ソニーと投資会社WiLのジョイントベンチャー、Qrioの『Qrio SmartLock』がついにクラウドファンディングのユーザー向けに出荷が開始されました。イトーが注文したモノも手元に届いたので早速自宅に装着。その過程や使用感をレポートしていきましょう。
Qrio SmartLockの特徴は、本体が小型で設置面積をとらないこと。ねじ止め不要で粘着シートで装着できるのは競合機種と同じですが、設置(接着)面積が小さくて済むため、設置可能なドアの自由度が比較的高めです。
前説はササッと終わらせて、早速本題に。
届いた製品の外箱がこちら。
SmartLockはQrioとして初の製品ですが、設計・製造をソニーが受け持っているだけあって、梱包の外観も非常にこだわっていることがわかります。
僕が受け取った製品には、箱に付属のリチウム電池2本以外に、もう1組のリチウム電池が付属していました。
開封したところ。分厚めの白い不織布にくるまれたものがQrio SmartLock本体。アンパックしたときのイイモノ感はなかなかのものです。
不織布から取り出したところ。手と比べると、サイズ自体はさほど大きくないですが、内部にモーター機構があるので重量は見た目以上にずっしりしています。
側面から見ると、パーティングラインがあることがわかります。ラインの左側の表面はアルミ素材、右側は樹脂素材ですが色がちゃんと合わせてあります。カバーを外すと、電池パックが両側に2本ずつ。片側は予備バッテリーで、2組合わせて1000日間の動作をうたっています。
初期設定:iPhoneのように説明書なし!今風のIoT感ある専用アプリ
Qrioにはいわゆる紙の取り付けマニュアルはなし。取り付け説明は、アプリの中でチュートリアル的に解説があり、そのとおりに作業していくことで取り付け完了まで進められる形です。この辺のUXの思想はよくできてて感心します。
1)アプリをストアからダウンロード(iOS版、Android版)
2)SmartLockをオーナー登録する
登録はコードの入力などは必要なし。箱に付属のQRコードをアプリからスキャンして登録
3)”ロックの設置”手順に沿って取り付け作業開始
ドアへの取り付けとセッティング:めちゃくちゃ簡単
国内メーカー/海外メーカー問わず、「自宅のドアに本当に取り付くのか?」は試してみないとわからないところ。Qrioの場合、調整機構は3つで
・サムターン部分の受け口のアタッチメント(S/M/L)
・サムターン部分の高さ調節機構
・接着部分のベースの高さを変える上げ底パーツ(2段階)
という部分が調整できます。
イトーの自宅のドア(MIWAロック)の場合、サムターンアタッチメントはMサイズがぴったり。ただし高さが合わなかったので、本体の上げ底パーツを1つ装着。また、サムターンの高さ調節は8割ほど伸ばした状態で装着することに。
装着の難易度は低く、初めてでも30分はかかりません。
コツとしてはモーターの回転軸とドアロックの回転軸をなるべくセンターに合わせること。Qrio本体のサムターン受け部分にセンターが多少ズレても吸収できるような機構が備わってますが、回転軸のセンターを合わせたほうが回転時の抵抗が減りスムーズに回るようになります。
こんな具合に接着せずに手で仮止めして、ツマミを手で回して一番スムーズに回る位置探します。良い場所がみつかったら、その場所を覚えておき、接着面の汚れを拭きます。 |
接着位置がナナメにズレたりしないように、鉛筆などでマーキングしておいてもいいですね。 |
僕の場合は自宅に自動車整備用のパーツクリーナーがあったので、念のためドア側の接着面と、Qrio側の接着面をそれぞれ脱脂しておきます(パーツクリーナーの溶剤でドア表面のコーティングなどに影響する場合があるので自己責任で)。
付属の粘着シートをQrio側に貼り付け、粘着シートをはがして先ほどの位置へ。マニュアルによれば30秒ほど強く押し付け、その後1分ほど接着の安定のために放置。装着は以上!簡単です。
接着完了したら、最後にサムターン周囲に半透明の円筒保護パーツを装着。この適当なパーツもいちいち成型クオリティが高いです。 |
使用感:自宅の玄関ドアがホテルみたいになった!
