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池澤あやかの自由研究:HackCars Days 2015で、ヒトとクルマの一歩進んだ関係を考える

2015年10月19日 21時00分更新

文● 池澤あやか 取材●中山智 編集●鈴木誠史/ASCII

 こんにちは、池澤です。先日わたしは「ヒトとクルマの一歩進んだ関係」を考えるハッカソン「HackCars Days 2015」に審査員として参加しました。なんとこのハッカソンはトヨタ、マツダ、富士重工の自動車会社3社が会社の垣根を超えて手を組んで企画しています。自動車業界をあげて、常に新しいテクノロジーを追い求めているんですね!

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 その熱意に申し分なく、このハッカソンはクルマの未来を感じるような作品がザックザクでした。今回はそんな作品レポートをたっぷりとお届けしたいと思います!

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クルマ × ハッカソン?

 「クルマのハッカソンって、クルマのどこをハックするつもり?」と思われるかもしれません。実は技術が発展してきた今だからこそ、クルマのハックはやれることがたくさんあります。

 スマホやタブレット端末が普及し、カーナビ以外の端末にアプリケーションを載せることができますし、音声操作の性能が良くなったことやクルマの走行データが取得できるAPI(トヨタITC クルマ情報Web API)が公開されたことも、クルマハックのいい後押しになっているのではないかと思います。

 今回のハッカソンに参加したのは全部で11チーム! 3日間という短いスケジュールで、アイディア出しから実装、プレゼンテーション、他の参加者との懇親までこなします。なかなかのハードスケジュールで大変です。

作品のご紹介!

 そんな渾身の作品の数々をザザザとさらっていきたいと思います!

 まずは「O'dear」。野生動物と出会ったという情報を周辺のクルマにプッシュ通知をするサービス。ヒトと野生動物との接触事故の件数は意外に多いそうです。こういったサービスがあれば、ドライバーが動物の出現した地域をドライブする際に気をつけて運転するようになるかもしれませんね。

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 続いて「怒りの俺ーダー」。危険運転を諌めるガジェット&アプリです。怪しげなガジェット・マックスくんを車のダッシュボード上に置いておくことで、急発進・急停車などの危険運転をした際に、マックスくんが滑り落ちて車体を傷つけます。

 また、アプリと連動し、周囲に危険運転をしていることを通知してしまうのだそう! 名前からしてちょっとネタ臭がただよう本作品、全く期待を裏切りませんでした!!

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 ドンドン行きますよ! 続いては「ワクワク安心ドライブコンシェルジュ」。レンタカーを使って旅行する外国人旅行者のためのカーナビゲーションシステムです。

 確かにこの視点は、今までありそうでなかったかもしれませんね。「穴場、感動スポット案内」「ドライブ中の安心・安全の確保」「記録に残す」の3つの機能の搭載を考えているみたいです。

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 続いては「T子とその製作者たち」。運転模様を記録してくれるスコアボードです。スコアに応じて、T子というキャラクターが褒めたり叱ったりしてくれるそうです。

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 「ガ車ポン」は、災害派遣のための車両監視システムおよび監視用デバイスです。実際の災害時に災害派遣の車がどうしても不足がちになってしまうことに目をつけたそうです。

 OBDコネクターにこのデバイスを接続するだけで、その車両が災害派遣用の車として利用できるようになります。実際の体験を元にしているということもあり、あるととても役立ちそうですね!

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 続いては「SMART Drive あしす子」。目の前のトラックやバスが大きいために2台前の車のブレーキランプが見えない問題、通称「2台目問題」を、Bluetoothを使ったV2Vで解決してしまおうというものです。

 こういう「小さな問題かもしれないけど、実際ちょっと困る」ようなアイディアがでるのもハッカソンならではだなと感じました。小さいミニカーを使ったデモが印象的でした。

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 「"HIMHER"」はクルマをアプリケーションによってキャラクター化し、ヒトとクルマの新しい関係性をめざした作品です。ドアの開閉や洗車の回数、ドライビングデータを蓄積することで、クルマの感じた幸福感を可視化すると、ヒトとクルマの新しい関係が気付けるのではないかと提案しています。

 例えば、クルマを買い換えるとき、アプリで「終了ボタン」を押すと、クルマが持ち主とのこれまでの思い出を語ったりするらしいです。買い換えにくいわ!(笑)

 でも、こういう機能があったら、本当に新しい関係が生まれそうですね。チームにエンジニアがいなかったため、アイディアがいいだけに今回はコンセプトのみというのが少し残念でした!

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 「Car Selfie」は停車した車のセルフィーを撮ってくれるサービス。景色のいいところに「Car Selfie」のシステムがあれば、記念写真に苦労しなくなって嬉しいですね!

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 続いては「いつCOM?」。行きたいお店の混雑具合が分かるサービスです。そのお店の駐車場にあるギア状態の情報で混雑具合を取得しているみたいです。

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 「TERIYAKI TAXI」は海外出張でのタクシー乗車の不安を取り除くためのシステムです。ドライバーの事前認証システムや最短ルートから算出された自動事前決済によって、安心安全に海外出張でタクシーを使えるようになるそう。講評では「あれ、これってUber X……!?」という指摘が審査員の山寺さんから入ってしまいました。

 ハッカソンとはいえ、事前下調べも重要かもしれません。

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 そして最後に、今回の最優秀賞を受賞したのがこのチーム「DoRoad」! 道路にドライバーの感情をマッピングするアプリケーションです。

 快・不快をセンシングしてマップにマッピングすることで、どの道路でドライブするのが一番気持ちよくドライブできるのかを知ることができます。

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 混雑状況をマッピングするナビゲーションアプリは多いですが、こういう感情をマッピングするのは新しいですよね。また、これらの感情情報を車内の音楽や香りに反映させることで、ドライバーの気持ち良いドライブをアシストすることもできるそうです。「なんだそれ!体験してみたい!」と思ってしまうようなアプリケーションでした。

 最優秀賞おめでとうございます!

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 ハッカソンの醍醐味は、「企業では出さないだろうけどあったら面白い」企画が出ることだと思います。今回はそんな提案がたくさんあり、とても楽しめました! 特に、最優秀賞にはさすが「体験してみたい!」と思わされました。

 以上、「HackCars Days 2015」作品レポートでした。

 女優の池澤あやかさんは慶應義塾大学 環境情報学部(SFC)卒の才媛で、プログラミングができる特技を生かして独自の立ち位置で大活躍中! 特に好きな言語であるRuby界では女神と呼ばれています。プログラミングの楽しさを紹介する初の単独著書、『アイディアを実現させる最高のツール プログラミングをはじめよう』(大和書房)が販売中。

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