9月4日からドイツ・ベルリンで開催中のIFA 2015では、新製品が続々と登場しています。その中でも気になるのは、日本でも冬モデルとして発売予定のフラグシップスマホ『Xperia Z5』ではないでしょうか。
従来モデルが順当に進化したXperia Z5や、コンパクト版『Xperia Z5 Compact』もさることながら、世界初という4K画面を搭載した『Xperia Z5 Premium』の存在感は圧倒的ともいえるもの。なぜ4Kなのか、そもそも4Kを載せて大丈夫なのかなど、疑問の尽きない端末です。
Xperia Z5シリーズが3モデル一挙発表ということもあり、ソニーブースは大盛況となっていた。 |
今回はIFA会場で見かけたこの3機種を比較してみたいと思います。
世界初の4Kスマホながら“バランス重視”のZ5 Premium
3モデルの中でも特に目を引くのが、世界初という4K画面を搭載したXperia Z5 Premiumです。これまでにも4Kの動画を撮影したり、4Kのテレビに出力できるモデルはありましたが、スマホの画面自体が4Kになったのは初めてです。
PCでさえ、4Kはまだそれほど普及していないのに、スマホに搭載しても大丈夫なのでしょうか。ソニーモバイルによれば、すべての画面を4Kで描画しているわけではないとのこと。液晶自体は4Kながら、メールやSNSなどのアプリではフルHDの描画を4Kに拡大表示することで、消費電力を抑えているとしています。
ホーム画面を始め、4Kが必要ないところではフルHDの画像を拡大表示している。 |
一方、写真や動画の描画は4Kを用いています。もちろん、スマホ向けの4Kコンテンツというのはまだあまり存在していないものの、YouTubeのHD(720p)やフルHD(1080p)の動画であっても、4Kにアップスケール表示することで、画質は明らかに向上するとの説明でした。また、出先で撮った4K動画をモバイルでそのまま確認できるのもメリットとしています。
このようにZ5 Premiumは、状況に応じて4KとフルHDを適切に切り替えることで、バッテリー消費と高画質のバランスを取っていることが分かります。4Kスマホというコンセプトを最初に聞いたとき「さすがに早すぎるのでは?」と感じたものの、実用性を高める工夫には素直に感心しました。
ただ、5.5インチという画面サイズには不満を覚えます。せっかくの4Kなら、もっと大画面でも良かったのではないでしょうか。ここで思い出されるのは、いまだに後継機種が出ていない6.4インチの『Xperia Z Ultra』です。ソニーモバイルも、Z Ultraを求める声が多いことは認めつつも、今回は持ちやすいサイズを優先したとしています。
しっとり落ち着いたデザインのZ5
前モデルと同じ5.2インチ画面のXperia Z5は、メインストリームの端末として人気が出そうです。画面はZ4と同じフルHDを採用し、他社のハイエンドスマホがWQHD(2K)に進化する中、ソニーモバイルではコンテンツとの整合性から、2Kを見送っています。たしかにコンテンツはHDからフルHD、4Kへと進化しており、WQHDは中途半端なサイズです。
5.2インチという画面サイズでは、フルHDは十分な解像度といえます。むしろ一部のWQHD端末のように、もっさり感がないのは嬉しいところです。Z4では大きな問題になった発熱も、ハードとソフトの両面から対策を施したとしています。
Z5ではデザインのテイストも少し変わっています。生活に馴染むことを重視し、落ち着いた色合いを採用、自己主張は控えめになっています。背面はマットな質感のフロストガラスを採用したことで、ガラスでありながらしっとり、すべすべした感触です。
Xperia Z5、Z5 Compactでは生活に馴染むデザインを優先したという。ただしPremiumはメタリックで派手派手な外装を採用。 |
フロストガラスを採用したことで落ち着いた質感に。しっとりしていて触り心地が良い。 |
使い勝手の面で大きく変化したのが、指紋センサーです。Z5世代では3機種が共通して電源ボタンに指紋センサーを搭載し、指を添えるだけで画面ロックを解除できるようになりました。
問題があるとすれば、卓上に置いた状態でロック解除しようとするときです。特にXperia Z5は本体が薄いため、電源ボタンにどう指を当てるか悩ましいところ。実機で試したところ、指紋を登録するときに指先を重点的に当てることで、認識しやすくなる印象がありました。同じ指の指紋を複数回登録することもできるため、試行錯誤したいところです。
机に置いた状態では指紋センサーが押しにくい。この点ではiPhoneやGalaxyのほうが便利ではないだろうか。 |
厚ぼったい本体にやや不安を覚えるZ5 Compact
日本はもちろん、欧州でも人気が高いというプレミアムコンパクトとして、Z5 Compactも登場しました。画面は4.6インチ・HDと従来モデルを踏襲しており、あまり新鮮味はないものの、電源ボタンには指紋センサー搭載、カメラは他のZ5と同じくαシリーズの技術でセンサーとレンズを一新するなど、中身は強化されています。
ただ、Z5 Compactの厚さはかなり気になります。バッテリー容量や防水性能の違いはあるとはいえ、サムスンのGalaxy A3のように4.5インチでありながら7mmを切る端末を見た後では、Z5 Compactの8.9mmは数年前の端末ではないかと思うほどです。
8.9mmという厚さが気になるZ5 Compact。メモリーが2GBであること以外、基本性能はZ5やZ5 Premiumと共通だ。 |
さらにZ5 Compactは、Z3 Compactのように上位モデルをそのまま小型化したデザインとは異なり、のっぺりした外周デザインを採用しています。このデザインにより、数字以上に厚ぼったさが強調されている印象を受けます。
廉価モデルならともかく、プレミアムをそのままコンパクトにするという位置付けの端末としては、ちょっと厳しいレベルに達しているのではないかと思えてきます。実際の使用感は高く、冬モデルの人気機種のひとつになることは間違いないものの、次はもう一段の薄型化を期待したいところです。
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