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MSXを始めるなら今しかないっ!春の新人MSXユーザー歓迎ガイド:MSX31周年

2015年05月02日 18時00分更新

MSX30周年スロット&スプライトロゴ

 MSXが誕生してからもうすぐ32周年。『1チップMSX』からも早10年、今となっては入手も困難となったMSXですが、それでもネットなどでMSXの存在をはじめて知り、本体とソフトをぜひ手に入れたいと思う人も少数ながら居るようです。春は若者が新しいことにチャレンジする季節、無理もありません。誰だMSXは新しいことじゃないって言った奴。

新人MSXユーザー歓迎ガイド
↑MSX2相当の機能を1チップに詰め込んだ『1チップMSX』が発売されたのが2006年。時のたつのは早い。

 しかしMSX初心者にとっては、なにしろ「はるか昔のパソコン」なのですから、勝手が違い過ぎていろいろ訳がわかりません。そこでスロット&スプライトではあえて「今どきMSXに興味を持ってしまった幸せな人たち」のお役に立つべく、ポイントや豆知識を散りばめていきたいと思います。熟練者の方も改めて色々と思い出すこと請け合いです。

 まずはバックナンバーからこの記事を見てください。
今すぐMSXゲームが欲しくなった人のための入手ガイド2015

 ネットで調べるといろいろな中古ショップが出てくるはずです。でも初心者はネットで完結するお買いものは最初だけは避けて、リアルショップで現物を見てくることをお勧めします。それは現物を見てはじめてわかることも多々あるからなのです。

■本体選び

 MSXは色々なメーカーからたくさんの機種が出ていました。特に気を付けなければならないのが本体やソフトに記されている「MSX」マークです。このマークがある本体やソフトの組み合わせなら動作すると思って大丈夫なのですが、「MSX」マークの本体に「MSX2」マークのROMカートリッジを挿しても動かないので注意が必要です。MSXには大別して「MSX」、「MSX2」、「MSX2+」、「MSX turboR」の4種類があります。

 イメージ的には「プレステ」、「プレステ2」、「プレステ3」、「プレステ4」のように順にハードウェアと内蔵ソフトが高性能に進化していったと考えて間違いないありません。基本的にはハードが上位互換なので、「MSX turboR」か「MSX2+」を買っておけばほとんどのゲームが動くと思って大丈夫です。あと予算が許すならば「FDD(フロッピーディスクドライブ)」付きのを入手した方が良いです。フロッピー媒体で発売されたソフトもたくさんありましたので。まかり間違って「ゲームを自分で作りたくなった」りした場合にも記録媒体が本体に付いていると便利です。言うまでもないですがUSB端子とか付いてませんよ!
 中古品だとFDDが故障していることも多いですが、大半は「ベルトが伸びている」だけ。ベルトの入手方法や交換方法はリクエストがあれば書こうと思っていますが、ググるとそれなりに出てきます。

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↑本文とは関係ありませんが、こちらはMSXマガジン・オフィシャルマグカップ。MSXマークは付いているがROMカートリッジを挿入しても動かないぞ。


 MSX2以前に手を出すのは最初はやめておきましょう。MSX2にはVRAMの容量が128KBの機種と64KBの機種があって、「MSX2」マークがついているのに後者では動かないゲームも多数存在します。これを見分けるのは初心者には困難でしょう。またテレビ(モニターではない)に接続するのにRF端子やコンバーターを必要とする機種もあります。そもそもアナログチューナー内蔵テレビがもうないかもしれません。
ただし「黄色いビデオ端子」が付いているテレビ(モニター含む)とMSXの組み合わせは可能です。基本的にそれは「MSX2+」以降も同じです。あらかじめ手持ちのテレビの裏側を確認しておくと良いでしょう。
 それから電源アダプターが必要か否か、必要ならちゃんと付属しているかどうか確認しましょう。小型化を進めた結果、電源部がACアダプター式になっている機種もあります。しかも端子部が特殊だったりDCのボルト値がマイナーな値だったりして代行品の入手が極めて困難なタイプもあります。たとえば『Panasonic FS-A1』もそんな1機種です。

