4月10日に発売された『新しいMacBook』が、ようやく筆者のもとにも届きました。
あの衝撃的な発表の後、いつになったら注文できるのか分からない状態が続き、発売直前には筆者の周囲でも在庫僅少とのウワサで持ちきりになっていました。
4月10日の発売後も品薄が続いている新MacBookが、ようやく到着。個人的に仕事に使用するためのマシンなので、英語キーボードモデルにした。 |
発売日になってもアップルストアへの展示はなく、現在もなお世界的な品薄により新規の注文は4~6週間待ちの状態が続いています。この状況を見て、買おうかどうか迷っている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、筆者によるファーストインプレッションをお届けします。もちろんこの原稿も、新しいMacBookで執筆しています。
■価格以上の質感に満足
新しいMacBookは、最小構成でも14万8800円から(税抜)という高価なノートPCだけに、筆者が品質に期待していたハードルはかなり上がっていました。ただ、それを踏まえてもなお、第一印象として「この品質なら十分すぎるほどお買い得だ」と感じました。
背面のロゴは光らなくなったものの、MacBookらしさは健在。新色のひとつ、スペースグレーを選択した。モバイルノートとしてはかなり高価な部類に入るが、質感は文句なし。 |
ディスプレーを開くと、本体端いっぱいまで広がったキーボードが目に飛び込んできます。大昔のThinkPadのように分厚いノートPCではよくみられたデザインですが、新しいMacBookでは左右のポートを削ぎ落とすことで、幅いっぱいのキーボードが復活しています。今後のノートPCはこうあるべき、という強い信念のようなものを感じます。
通常のノートPCが搭載する多くのポートを排除したことで、本体幅いっぱいのキーボードを実現した。 |
さらに驚いたのは、パフォーマンスです。さすがにファンレスのCore MとRetinaディスプレーでは、“もっさり”は避けられないだろうと思っていました。しかし最初に電源を入れてからしばらくの間は、これがCore Mであることを忘れていたほどです。さすがに大きなアプリのインストール時には、AirやProに比べて時間がかかる印象があるものの、全体的な使用感は予想をはるかに上回っています。
ただ、使っているうちにじわじわと熱くなってくる発熱は避けられません。AirやProでは、冷却ファンの回転数を調整するユーティリティーを使って積極的に熱を下げることもできました。しかし新しいMacBookはファンレスであり、冷めるのを待つしかありません。これから夏場を迎えることを思うと、少し不安です。
なお、これまで筆者が使っていた11インチのMacBook Airは、第4世代のCore i7、8GBメモリー、512GB SSDとかなりスペックを“盛って”いたものの、新しいMacBookが届いてからはAirを持ち出すことはなくなりました。
■キーボードも良好だが、ヒンジにはやや不安
超薄型のキーボードはどうでしょうか。
これまでのMacBookは、ProからAirへとキーボードが薄型化してきました。初めてAirに触れたときには、あまりに浅いキーボードのストロークに戸惑ったものの、いまではProが深すぎると思うほどAirに慣れています。
新MacBookは、これがさらに薄くなっています。ストロークはしっかりとあるものの、タイピングの力を加減しないと指を痛める恐れがあります。カーソルキーの左右キーが大きくなったため、手探りでカーソルキーを打つときは違和感を覚えるものの、基本的な使い勝手はAirやProと同等です。
キーボードは非常に薄くなったため、ある程度慣れは必要。AirやProのつもりでキーを強打すると、指の骨にヒビが入るのではないかと思うほどだ。 |
MacBookの優れたトラックパッドは、従来以上に滑りが良くなっています。2段階の押し込みについてはまだ対応アプリが少なく評価が難しいものの、1本指タップをクリックに割り当てて使っている人にとって、基本的な使い勝手は同じです。
本体の構造で気になるのは、ディスプレーのヒンジです。同じテーブルで他の人がノートPCのキーを叩き始めると、その振動で新MacBookのディスプレーがわずかに揺れるのです。自分ひとりで新MacBookのキーを叩いている限りは問題ないため、ちょっと不思議な現象です。
ディスプレーが非常に薄いこともあり、他の人がノートPCを使う振動で揺れやすいという問題がある。 |
■USB Type-Cが便利になるのはこれから
USB Type-Cが1ポートで不便ではないか、という指摘は、たしかにその通りです。現時点では、USBデバイスを使いながら新MacBookを充電するにはHDMIかVGAのアダプターを購入する必要があります。
アクセサリーの『USB-C Digital AV Multiportアダプター』なら、USB Type-Cで充電しながらUSB 3.0デバイスを使える。 |
問題は、このアダプターの価格が9500円(税抜)と非常に高く、納期は4~6週間待ちとなっており、容易には買い足せない点です。今後はUSB 3.1 Type-Cに対応した制御チップの普及により、サードパーティ製品の拡大を期待したいところです。
いくつか難点はあるものの、新しいMacBookはクラムシェル型のノートPCとして間違いなく最高峰の製品という印象です。今後、あらゆるノートPCが新MacBookと比較されるという意味では、PCメーカーにとんでもないプレッシャーを与える存在でもあります。
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
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