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スマホアプリでヒットを狙う王道とは? 実例とデータで検証する

2015年05月08日 13時30分更新

 現在、iOS用の“App Store”とAndroid用の“Google Play”で延べ約300万本が登録されているというスマホアプリ。しかし、多くのユーザーから支持されるのはほんの一部のアプリのみだ。ヒットする、しないの違いはどこにあるのか?2015年3月27日、第4回Tech Institute大阪オープンセミナー『人気スマホアプリ“ヒットの秘密”〜実例とデータからひも解く、人気アプリの育て方〜』が開催された。

 講師は、週アスPLUSでもおなじみのアプリマーケティング研究所代表・鶴谷智洋氏。加えて、AppAnnie日本カントリーディレクター滝澤琢人氏がゲストとして登壇。同社が提供しているアプリのダウンロード数と収益データをもとにした最新の市場分析も紹介された。

スマホアプリ ヒット
↑アプリマーケティング研究所代表 鶴谷智洋氏。

 鶴谷氏は、アプリ制作者たち100人に直接取材した経験をもとにヒット事例や失敗事例を紹介。すでにウェブで展開中のサービスのアプリ版や、有名アプリパブリッシャーが広告などにお金を大量に投下できるのではない場合、どのようにすればアプリをヒットさせることができるのか? なんと、鶴谷氏は「アプリは関係ない」とまで言う。

 世界でヒットして、800万ダウンロード、広告収益3500万円までになった『100万のたまご』というゲーム。画面に表示された“たまご”の絵を100万回タップして割るだけという、セミナーの中では“スーパーカジュアル”と呼んでいた極限までシンプルなアプリだ。そんな中身がないとも思えるアプリがどのようにヒットしたのかを分析していくと、最初に火がついたのはスペインだった。

 調べてみると、当時スペインで『たまごっち』が流行っており“TAMAGO”という単語が認知されていたことがわかった。その後、国内よりもむしろドイツや韓国でヒット。日本語以外に少なくとも英語版くらいは用意したほうがよいということだ。『白いところ歩いたら死亡』というアプリにも同じことがいえる。このアプリは、制作者が友人とだけで遊んでいたゲームをリリースしてみようというところからスタート。日本とアメリカで合計1000万ダウンロード、広告収益5000万円を記録した。

 それでは、英語版を用意すること以外は“運”に任せるしかないのかというと、鶴谷氏は、アプリレビューサイトに取材してわかったことがあるという。それは、レビューサイトに対して“手紙”で連絡する。何度も連絡してみる。自らアプリをプレゼンさせてほしいとアポイントを取るといったことだそうだ。某アプリレビューサイトによると、「手紙での連絡はシビレます」とのこと。アプリ、ヒットのきっかけはアプリ本体よりもこのあたりにあるというのは、制作者なら無視できない現実といえる。

 続いて、ゲストのApp Annieの滝澤琢人氏は、2014年の世界の主要動向から見たアプリ市場に関する最新のトレンドを紹介。

・ダウンロード数ではAndroidがiOSを60%上回っている。
・アプリの売上ではiOSがAndroidを70%上回っている。
・日本、韓国、アメリカは、アプリストア大国で市場全体の売り上げの半分以上を占めている。今後はBRICs、新興国、ドイツなど西ヨーロッパが注目ではないか?
・LINEなどメッセージングアプリが伸びたのが対前年比53%増。
・旅行・交通アプリ(Uber、Airbnbなど)も対前年比31%増。
・欧米ではアプリでTV番組が見れるようになっているなど、モバイル動画ストリーミングが注目。
・スーパーカジュアルゲームが世界的に人気で、ダウンロード数ランキングの上位を占めていた。

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 鶴谷氏の『100万のたまご』の事例も合わせて考えると、今後アプリをヒットさせるためには、新興国や西ヨーロッパなど海外対応ははずせないのではなかろうか?これには、無料アプリをばらまいて後で課金するフリーミアム型が大きくなっているという現実とも相性がよさそうだ。さらには、アプリの売り上げ(ストアの“収益”)とは有料アプリの売り上げとダウンロード後の課金を組み合わせたものだが、これに広告による売り上げも加わってくる。

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↑App Annieの滝澤琢人氏。

 セミナー当日は、会場となったグランフロント大阪で『ナレッジキャピタル フェスティバル』が開催中。感性と技術の融合により新しい価値を創造する、知的創造拠点“ナレッジキャピタル”に国内外から第一線で活躍する“ナレッジパーソン”が集結。アワードやシンポジウム、ワークショップなど20を超えるプログラムでにぎわっていた。

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 Tech Institute大阪は、角川アスキー総研とそのナレッジキャピタルの共催によるAndroidアプリ開発者の養成講座で、サムスン電子ジャパンのスポンサードで運営されている。次回のTech Instituteオープンセミナーは、2015年5月21日(木)大阪、22日(金)東京で、フリージャーナリストの林信行氏を講師に開催。詳しくは公式サイトをご覧ください。

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【開催概要】
スマートテクノロジーで変容するビジネス・社会〜破壊される20世紀ビジネス、21世紀型ビジネスの新常識〜
日時 2015年5月21日(木)19時〜21時
場所 グランフロント大阪北館1階 The Lab.(CAFE Lab.)
参加費 1500円(1ドリンク付き)
お申込み http://peatix.com/event/85432

●関連サイト
Tech Instituteアプリ開発者養成講座

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