 「MSXturboRを選んどきゃ良いんだろ!」と思ったお金持ちの人は、『A1GT』という最後期に出た最上位の高額取引がされている機種にも注意が必要です。この機種のビデオ系出力端子は特別仕様で、もし端子変換ケーブルが付属していなかったら自分で用意する必要があります。

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↑A1GTの端子部。「RGB出力」とあるが、アナログビデオ信号も出力されている。だが変換ケーブルが無いと取り出せない。ただ、自作は比較的簡単で、パーツも入手しやすい。一方、かつてはメジャーだった「S端子」の方は最近のテレビには付いてないのも多くなってきている。


 かようにMSX本体選びにはさまざまなトラップが仕掛けられています。無事ゲームが動くまでの数々の難関を越えることが最初のゲームなのだ。ということも含めて、最初はお店などで現物を見てみることをお勧めします。「何がわからないのか」がいろいろと見えてくるはずです。先輩方に的確な質問もできるようになるでしょう。

 そうそう、やっと見つけて無事購入して持って帰ってウキウキする気持ちはよくわかりますが、最低限の掃除はしましょう。いきなり電源入れると火を噴きます。マジで。有名&老舗中古ショップなら外観的な最低限の掃除と起動チェックはしてあるので大丈夫だと思いますが、一番怖いのは「おじさんにもらった」押入れの中から出てきた系MSXです。「パンッ!」という破裂音と共にたばこの流煙程度の反逆ののろしがあがり、香ばしいニオイが部屋に充満した例は枚挙にいとまがありません。

■ソフト選び

 単純に興味を持ったゲームを買えば良いのですが、FD版はROM版に比べてトラブっている可能性が少し高いです。ショップで起動チェックしても2枚目3枚目までテストプレイしているわけではないし、また構造的にもROM版の方が長期保存性は良いようです。
 ROMの場合も、BASICが立ち上がるだけでゲームが起動しない場合があります。「Breath of magic」という魔法が使えると自称する齢を重ねた魔法使いさんもいるようですがお勧めしません。実はかつてメーカーも推奨してませんでした。息でほこりを吹き飛ばそうという意図は理解できますが、つばも飛ぶ可能性があるからなのです。端子のショートをさけるためにも綿棒などでやさしく丁寧に端子部をふいて汚れを取り除いてください。
 しつこい汚れにはマジック〇ンなどの洗剤ではなく、「純水」か「無水アルコール」を使うことをお勧めします。最も入手が容易で価格も安い純水はカーグッズショップで売っている『バッテリー補充液』です。それも弱ったバッテリーを復活させる高性能な添加剤入りとかではなく、一番安い「単に液を補充するためだけ」に徹している高純度に精製(つまり「水」以外何も入っていない)したタイプを選ぶようにしてください。一本100円以下でゴロゴロあります。アルコールは薬局などにもありますが、手軽なのはCD/DVDクリーナーに付属している液体を流用することです。100均にあります。

 MSXのゲームはFD、ROMのほかに「カセットテープ」で供給されていたものもありました。アニメ『けいおん!』などで知った若人も多いかと思いますが、音楽を録音するアレです。あれに昔FAXなどで聞こえた「ぴ~、ガラガラ、ぴ~、ガラガラ」というあんな音を録音する形でプログラムを記録するわけです。本来はデータレコーダーを使用しますがラジカセでも何とかなります。ちゃんと読み込むにはコツがいろいろありますので最初は先輩方に手伝ってもらった方が良いでしょう。そうそう、「MSXturboR」ではカセットテープには基本的に対応していません。どうしてもカセットテープのゲームをしたい場合には「MSX2+」以前の機種を選びましょう。 あと、MSXで仕様できたメディアには「Beeカード」とか「クイックディスク」とかもありますが、またの機会に。

