様と言えるだろう。

 DSPなどを使うデジタル処理で生じる信号の欠落を嫌ったものだという。ARTの計測処理にはARMコアのCortex 32bitプロセッサーを使用するが、その結果はアナログ素子のコントロールのためだけに使い、DACから出力されたアナログ信号を再度A/D変換したりはしない。

マイクは後方に向けた2基と、左右に向けた2基×2の合計6基を備える。

 なお、電源については3極の電源ケーブルを使う方法とは別に、DC12Vの入力も持っており、バッテリーを用意すればコンセントのない場所でも利用できるとしている。DC12Vであれば、自動車のシガーソケットなどと接続する使い方も考えられそうだ。

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