まず開け閉めしてみます。最初の一回の開け閉めはワクワクしますね。
QrioはBluetoothで開錠する仕組みで、本体にWiFiは内蔵していません。この点が、現状のできること・できないことに多少影響してます。整理しておくと、こんな具合です。
できること
・ドア近辺(BLE圏内)でスマホから開錠する
・ドアの開け閉めログの確認
・他ユーザーへの時限鍵の提供
・オートロック機能(最大60秒)
・2台のQrioを同時に動かす(鍵が2つある家向け)
できないこと
・ネット経由での開け閉めログの確認
・遠隔地からの開け閉め
・ドア近辺での自動ロック解除
僕が開錠に使っているXperia Z3の場合、
1)玄関ドアの前まで来る
↓
2)スマホを取り出してアプリ起動し、アンロック操作
↓
3)Qrio本体の認識し、やや待って開錠
というながれです。操作全体の実質所用時間は15〜20秒といったところ。3)の本体の認識がやや待たされる印象です。
端末との相性的な問題(かBLEの感度)かは不明ですが、たまにQrio本体の検出をミスるときがあるので、その場合はBluetoothをオンオフしたり、Qrioのアプリ自体を再起動させたりといった操作が入ります。これはちょっと面倒さを感じます。
一方、明らかに便利だと感じるのは「オートロック」機能。
自宅ドアがホテルみたいに!一定時間経つと自分が何もしなくても「ピピッ」と鳴って鍵が勝手にしまるのはかなりハイテクな感じ。ただ、うっかり締め出されないようにの注意は必要ですけどね。
また、ソーシャル経由で何人かから聞かれましたが、鍵を2段階に回すロックに対応しているか?は「イトー宅のロックは大丈夫でした」。開ける角度は初期設定時に決められるので、常識的な回転角であれば、問題になりそうなのはモーターの回転トルクのみ。トルクは十分で、まったく問題ありません。
朗報!「自動ロック解除」は9月中対応、「ネット経由でのログ表示」も検討
ということで、現時点の仕様でいうと、「鍵を出さずに開錠できる」「カバンの中で迷子の鍵をごそごそ探す必要がなくなる」あたりがメリット。「素早く開けられること、ストレスなく開けられること」には、あと半歩という感じ。
ただし、「素早く開けられる」を改善するのはそんなに難しいことではないハズです。Qrio本体のBLE受信圏内に入ったら「自動ロック解除」する機能を付ければいいわけです。認証に多少時間がかかっても、これなら鍵を出すより早く開錠できるでしょう。
オートロックと組み合わせれば、相当快適になる感触があります。
「ネット経由でのログ表示」は「え、ログ機能あるでしょ?」と思う人もいるかもしれませんが、Qrioは「WiFi非搭載」という点がポイントなんですね。ログ表示はできても、データが同期されるのはQrio本体と通信したときです。つまり、旅先や仕事場などの遠隔地から鍵の状態を確認することは、今の仕様ではできません。
WiFi機能を後付け追加するのはコストがかかるので、ここはやや工夫が必要。たとえばQrioアプリにクラウド同期機能を付けて、自宅の使ってないタブレットなんかを玄関そばに置いておいてブリッジさせる、という方法が思い浮かびます。
もっとも、この2つの改善点はおそらくメーカー側も把握済みで発売しているという気がしますね。
……と思って早速Qrioに問い合わせてみたところ↓
・自動ロック解除については9月中頃のアップデート対応予定(!)
・クラウド経由での鍵の状態確認は今後対応の予定ですが、時期は未定
by Qrio広報
自動ロック解除対応はすぐにも来そうです。これは期待できますよ。
設置の自由度、価格、デザイン(これ大事です)含め、かなりポテンシャルの高さを感じました。アプリもこれからもっと進化していくでしょう。スマートロックを使ってみたい人には、満足度高い買い物だと感じました。
●関連サイト
Qrio Smart Lock製品ページ
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