画像:JD Hancock |
家事代行サービスの実際の利用者は全体のわずか2%だけ。
2011年に実施された、25歳~44歳までの女性2000人に対する「家庭生活サポートサービスの利用に関するアンケート」によるものだ。2012年度に980億円(見込み)だった市場が、約6,000億円に拡大するという推計を経済産業省が公表するなど、家事代行の市場には将来的な伸びが期待されている。それでも、実際の利用経験者はまだまだ少ないのが実情だという。
利用されない理由としては、従来家庭内で自ら行っていたサービスに対する価格感の高さや、プライベートな場所に対する抵抗感が大きいのだという。家事代行サービス自体は古くからあったのだが、実際広まってはいなかった。
そんななか、パッケージ商品として店頭でじわじわと売り上げを伸ばしているのが家事代行ベンチャー・カジタクだ。
同社の設立は2008年。近年特に増加を見せているのが、利用料金一律のチケットサービスパッケージ”家事玄人(カジクラウド)”だ。2011年の発売から4年で、すでに実績は約32万件。イオングループの子会社に入っている同社は、そのネットワークも使って3200以上の小売店で取引を行っている。
カジタクでは通常の掃除や片付け、洗濯などの個別の依頼も受けているが、カジクウラド の一番大きな違いは、使い切りのチケット型ということだ。
個人ではなかなか手間のかかる部分、エアコンのカビ取り、浴室、レンジフード、キッチン掃除などにしぼったパッケージ販売で、金額・用途がわかりやすい。ナショナルチェーンで販売されていることもあり、なじみがなくてもとっつきやすくしている。
店頭で販売されているポイントはそれだけではない。掃除担当者のスキルや設備なども、全国一律でサービスがマニュアル化されている。やり直しも含めた満足保証、サービス終了後に専門スタッフが行うアフターコールなどが売りだ。
家事代行のニーズは30代~40代の男女と、50代の女性が中心。若い世代は、お金を使って自分の時間を作るためのサービスとして、高齢世帯では築年数が経過した自宅メンテナンスと家事省力化のニーズが強いという。
主婦という以上に、生活のアイテムとして需要が伸びている形だ。パッケージ化されたことで、電報付属のプレゼントにするなど、これまでになかった用途も広がっているという。
↑エアコン・浴室・レンジフード(キッチン)などの単体パックは税込12960円。利用案内付。喜ばれるのはレンジフードや水回りだという。
業界の”勘と度胸”を”理屈”に変えていきたい
2015年初頭、「月に2万円も払えば業者がやってくれる」というツイートに堀江貴文氏が反応したことが話題になった。家事の分担に関するネットの議論がベースだが、そのなかで家事サービス自体の利用について、賛否さまざまな意見があがった。これも実際どれくらいの金額がかかるのか、そもそもどこに頼むのかわからない人が多い証拠だろう。
そのような見えないニーズをつかみ、カジタクは現在業界で3位の位置につけている(2014日経MJ調査)。カジタクの澁谷祐一代表取締役CEOは「家事サービスの市場は数年後に爆発する。今はその準備をしている段階」だと語る。
「いままでこの業界はフランチャイズがいくつかあった。小企業が傘の下でやる形態。地域密着、小規模エリア限定が多かったが、それでは移動などのコストがムダになる。地域で一定シェアを形成すれば、提供価格も利用しやすい水準にできる。安い給料や単価ではなく、運営面を重視している。他産業から働く人が流れないと規模が増えないので、給与水準を上げることがテーマ」(澁谷代表)
かつての家事代行には職人が多かったという。科学的知識ではなく、「気合と勘と根性で行っていた」(澁谷代表)ため、結果クレームも多くなっていた。
「例えば、洗剤1つでもどんな材質での汚れには何が効くのか、そういったノウハウを整備している。酸かアルカリか、温度、水分のありなし、スプレーも何センチ離すのか、そういった体系的な知識はまとまっていなかった」
カジタクは花王グループと提携。洗剤だけなく、道具でも体に負荷のない使い方、順序などをロジカルにプロフェッショナルな掃除を行うマニュアル化をより進めている。
澁谷代表は、「例えば掃除に必要な情報をタブレットで見れるようにするなど、日々1つ1つの質を上げているところ。業界の”勘と度胸”を”理屈”に変えていきたい」と語った。
●関連サイト
カジクラウド
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12,960円
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