モバイルアプリ調査会社であるApp Annieのウェブサイト。 |
みなさん、こんばんは。いまは週刊アスキーの吉田です。さて、モバイルアプリ調査会社であるApp Annieが2015年1~3月期における世界各国のアプリ利用状況などのレポートを公開しましたよ。アプリ開発者だけでなく、一般ユーザーが見ても興味深い内容になっています。ここではそのサマリーを紹介していきます。
●モバイルアプリで強いのは人とつながるアプリ
Androidのアクティブユーザーあたりの平均月間セッション数(起動した回数)。 |
Androidユーザーのアクティブユーザーあたりの平均月間セッション数(起動した回数)によるアプリランキングでは、ソーシャルネットワーキングもしくは通信が各国とも1位になりました。通信というのはLINEなどのメッセージングアプリも含まれるので、ソーシャルネットワークと似たジャンルです。ざっくりいうと他人とつながるためのアプリですね。日本では、LINEの普及により通信がトップカテゴリーですが、2位に仕事効率化が入るなど他国とは違ったランキングになっていますね。
●日本人はスマホゲームに夢中
Androidユーザーのカテゴリー別の平均アプリ使用率。 |
Androidユーザーのカテゴリー別の平均アプリ使用率を見ると、日本のユーザーはゲームに費やす時間が他国に比べてかなり多いことがわかります。パズドラやモンスト、ツムツムの影響ですね。
●コミュニケーション系アプリの人気は各国で異なる
アクティブユーザーあたりの平均月間セッション数に基づくトップアプリ。 |
ユーザーがゲームよりも多くの時間を割いているのが通信、ソーシャルネットワークカテゴリーですが、アクティブユーザーあたりの平均月間セッション数に基づくトップアプリでは、各国とも利用しているアプリがだいぶ異なるのが興味深いですね。日本では定番となったLINEですが、韓国ではKakaoTalkがナンバーワンですし、英国とドイツではWhatsApp Messengerが優勢ですね。トップ3にTwitterが入っているのは日本だけ、逆にトップ3にFacebookが入っていないのも日本だけです。日本市場の特殊性が浮き彫りになりますね。
●日本人はカジュアルゲーム、韓国人はやり込みゲームが好き
アクティブユーザーあたりのモバイルゲームの平均月間セッション数(起動回数)。 |
アクティブユーザーあたりのモバイルゲームの平均月間セッション数(起動した回数)は、日本は米国の4倍と圧倒的。2位につけている韓国よりもさらに1.5倍も多いです。日本人はどれだけゲームが好きなんでしょうね。
アクティブユーザーあたりのモバイルゲームの平均月間セッション時間。 |
ただ、セッション時間でみると日本と韓国の時間は拮抗します。つまり、韓国のユーザーのほうが1セッションでプレイする時間が長いということになります。逆に日本はカジュアルゲームなど短時間で楽しめるゲームをプレイしている傾向が強いと言えますね。
●収益化しやすいアプリのジャンルは各国ともゲーム
iOSのApp StoreとAndroidのGoogle Playの収益状況。 |
ゲームのセッション数やセッション時間では各国にばらつきがありましたが、iOSのApp StoreとAndroidのGoogle Playの収益状況を見ると、各国ともゲームの収益が圧倒的であることがわかります。ゲームが大好きな日本や韓国はもちろんとして、日本の4分の1程度のセッション数である米国でも、8割近い収益をゲームが占めています。
●モバイルデータ通信量はLTE網が整っている日本と韓国が多い
各国のWi-Fiとモバイルデータの使用量。 |
次にデータ使用量については、韓国がトップでした。2位は米国ですがWi-Fiでの通信が大半です。日本と韓国はLTE通信網が他国に比べて整備されていることから、モバイル通信の比率が高めです。
●iPhoneやiPadではGoogleマップがよく使われている
iOSのApp Storeでのアプリ利用状況。 |
おもしろいのが、iOSのApp Storeでのアプリ利用状況。冒頭で紹介したカテゴリー別のセッション数がかなり反映されています。日本ではLINEが1位というのは当然として、2位にGoogleマップが入っていますね。また、9位にスマートニュースが入っているのも日本ならでは。米英独のランキングは似通っていますが、日本や韓国、中国などはローカルアプリが強いことがわかります。
●日本ではSPモードメールのアプリがランクイン
Androidのアプリの利用状況。 |