 なお、この後の「大須編」でも繰り返しますが、MSXコーナーにMSXでない機種用のソフトが置いてあることは「よくあること」なので購入の際には細心の注意が必要です。店員さんにとっても昔のPCゲームは家庭用ゲーム機用と違ってパッケージから区別がつきにくい例もあったり、ゲーム機用のROMも外観形状からMSXとの違いがわかりにくいものもあります。そもそもMSX用ROMは大きいのから小さいのまでいろいろあります。単純に「うっかり」だってある、人間だもの(みつ〇)。

■MSX入手ガイド2015 大須編

 冒頭に紹介した記事(MSX入手ガイド2015)を掲載したところ、「大須はどうした!」という声が聞こえてきたため、さっそく行ってきました。決して名古屋名物「喫茶店の超お得なモーニングメニュー」を堪能してくるためでも、名古屋コーチンや味噌カツが急に食べたくなったわけではありませんよ。

 大須(名古屋の電気街っぽいところ)はもう十年ぶりくらいでしょうか。前に来た時にも既に電気街というよりは「古着(ファッション)の街」という色合いが強くなってきていて、おた街としてはそれほどのボリュームはありませんでした。今日では前よりはわずかに電気方面が盛り返していて、おた系ショップも増えていました。そんな中「ウワサ話」を頼りに5件ほどアタリをつけて回ってみたのですが、MSXグッズが確認できたのは2軒でした。百聞は一見にしかず、説明よりも写真多めでお送りします。(情報は4月初旬のものです)

スーパーポテト 名古屋店
http://www.superpotato.com/free_html.php?html=about_shop.html
愛知県名古屋市中区大須3-11-30
営業時間 平日10:00~20:00、土日祝日10:00~20:30
 東京や大阪でレトロゲームの本流を行くスーパーポテトは大須にも店舗を構えているぞ。2014年12月20日OPENの比較的新しいお店ですが、さてMSX関連品は置いてあるでしょうか。

MSXA:まずは1Fから探索開始。あれ? ないぞ。じゃ2Fに上がってみるか。う~ん、MSX関係あることはあるみたいだけど数は多くないね。やっぱり新しいお店だしなぁ。「すいません、MSX関係って何か置いてますか?」
店員:MSXはこの辺とか、そこのショーケースの中とか……。

新人MSXユーザー歓迎ガイド
↑ありゃ、俺の目は節穴か! 目の前に本体が3台もあるじゃん。ちなみに機種は『CF-2700(National=松下電器の旧ブランド名のMSX(1))』、『A1(Panasonic=松下電器MSX2)』、『F1XD(ソニーのMSX2、FDD付)』でした。おやおや? 『PC-FX(NECのゲーム機)』よりもMSXのが価格が高いぞ〜(ちょっと誇らしげ)。

MSXA:あ、こっちにもいっぱいあるじゃん。ヤバい、MSX眼(アイ)が衰えてきてる! 以前だったら天井までグッズで埋め尽くされていてもその中から「MSX」の文字列を見分け、MSXグッズを一瞬で探し出せたのに。
店員:ソフトはこっちにもたくさんあります。

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↑なかなかのラインナップ。あれ?『紺碧の艦隊(マイクロキャビン)』はMSX版は存在しませんよ〜。MSXコーナーに他機種用ゲームが置いてあるのはよくあることなので、お買い求めの際には気を付けてください。
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↑ショーケースに誇らしげに飾られているMSXソフト達。『アレスタ(コンパイル)』にプレミアが! また、エロゲーはダウンロードで復刻する可能性がほぼないという点で貴重ではある。しかし、一部のオリジナルエロゲ―を除けば98系などの劣化版が多いという点では完品の収集コンプ目的以外にはあまり意味は無いかもしれない。

MSXA:最近アキバでは外国人客が多いって話らしいんですが大須はどうですか?
店員:東京や大阪はそうらしいという話は聞いていますが、ウチはまだ外国人のお客さんの割合はそれほど目立っているわけではないですね。
MSXA:おお、大須は穴場なのかも。わりと本数もあるしMSX見捨てられてないじゃん。ちなみに買い取りも行なっているんですか?
店員:もちろん歓迎しています。どんどん持ってきてください。
MSXA:だそうですよ、みなさん。スーパーポテトは東京、大阪だけでなく名古屋店もMSXユーザーにとって頼れるお店のようです。お忙しいところどうもありがとうございました。

