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月間再生数3000万超の音声SNSを発見 熱量高い鹿児島スタートアップに驚け

2015年06月29日 20時30分更新

 さくらインターネットの公認ユーザーグループ“さくらクラブ”主催によるスタートアップのコミュニティーイベント“startuphack Kagoshima”が、2015年6月26日、27日に鹿児島で行なわれた。九州発で活動しているスタートップ企業からエンジニア、学生、ベンチャーキャピタル、事業会社など総勢99名が集まる大成功のイベントとなった。

 内容も熱く、スタートアップの事業紹介、ハッカソン、起業を目指す人へ向けたパネルディスカッション、事業やコミュニティーを紹介するライトニングトークなど、プログラムは7時間を超えた。長時間があっという間に感じられるほど、鹿児島、宮崎を中心に集まったスタートアップの勢いと息吹を感じる、ただただ熱量のあるイベントだった。

さくらクラブ

“鹿児島スタートアップショウケース”では、鹿児島や南九州に縁のあるスタートアップ企業4社による自社サービスのプレゼンピッチが行なわれた。

ぜったい注目の音声SNS“Talkspace”

 トップバッターは鹿児島県枕崎市、鰹節で有名な漁業が有名な土地で、おそらく本州最南端のITスタートアップ企業“freep(フリープ)”が開発・運営する、声と音でつながる匿名SNS“Talkspace(トークスペース)”だ。

さくらクラブ

 すでに音声の月間投稿数は約300万、月間3000万再生を超える規模となって、じわじわと人気が集まっている覚えておきたい注目サービスだ。

 声と音によるコミュニケーションで、雑談で会話を楽しんだり、歌ったり、ネタをつぶやいたり、ラジオのように仲間とトークを繰り広げるなど、ユーザーが自由に自分なりの楽しみ方で利用している。

 ユーザー間で自由にコミュニケーションのとれる“スペース”や、フォローしたユーザーのつぶやきが聞ける“タイムライン”があり、すでに1万人級のフォロワーをもつ人気ユーザーもいる。

さくらクラブ

 おもしろいのがプレイリスト機能。スペースやタイムラインの人気投稿をユーザーがまとめてプレイリストを作成。Twitterに対するTogetterのような機能で、多くのコンテンツが生まれているという。独自のユーザー文化が生まれている姿が、なんとなくニコニコ動画が発展した様子に似ている。

さくらクラブ

 すでに今井麻美さんなど有名声優とのコラボや、地元ラジオ局とのコラボ展開などでメディアにも進出。今後は全国規模のメディアコンテンツ、またサービス自体の世界展開も考えているというサービスだ。

マイナースポーツの新しい収益源に

 スポーツ界の巨大なマーケットプレイスを目指すSPO-STAは、まだまだ収益源の乏しいマイナースポーツのチーム、選手を中心にビジネスをサポートしていく仕組みを提供する。具体的には選手、チームがオリジナルホームページをつくってコミュニティーをそこに作成。資金の調達や、グッズ販売のネットショップ、サポートなどを初期費用、月額料金なしの無料で利用できる。決済があったときには手数料が発生する。

さくらクラブ

 目的はファンを増やし、選手、チームとストーリーを共有して交流するプラットフォームをつくること。そこで収益化の支援をできればとしている。

 SPO-STAを利用するフィギュアスケートの村上大介選手が、2014年11月にNHK杯を優勝した時は一気に知名度が上がった。本サービスを通じてファンから多数の寄付が集まり、さらにファンイベントのチケット販売では120名のチケットが即完売したというような事例も出てきている。現在は100を超える選手、チームに利用されている。

GitHubでは難しいライターやデザイナーもいっしょに使えるコラボツール

「地方にいることがデメリットじゃない世界をつくる」をテーマに、ウェブ制作のファイル共有コラボレーションツール“universions”を運営するユニマル。GitHubではコラボが難しい非エンジニアのライターやデザイナーでもいっしょに使える機能を提供する。フローの確認から、バージョンチェック、『Illustrator』などの特殊なファイルをプレビューできる機能をもつ。利用面では、すでに2000プロジェクトを突破している。

さくらクラブ

 加えてユニマルは月額最低報酬金額を保証する新しい形のクラウドソーシングサービス“universions WORKS(仮名)”を、2015年7月にサービス開始する予定。登録したクラウドワーカーは、仕事の有無にかかわらず月額5万円以上を最低保証額として支払いをする。フリーランスなのに定期収入が発生する仕組みだ。営業とディレクションは不要。

さくらクラブ

 厳正な審査から得意分野をもつ優秀なクリエーターの登録があることを保証に、安定的な仕事供給を行なっていくカタチ。フリーランスエンジニア支援から70以上の事業会社をクライアントにもつスタートアップ“シェアゼロ”とアライアンスを組む。地方に仕事が流れないという課題を解決していきたいとする。

声の出る抱き枕『痛すぽ』は安定の事故っぷり(ほめ言葉)

 そしてトリをつとめたのが、この手のスタートアップイベントに出場すると「すべてをもっていく」と有名になってきているという……撫でると声を出す抱き枕『痛すぽ』を開発するジョイアスだ。抱き枕に布越しにも強弱を検知できるセンサーを装着、撫でる強さによってさまざまな声を出す。

さくらクラブ

 実は鹿児島出身の内村代表。登場時点ですでにホームの空気ができあがっており、。壇上で寝転がって抱き枕を操作し始めるも電源が入っていなかったりと、フリースタイルっぷりはこの日も抜群の安定感を放つ。

 質疑応答では「遠距離恋愛のカップルに応用して使ってもらえるのでは?」のリア充寄りな質問に対して、

「興味ないです」

 と、ひと言でバッサリ。このぶれない姿勢、仕込まれていたかのようなやり取りに会場は爆笑の嵐に。

さくらクラブ

 ビジネス面で今後はMakuakeの購入ユーザーに対して発送を行なうのと同時に製品化を進める一方、コンテンツメーカーとのコラボなどBtoBtoC的な展開も進めていくという。

スタイリッシュを目指しても、さくららしくない

 スタートアップ、TECH九州コミュニティーの活性化のために、さくらインターネットのユーザーを中心に開催された初のイベント。基調講演は、さくらインターネット田中邦裕代表取締役がつとめ、スタートアップとさくらインターネットがコミュニティー活動へ協力、参加する理由を語った。

 さくらインターネットのサービスについて、「スタートアップの方が最初に使うサーバーとして選んでもらっている。最近ではなく、初期のGREEやmixiなど昔からスタートアップに使ってもらっている。外資系のサーバーだと、サーバー代に苦労して事業が伸ばせないと聞いていた。スタートアップで使いやすいサービス」と語った。

さくらクラブ
肩書きは代表取締役だが個人として参加したという田中氏

 多くのユーザーコミュニティーには個人的に参加していたという田中氏、「コミュニティー活動を自発的にしたいという社員が増えてきた。やりたいという人が社内、地域に増えて、結実した場所が鹿児島」となった。

「スタイリッシュを目指してもさくららしくない」と、畳の上に座布団が1枚という、寄席ふう壇上から、普段のスタートアップ・起業イベントとは一風変わった、ゆるい雰囲気を楽しんでいた。「いっしょに熱量を高めていける場をつくる。うちができるのはその場をつくること。こうやってくださいだと熱量は下がるので、ゆるくやっていきたい」としていた。

さくらクラブ

 さくらインターネット広報宣伝室の林雅也氏も、自発的にコミュニティー活動に参加するひとり。「いかにユーザーによろこんでもらえるか。コミュニティーに何ができるかを考えている。大事なのは一方通行じゃダメだと思っている。アクションするものと、コミュニティーの動きがかみ合うことが大事。相思相愛でやっていくのが難しい課題と考えていたところ、さっそく鹿児島でこういうことができ、感謝でいっぱい。これまで以上にコミュニティーにコミットしていく」としていた。

■関連サイト
さくらインターネット
さくらクラブ

(2015年7月6日23時訂正:SPO-STAの説明記述に一部、誤りがありました。お詫びして訂正いたします。)

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