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メンブレン派は絶対チェック!1万円以下で大満足のゲーミングキーボード『G213』

2016年11月06日 09時00分更新

 PCゲーマーはマウスやキーボードなど、インプットデバイスにもこだわるもの。インプットデバイスの質のせいで入力の取りこぼしが発生すれば、最終的には自分の負けにつながってしまう。もちろん普通のデバイスでもゲームは楽しめるが、より高速で正確な入力が期待できれば、ゲームはより快適になるのだ。

 しかし、付加価値山盛りのゲーミングデバイスは基本的に高価で、高級ゲーミングキーボードともなれば、1枚2万円程度の出費は避けられない。さらにキーボードの場合、マウスよりも使い手によって好みが大きく分かれるため、高価=使いやすいとは限らない。特に大きく好みが分かれるのがスイッチの方式だ。高付加価値な製品では主にメカニカルキーが使われるが、打鍵時のカチカチ音やキーの重さが苦手という理由で敬遠する人も少なくない。一方タッチがソフトで打鍵音も静かなメンブレンキーは、主にコストを落とした安価な製品で使われることが多く、ゲーミング向けの製品に採用されることは少ないのが現状だ。

 必然、メンブレン派のゲーマーはキーボードの選択に困りがちなのだが、今回紹介するロジクール製のUSBゲーミングキーボード『G213 Prodigy RGBゲーミングキーボード』は、メンブレンキーを採用して実売価格を9000円前後に抑えつつ、マクロや発光機能など高級キーボードに近い要素を備えた製品だ。

G213
↑ゲーミングキーボードで実売9000円前後という低価格を実現しながら、付加価値を詰め込めるだけ詰め込んだ『G213 Prodigy RGBゲーミングキーボード』。接続はUSBのみ。

 G213の見所はパームレスト一体型の薄型ボディーと、簡易的防水機構の施されたメンブレンキーの組み合わせ。ゲーミングキーボードで定番のメカニカルキーはスイッチ機構のぶんだけ全高が高くなる傾向にあるが、本製品は最前部で8mm、一番奥のESCキーのキートップまで約33mm(スタンドを閉じた状態の実測値)しかない。背の高いキーボードだと手首に余計な負担がかかりやすくなるが、G213はその点非常に楽にタイピングできる。

 ただし、パームレストは本体と一体成形になっているため、設置には少なくとも23cm以上のスペース(本体の奥行き+ケーブル基部の長さ)が必要な点は数少ない欠点と言える。

G213
↑キー配列はごくスタンダードなJIS配列。これまでに似た配列のキーボードを使っていたのなら、スッと移行できるだろう。
G213
↑裏のデザインもスッキリとまとまっているが、パームレストまで底面が一体化している点に注目。つまりパームレスト風の部分は絶対に分離できない。
G213
↑薄いキーボードは手首の負担が少ないので長時間打鍵する人にオススメ。スタンドを立てることで、後部を15mm程度持ち上げられる。
G213

 キーの方式はメンブレンだが、柱状のキーキャップが本体フレームに深く入り込むプランジャー方式を採用しているため、打鍵時はキーがブレずにスコンと下に押し込める。キーストロークの公称値は2.8mm±0.4mmと、メカニカルの定番CHERRY MXに比べると1mm以上浅く作ってあるが、G213はほぼ底までしっかり押さないと打鍵として判定されない(CHERRY MXは2mm程度押し下げれば反応する)。ちょっと押した程度では暴発しにくく、「カコカコとした感触を味わえないと打鍵した気にならない!」 という人向けの設計とも言えるだろう。

G213
↑キーピッチは標準的な19mm、かな刻印はないのでスッキリとしている。文字は太めで視認しやすい点も◎だ。

 ちなみにG213のポーリングレートは1000Hzと高い。125Hz仕様の安物キーボードと比べると、レスポンスタイムが8msから1msに減るため、素早い入力を的確に捉えられる。とはいえ、前述の通りキーの反応点が深めなので、高速打鍵にはあまり寄与しない気がする。本当に高速打鍵したい人は、Romer-Gスイッチを備える同社の「G810」などの上位モデルを選ぶべきだろう。

 しかし、プランジャー型のメンブレンキー採用により、水分やゴミが内部に入り込みにくく耐久性が増したというメリットがある。ドリンクやお菓子を飲み食いしながらゲームをする人にはかなりうれしい付加価値だろう。ただし、キーキャップの柱を受ける部分にクリアランスはあまりないため、糖分を含んだ液体をこぼすのはあまりオススメできない。

