週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

クラウド技術を活用、食べ終わったら自動で掃除、どの席でもラーメンタイマーが稼働

お腹もスマホも「同時にチャージ」、エースコックの無人ラーメン店が渋谷駅に

2020年02月13日 09時00分更新

交換補充のタイミングにクラウド技術をフル活用

 さらに、バックヤードとの連動も行っている。

 無人店舗内のラーメンモッチッチの専用棚や、給湯カウンターのお湯、割り箸、飲料水なども、イシダの計量ソリューションで残り数量をバックヤードのタブレットなどに表示。交換や補充のタイミングがわかる。

 この仕組みのベースとなっている日本マイクロソフトの「Smart Store」は、Microsoft Azureをベースに開発した流通小売業向けソリューションだ。

 リファレンスアーキテクチャーとして、決済機能などの業界共通の機能を提供するほか、複数のソリューションを柔軟に組み合わせることが可能であり、短期間にシステム稼働につなげられるのが特徴だ。モッチッチステーションの運用および管理システムも約1ヵ月で開発。Microsoft Azureと、イシダの計量ソリューションとの連携によって、店内備品の在庫管理やマーケティング分析をするのに加えて、ブラーバの動作においても、クラウド連携を行っている。

カップラーメンは技術のかたまり

 日本マイクロソフトでは、「今回の取り組みは、Smart Storeリファレンスアーキテクチャーを活用してもらえる貴重な機会。これを活用することで、短期間かつ低コストに、クラウドやAIを活用したインテリジェントな無人店舗を、これまで店舗ビジネスを手がけていないエースコックが開設できた。流通業界のインテリジェント化に向けた事例でもあり、ここで得たデータをもとに、将来的には商品開発などにも活用できる可能性がある。今後、小売業における新規ビジネスの開発などに役立ててもらえるように取り組む」と述べた。

取材対応中のエースコック村岡寛社長

 また、エースコックの村岡寛社長は、「カップラーメンは技術の固まりである。クラウドやロボット掃除機といった最新テクノロジーとコラボレーションすることによって、新たなカップラーメンを知ってもらう機会を作るとともに、新たなテクノロジーにも取り組む企業であることを訴求したいと考えた。今回の無人店舗は、社員が生んだアイデアである。感度の高い人たちに訪れてもらい、いままでにない店であることに驚いてもらい、新たな商品を食べてもらうきっかけにしたい」とした。

 また、「これまでにも、工場における品質管理にマイクロソフトのソリューションを活用したり、安定した商品づくりのためにイシダの計測ソリューションを活用している。今回の取り組みは、直営店への展開とは異なり、プロモーションのひとつに留まるものだが、新たなテクノロジーの活用例のひとつとして、今後に生かしていきたい」とした。

開店前には、ロボット掃除機「ルンバi7+」が店内を自動清掃する

 ちなみに、村岡社長の自宅では、アイロボットのルンバを使用しており、村岡社長にとっては見慣れたロボット掃除機が、毎日、モッチッチステーションを掃除することになる。

少子化でも微増推移のカップ麺市場

 「人口減少や少子高齢化で、即席めんのターゲットが減っていくと予測されている。しかし、実際には減少していない。2019年は価格改定もあり、前年比1%減となったが、ずっと微増傾向である。これは、日本において、新たな商品が生まれたり、驚くようなイベントやプロモーションをしたり、キャラクターとのコラボレーションで購入する機会を作るといったような、業界全体で市場を活性化する動きがあるからだ。そして、新たな商品は一度食べてもらっても、裏切らない味ばかりである。各社がそうした意識を持って競争をしている」(村岡社長)

 また、「エースコックは、スープ春雨を使った低カロリー商品が人気であり、女性にも高い人気がある。即席めんは、男性や若い人たちが中心の需要であり、焼きそばはその最たるものだった。だが、モッチッチでは、女性が食べやすい焼きそばを商品化し、人気を博した。今回の新製品もその延長線上である」(同氏)と、今後の即席めんの市場拡大にも意欲をみせた。

 2月14日のモッチッチステーションのオープン日には、「バレンタインデー〈レディースデー〉キャンペーン」を実施。当日、アンケートに回答した先着200人の女性来場者に、「焼そばモッチッチ」を1個プレゼントする。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう