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Google I/O 2015基調講演で見えた熾烈なAppleへの対抗心 by 石川 温

2015年05月30日 13時00分更新

 グーグルは5月28、29日の2日間、開発者向けイベント『Google I/O 2015』を開催した。基調講演では新デバイスなどの発表はなかったが、Android OSの次期バージョン“M”が披露されるなど、注目の発表がいくつかあった。アプリ開発者からすると開発関係の話が少なかったため、やや内容に不満が残る基調講演だったようだ。

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 しかし、ユーザー視点からすればAndroid関連のサービスが強化される意思表示がされたこともあり、かなり期待のできるものとなっていた。

 今回の基調講演は、モバイル分野に特化したプレゼンになっていた。まさにAppleへの対抗心がむき出しなメッセージだったのが印象的だ。

 次期バージョン“Android M”は指紋認証に対応し、非接触のモバイル決済サービス『Android Pay』も開始。このあたりは『iPhone』シリーズの指紋認証『Touch ID』と『Apple Pay』を意識してのことだろう。

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 これまでAndroidの指紋認証と言えば、富士通やサムスン、シャープなど限られたメーカーが独自に展開していたが、OSレベルでサポートされることで採用メーカーが一気に増える可能性が出てきた。NFCを使って決済にも利用できるとなると、やはりセキュリティーの強化は避けては通れないのだろう。

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 今回特に驚かされたのが『Googleフォト』として、アルバムサービスを強化してきた点だ。16メガピクセルの静止画、1080pの動画であれば、無料かつ無制限での保存が可能という。クラウドに保存しておけば、スマホやタブレット、PCなど、どのデバイスからも閲覧できる。

 昨年からAppleもiPhotoを“写真”というアプリに変更し、クラウドでの保存サービスに注力してきた。iPhoneで写真を撮り、それらが自動的に保存されることもあって利便性は高いのだが、iCloudは5GB以上の保存は有料になってしまう。

 スマホだけでなく、デジカメなどのデータ保存を考慮すると、「写真はすべてのGoogle Photosに保存しておくかな」という気持ちになってくる。「メールはGmail」というユーザーが多い中、今度は写真をすべてグーグルに預けるようになってきそうだ。

 これまでグーグルのアルバムサービスと言えば、『Picasa』や『Google+』のアルバム機能など、他社に比べてアカ抜けない印象であったが、今回の大胆な方針転換で、アルバムサービスの大本命になったと言えそうだ。

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 キャリアにとってみれば、LTE接続時に写真を大量にクラウドにアップしてくれれば、データ通信が発生してARPUを稼いでくれることもあり、ありがたい存在になるだろう。ネットワークへの負荷は気になるが、収益面でプラスに働くのは間違いない。

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 今回、グーグルは非接触決済やアルバムサービスなど、苦手だった分野を克服する一方で、IoT機器向けのOSとなる『Brillo』やそれらを結ぶ『WEAVE』を投入するなど、着々とIoT分野の開拓にも余念がない。

 スマホやタブレットに続き、クルマ、テレビに向けてAndroidを広げてきたが、グーグルとしてはさらに自社の得意とする世界を拡大する狙いを進めていくようだ。グーグルによって、ユーザーのあらゆるデータがクラウドに保存され、身の回りにあるデバイスからかんたんに引き出せる環境が整いつつある。

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■関連サイト
Google I/O 2015
Android Pay
Google Photos

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