G213
↑キートップの受けが基部より盛り上がり、さらに柱状に立ち上がっているため、少々水分をこぼしても液体が内部に入り込みにくい。ただキーが水没するような量だと防げないのは明らかなので、少量の水分に対する防御程度の認識でいよう。

 G213の右上コーナー部分には、OSの音量ボリューム調整やメディア制御キーなど、ロジクール製ゲーミングキーボードらしい特殊なボタン類が配置されている。上位機種ではローラー式ボリュームだったものがG213では単なるボタンなのは明らかなコストダウンだが、筆者にはこちらの方がずっと使い安く感じた。

 また、G213の発光機能のオン・オフや有効時にWinキーが無効化されるゲームモードへの切り替えボタンも用意されている。

G213
↑右上コーナー部分にあるメディア制御やボリューム調整ボタン。ゲーム中に電話がかかってきても、パッとミュートできるのはありがたい。
G213
↑太陽のアイコンはバックライトのオン・オフ(輝度調整はできない)、ジョイスティックアイコンは特定のキーの動作を殺すゲームモードのオン・オフ。F12キーの上の白色LEDでゲームモードの状態がわかるようになっている。

 G213は、特別なドライバーがなくともUSBポートに挿すだけで利用できる。だが、バックライトの発光色の調整やファンクションキーにマクロを割り当てる機能、ゲームモード時に無効化されるキーの変更といった設定をする場合は、専用ユーティリティー『Gaming Software』の導入が必要だ。ロジクールのサイトからダウンロードして使うのだが、原稿執筆時点では日本語版でなく、本家Logitechのサイトに飛ばされ英語版が落ちてくるようになっていた。見ればわかる設計になっているので、臆さず導入しよう。

 発光色やパターンをキー1つ単位で設定できる高級モデルに比べると、G213はキー全体を最大4つのエリアに分割して色分けするだけのシンプルなもの。価格が安い分仕方のない部分だが、メンブレン式ゲーミングキーボードとしては結構気合いが入っている。ゲームする気分を盛り上げるために積極的に使っていこう。

G213
↑バックライトの発光パターンの選択。デフォルトはキー全体が同じ色で発光する設定。右下の「Effect Selection」でパターン(点滅や虹色変化など)を選択する。ロジクール製のマウスやヘッドセットと発光を同期させることも可能だ。
G213
↑左下で『FreeStyle Mode』を選択すると、キーボードを大きく4つのエリアに分割し、それぞれに色を割り当てることができる。特定のゲーム(アプリ)と発光色をリンクさせたい場合は、右上の「>>」をクリックする。
G213
↑4分割発光した状態(左)と全体発光した状態(右)。輝度はゲームをする時にまぶしく感じない程度に抑えられている。
G213
G213
↑ゲームモードで無効化されるキーを編集する画面。上のProfilesにゲームを登録しておけば、そのゲームの時だけ無効化するキーを変更できる。英語版のユーティリティーでも、画面上はちゃーんと日本語JIS配列になっている。
G213
↑G213にはマクロ専用キーはないが、F1からF12までのキーをマクロキーとして利用できる。ゲームにおける典型的な操作(クイックチャットでヒールを要請する、など)が“ゲームタイトル別に”登録されているので、うまく利用しよう。
G213
↑標準のマクロでは物足りなければ、自分で追加・編集してしまおう。特定のキーストロークを登録したり、マウスボタンの代わりにさせるなど、一通りの機能が備わっている。
G213
↑打鍵頻度の高いキーを可視化する機能もある。使っているようで使っていないキーを発見したり、使用頻度の高いキーを集める時に役立つはずだ。

 最近はメンブレンでもクリック感のある変態スイッチも出現しているが、やはりメンブレンはスコッとした柔らかい打鍵感と静かさがあってこそ。メンブレン派は絶対チェックすべき製品と言えるだろう。メンブレンでも発光するキーボードはあるが、バックライトは単色が基本。メンブレンの世界にもRGB LEDを持ち込んだという点で、G213はちょっと背伸びをしたいメンブレン派にぴったりの製品だ。

 高級モデルに比べると機能は絞られているが、マクロ機能や最大10キーまでの同時押し対応など、ゲーミングキーボードとして欲しい機能は一通り備えている。値段だけ見るとメンブレン式のゲーミングキーボードとしてはやや高めな印象を受けるG213だが、マクロ機能を備えたゲーミングキーボード入門としては非常に優秀な製品である。

■関連サイト
『G213 Prodigy RGBゲーミングキーボード』製品ページ

 

 

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