Androidのアプリの利用状況では、Google Playが存在しない中国に代わってインドが入っていますが、各国の利用アプリはおおむね同じです。ここでも面白いのが、spモードメールのアプリが日本で6位にランクインしている点。キャリアメールを利用するユーザーというか、ドコモユーザーが多いことがわかります。
●世界ではスーパーセル、日本ではガンホ−、いずれもソフトバンクグループ
iOSのApp Storeでのゲームランキング。 |
最後にゲームのトップランキングを見ると、iOSのApp Storeではスーパーセルのクラッシュ・オブ・クランと、キング・コムのキャンディークラッシュシリーズの世界的な強さが光ります。しかしここでも日本だけはまったく別の様相を呈します。ツムツムやパズドラ、モンスト、Qなどが上位を占めています。イングレスがトップ10に入っているのも日本だけですね。
Androidのゲームトップランキング。 |
Androidのゲームトップランキングでも状況は変わりません。ちなみに、クラッシュ・オブ・クランの開発元であるスーパーセルや、おなじみパズドラの開発元であるガンホー・エンターテイメントは、ソフトバンクグループの子会社です。
●誰でも無料で各国の人気アプリをチェック可能
iOSのApp Storeの現在の各国別ランク。 |
App Annieのサイトでは、氏名やメールアドレスなどを登録するだけで、各国で人気のアプリやカテゴリーの一覧をチェックできます。ちなみに本日のランキングでは、トップセールスでクラッシュ・オブ・クランの強さが目立っていますね。トップ有料ではMonument Valleyが各国でトップです。
AndroidのGoogle Playの各国別ランク。 |
2015年5月14日時点のAndroidアプリのランキングも似たような感じです。アプリのアイコンにカーソルを合わせると同じアプリがハイライト表示されるので、どのアプリが世界で流行っているかが一目瞭然です。他国とはまったく別のランキングになっている日本の特殊性をここでも感じます。
App Annie Japanで日本のカントリーディレクターを務める滝澤琢人氏。 |
App Annie Japanで日本のカントリーディレクターを務める滝澤琢人氏によると、「米国と日本のGDPやスマホの普及台数などから導き出すと、米国は日本の4倍の市場規模があることになるが、現在はほぼ同じ規模」とのこと。「つまり、モバイルアプリ市場を牽引しているのは米国と日本で、海外の開発会社は日本の市場にかなり注目している」とのこと。
「ねこあつめ」のリリース後から5月14日までのランキング推移。 |
滝澤氏は、App Annieの分析ツールについても解説してくれました。「ここ最近の注目ゲームはやはり『ねこあつめ』で、直近3カ月のiOSアプリランキングを見ても、ほぼ30位以内をキープしている」とのこと。ランキング推移のグラフを見ると、バージョン1.1.1のリリース後から持ち直し、2015年1月からランキングが急上昇。2月以降から現在まではずっと上位をキープしていますね。
「ユニゾンリーグ」のリリース後から本日までのランキング推移。 |
アプリ詳細画面では、バージョンアップ履歴などもチェックできる。 |
個人的に最近の大量のTVCM投下が気になっていた「ユニゾンリーグ」について聞いてみたところ、「CMが集中投下された4月下旬以降にランキングが上がっていますが、このアプリは2014年11月28日にリリースされており、リリース直後に多くのユーザーがダウンロードしていることがわかります。つまり、このゲームはすでに一定の収益を上げており、今回のCM投下はさらにユーザーを増やすための施策ですね」とのこと。
App Annieは、専用の解析ツールをユーザーにインストールしてもらうことで、各ユーザーがインストールしているアプリやセッション数、セッション時間などを収集しています。また、開発者にはApp StoreやGoogle Playでのダウンロード数や売上データなどを提供してもらう代わりに、高度な分析ツールを無償で使えるようにしています。そのほか、各アプリのレビューコメントの内容を言語解析するなどして、アプリの評判や傾向、年齢層などを総合的に分析しているそうです。
アプリ開発者だけでなく、一般ユーザーが見ても楽しいデータばかりですので、ぜひ一度チェックすることをオススメします。なお、ここで紹介したランキングなどの詳細については、「2015年第1四半期アプリ利用状況レポート」からダウンロードできます。
■関連サイト
App Annie
App Annie(2015年第1四半期アプリ利用状況レポート)
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