機動戦士ガンダム40周年プロジェクトととして、実物大ガンダムを動かすために進められてきた「GUNDAM GLOBAL CHALLENGE」。その集大成となるのが今年の夏、横浜の山下埠頭にて実施される「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」だ。今回バンダイナムコ未来研究所で発表会が開催され、展示されるガンダムについての解説や実施要項が発表された。
この秋から1年、横浜の山下埠頭で動くガンダムが見られる!
GUNDAM FACTORY YOKOHAMAは、今年10月1日から来年10月3日まで、横浜の山下埠頭にて開催される。営業時間は10~21時で、時期によって異なる。入場は有料で、チケットは7月から販売開始予定となっており、料金などは決定次第発表される。また10月のオープンに先駆け、今年の7月と8月の土日に「GUNDAM FACTORY YOKOHAMAスペシャルエクスペリエンス」と銘打ってプレオープンされる。その時期は最終調整作業中となり、ガンダム自体は可動しないが、製作の様子などを見ることができる。こちらのチケットは4月から発売予定だ。
実際の展示スペースは「GUNDAM-DOCK」と呼ばれる動くガンダムのエリアと、「GUNDAM-LAB」という展示スペースに分かれている。前者には15~18mの高さから動くガンダムを見る「GUNDAM-DOCK TOWER」が設置され、その観覧デッキからガンダムを見ることもできる。GUNDAM-LABはガンダムカフェやガンダムベース横浜のサテライトショップのほか、製作過程や動く仕組みを展示するアカデミー、イベントやトークショーが開かれるカンファレンスルームが設けられる。
今回のGUNDAM FACTORY YOKOHAMAについてガンダムGLOBAL CHALLENGE代表理事の宮河恭夫氏は「夢を持ち続けること」「可能性に挑むこと」「課題を発見し、それを克服して進化すること」の3つをテーマとして掲げ、このガンダムの前で夢や技術、あるいは街作りや教育などについて語るような場となれば、大きな成果となると語った。
多数の企業や大学が今の技術でのガンダム作りで協力
カッコいい動きをするロボットへのチャレンジに期待
実際に動くガンダムについてはガンダムGLOBAL CHALLENGE テクニカルディレクターの石井啓範氏から解説され、実物大ガンダムがガンダムらしく動くことを目的としたプロジェクトとして、さまざまな分野のテクニカルパートナーが、今ある技術で実現可能であり、安全性に配慮した形で製作されていると語られた。
ガンダム本体は全長18mで、可動フレームは鋼鉄製、外装にはカーボン樹脂が取り付けられる。ガンダム自体の重さは25トン。関節自由度はハンドを除いて24自由度を実現しており、アクチュエータはすべて電動だ。モータ+減速機と電動シリンダーを併用し、大きなトルクがかかる関節は電動シリンダーが使用されている。
また安全性に配慮し、ガンダムの腰から後ろを支持し、GUNDAM-CARRIERと名付けられた支持台車に接続されることで転倒安全性を確保している。また、雨、塩害、地震、台風といった天災を踏まえて設計されており、人は乗ることができず、制御は遠隔操作となっている。
技術監修は早稲田大学の橋本周司名誉教授と中京大学工学部ピトヨ・ハルトノ教授が携わり、テクニカルパートナーとして下記の企業が参画している。
・ガンダム本体デザイン・演出、フレーム・外装パーツ:乃村工藝社
・モーションプログラム制御システム:アスラテック
・GUNDAM-DOCK、GUNDAM-LAB建築施工:川田工業
・GUNDAM-CARRIERE:住友重機械搬送システム
・ガンダム本体ハンド:ココロ
・ガンダム本体減速機:ナブテスコ
・ガンダム本体モータ・制御装置:安川電機
・ガンダム本体電気配線:三笠製作所
・試験施設・試験技術:前田建設工業
さらにGGCリサーチオープンシミュレータが公開されたことが発表された。開発に携わった東京大学大学院情報理工学系研究科の岡田 慧教授は、ゲームのようなシミュレーション環境でプログラムを作り、それを実際のロボットに適用することでロボットの動きが実現されるとし、オープンな環境で提供することで、世界中でかっこいい動きをするロボットを作りたい、感情が伝わるロボットを作りたいとコメントした。
岡田教授は「実際の研究では、現実のロボットに携わるうちにその稼働の限界に気づいてしまい、カッコよさよりも動くことを優先してしまう。そうした研究者がロボットを作りたいと思った初心に返り、今回のガンダムから将来にわたって何回もチャレンジするためのプラットフォームにしたい」と語った。
GGCリサーチオープンシミュレータは公式サイトにて公開されており、無償で使用することができる。
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