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1万7800円の最安級SIMフリーモバイルルーター『AC785』はテザリングでコスパ最強説

2015年07月25日 10時00分更新

 格安SIMとSIMフリースマホの登場によって、ここ数年モバイルアクセス環境は飛躍的に向上している。テザリング機能を活用してスマホをモバイルルーター代わりに利用する人も多いはずだ。

 しかし、スマホをモバイルルーター代わりに使うとさまざまな問題に直面する。まず、最も大きいのがバッテリー駆動時間だ。モバイル回線とWiFiを同時に利用するテザリング機能は、バッテリー消費が大きい。もちろん、スマホではOSやアプリが裏で動作し、定期的なデータ通信も行なわれているので、それらによるバッテリー消費もある。さらに、低価格SIMフリースマホはバッテリー容量が少ないものが多い。そのため、テザリング利用時はみるみるうちにバッテリーが減っていってしまう場合が少なくない。また、中にはテザリング利用時に発熱などで動作が不安定になる場合もある。つまり、スマホをモバイルルーター代わりとして利用するのは結構リスクがあるのだ。

NETGEAR
スマホのテザリングは便利だが、バッテリー消費が激しく、機種によっては不安定になることもある。

 そこでオススメしたいのが、専用機であるモバイルルーターと格安SIMの組み合わせだ。モバイル回線に対応するモバイルルーターはWiFi機器を接続し、モバイル回線を通じてインターネットアクセスさせることを前提に開発されていることもあり、常に安定して活用できる。また、長時間利用することも考慮されており、バッテリー駆動時間も十分に長い製品がほとんどだ。加えて、単体で市販されているモバイル回線対応のモバイルルーターは、ほとんどの製品がSIMフリー仕様で、格安SIMとの組み合わせで利用できる。はっきり言って、格安SIMフリースマホをモバイルルーター代わりに利用するよりも、圧倒的に快適に使えるのだ。

 そういったモバイル回線に対応するモバイルルーターとして現在最も注目の製品が、NETGEARが発売している『AirCard LTE対応 SIMフリー モバイルホットスポット AC785』(AC785)だ。本体サイズは109.9(W)×68.9(D)×14.6(H)mmと、手のひらにすっぽり収まるコンパクトさで、重量も127gと軽量。小型スマホに近いサイズ感で、カバンなどに余裕で収納して持ち運べる。バッテリー駆動時間は連続通信時間が10時間、連続待機時間が300時間と十分に長い。外出先でインターネットアクセスする場合でも、1日の外出であればまずバッテリー切れの心配はない。

NETGEAR
NETGEARが発売するLTE対応のSIMフリーモバイルルーター『AirCard LTE対応 SIMフリー モバイルホットスポット AC785』。
NETGEAR
小型スマホに近いサイズで、重量も軽く、持ち運びも苦にならない。

 AC785はLTE/3G対応のモバイルルーターだ。モバイル通信側の仕様は、LTEがバンド1(2100MHz)、3(1800MHz)、5(850MHz)、6(800MHz)、9(1700MHz)、19(800MHz)、21(1500MHz)をサポート。3Gはバンド1(2100MHz)、9(1700MHz)、19(800MHz)をサポートする。NTTドコモネットワーク対応のSIMのみのサポートとなるが、現時点でNTTドコモがサポートするすべての周波数帯域に対応(今後サービス開始予定のバンド28(700MHz)は非対応)しており、もちろんNTTドコモMVNOの格安SIMもフル活用できる。なお、LTEの通信速度はカテゴリー4対応(キャリアアグリゲーション非対応)のため、最大150Mbpsとなる。また、対応するSIMカードの形状はマイクロSIMだ。

 WiFi側の仕様も充実しており、2.4GHz帯のIEEE802.11b/g/nと5GHz帯のIEEE802.11a/nをサポート。日本国内の屋外では5GHz帯域WiFiは利用できないが、室内で活用する場合は安定して利用できるのが5GHz帯WiFiの魅力だ。加えて、アンテナが2×2仕様で最大300Mbpsの高速通信に対応する点も便利。そして、WiFiで接続できる機器は最大15台と非常に豊富な点も嬉しい部分で、スマホのテザリングと比較してもはるかに柔軟な運用が可能と言える。