K・HOUSE
http://www.osu.co.jp/AK/a1128khous/
名古屋市中区大須3-11-28
営業時間 11:00~19:00
 レコードやCDやゲーム類が床から天井付近までぎっしり詰まったこのお店、10年くらい前に来た時と、なんとなく同じたたずまいに見える。しかもMSX関連品を置いてある場所も変わってないような気がする。時が止まっているのか? いやいや、よく見るとむしろMSXの扱い量が昔より増えているっぽいぞ!

新人MSXユーザー歓迎ガイド
↑おや、『ジッピーレース』? これはセガの『SC-1000』用じゃないのかな。海外では無理矢理MSXエミュレーターで動かしちゃった人も居るらしいけど……。若い子は知らんじゃろうが、ファミコンやセガのSCシリーズやメガドライブのカートリッジは形は少し似ておるがMSXじゃ動かないから要注意じゃぞ。無理に挿すと壊れるぞ。

MSXA:こんにちは。MSX関係ってここにあるだけですか?
店員:よく探すと他にもあるよ。
常連客:お、MSXかい? それなら、こことかここにもあるよ。
MSXA:ありがとうございます(なんだろう、店員より店の中に詳しいぞ、この人)。

新人MSXユーザー歓迎ガイド
↑ちょっと珍しいソフトもあった。右の方の『Flight Simulator With Torpedo Attack』だ。『勝手になりジャン』と並び称される、名前の長さ文字数の多さを誇るゲームだ。裸ROMだが1800円は今では安い方かも。エレコムの連射機能付きJOYPAD『JC-2000』に隠れて「ガキス」しか名前が見えないが、これはカシオのゲーム機『PV-2000』用『楽ガキスペシャル』っぽいぞ。もちろんMSXでは動作しない。

常連客:こっちにMSX本体もあるよ。写真撮るなら持ってようか?

新人MSXユーザー歓迎ガイド
↑右がソニーの『HITBIT HB-75』だ。『HB-55』に続くソニーのMSX第2弾だった。ちなみに動作確認済だそうだ。左はPanasonicの『ビデオテロッパー』。MSX史上最も大きなカートリッジのひとつだ。他にカシオのジョイスティック(PAD型ではない)、macrotecのジョイパットなどがあった。

MSXA:すいません。ちなみにMSXはあとはショーケースの中のぐらいですか?

新人MSXユーザー歓迎ガイド
↑ショーケースの中にはプレミアが付いたMSXROMが並ぶ。『ピポルス』はヒット作が多いコナミタイトルの中では比較的レアな部類に入るぞ。参考記事→“ピ”のつくゲームにまつわる法則とは? コナミのMSXゲーム伝説 

店員:MSXだったら、倉庫にはまだまだ未整理のがいっぱいあるよ。
MSXA:おお、それは凄い。それなら簡単には在庫が無くなったりはしませんね。
店員:予め取材に来るって言ってくれればいろいろ掘り出して用意しておいたのに。簡単にMSXの在庫が無くなったりはしないけど、でも最近は、どこで知るのかわからないけど、外国人のお客さんが来てたくさん買って行くこともあるからね。
MSXA:ええーっ。やっぱりそうですか。円安のせいで割安感があるのか、海外の収集家が全国を回っているみたいですね。MSXに限った話ではないのでしょうけどMSXは全般に値段もあがってきていてマニアの対象になっているっぽいです。
どうもありがとうございました。

 というわけで、「大須編」いかがでしたでしょうか。GWはMSXお宝探しでふだんは行かない街までちょっと遠出してみるのも良いかもしれません。あと神戸・三宮のガード下にもMSXはある、という情報がありますが、仙台や広島、福岡などの都市はどうでしょう。MSXが大量にある店とか何か情報がありましたらぜひご一報ください。ではまた!


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