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LTE対応で最大150Mbpsの高速データ通信が可能。対応SIMはマイクロSIMだ。
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WiFiはIEEE802.11a/b/g/nに対応。2.4GHz帯だけでなく5GHz帯にも対応し、安定した通信が可能。

 そして、使い勝手に優れる点も特徴だ。AC785本体には1.77インチのカラー液晶が搭載され、本体側面のボタンを利用して接続設定の確認や、WiFi設定の変更などが行なえる。とはいえ、この液晶画面で設定できる項目はそれほど多くなく、基本的な設定の多くはWiFi接続したPCやタブレット、スマホでWeb設定メニューにアクセスして行なうことになる。取り付けたSIMの接続設定などもそちらで行なう。

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本体には1.77インチの液晶を備え、接続設定の確認やWiFiの設定などが行なえる。
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上部側面に電源ボタンと操作ボタンがあり、液晶画面のメニュー操作などを行なう。
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下部側面には充電用のマイクロUSB端子がある。

 しかし、実はより簡単に本体設定が行なえる手段が用意されている。それが、スマホやタブレット向けの設定アプリ『NETGEAR AirCard』だ。iOS向けとAndroid向けにアプリが用意され、それぞれの対応端末からAC785にWiFi接続した状態でアプリを起動すれば、簡単に各種設定が行なえる。また、モバイル通信のデータ通信量や、WiFiの接続機機数なども簡単に確認できる。特に、AC785本体をカバンに入れたままでも、スマホやタブレットの画面でそれら情報を確認できる点は使っていて非常に便利に感じた。

 ただ、せっかく手軽に設定が行なえるアプリが用意されているにもかかわらず、SIMのAPN設定が簡略化されていない点は少々残念に感じる。国内主要MVNOのAPNはメニューから選択するだけで設定できるようになっていれば、より便利に活用できるようになると思うので、この点は今後の改善をお願いしたいと思う。

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スマホ用の設定アプリ『NETGEAR AirCard』。各種接続設定や接続状態などをスマホの画面から確認できる。
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データ通信量の累積などをスマホの画面からチェックしたり、モバイルデータ通信のオン・オフの切り替えも可能。
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APNの設定は使用するSIMに合わせて手動で設定する必要がある。主要MVNOのAPN設定はプリセットで用意してもらいたい。

 ちなみに、AC785にIIJMioのSIMを装着してLTEに接続した状態で、ノートPCを5GHz帯のWiFiで接続し、約3時間連続で利用してみたところ、バッテリーは約33%消費された。この計算でいくと、連続利用では約9時間利用できる計算だ。公称である連続通信時間10時間よりやや短い計算になるが、外出先で9時間連続でWiFi機器を接続し、通信し続けることはまずないため、バッテリー残量を気にする場面は少なそうだ。

 また、AC785の電源を入れたまま、WiFi機器をまったく接続しない状態(つまり待ち受け状態)で1日放置してみたが、バッテリー残量は1%も減っていなかった。スマホをモバイルルーター代わりに利用する場合は、利用していない状態でもどんどんバッテリーが減っていくため、毎日の充電が不可欠。しかし、AC785ならもし充電を忘れてカバンに入れっぱなしにしていても、バッテリーが大幅に減ることはないだろう。この点も合わせ、スマホでのテザリングより圧倒的に便利に活用できると言える。

 なお、通信速度に関しては、利用するSIMの仕様によって大きく左右される。とはいえ、今回利用したIIJMioのSIMに関しては、スマホに装着して利用した場合とほぼ同等の速度が発揮されたことを紹介しておく。そして、実売価格が1万7800円と、LTE対応のSIMフリーモバイルルーターとしてトップクラスの安さとなっている点も大きな魅力だ。一般的に、LTE対応モバイルルーターは2万円を超える価格のものが中心となっていることを考えると、AC785のコストパフォーマンスの高さは特筆できる。外出時に安定して複数のWiFi機器を接続し、インターネットアクセスしたいなら、現在イチオシの製品だ。

■関連サイト
NETGEAR AC785製品ページ

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