最近、『マインクラフト(マイクラ)』が小学生のあいだで人気になりつつあるということをご存知でしょうか。こちらの記事でも取り上げさせていただきましたが、3月21日(土)から始まった『マイクラ部 全国キャラバン』では多くの親子連れが訪れ、PS Vita版やPS4版の『マイクラ』を楽しんでいました。
また、『マインクラフト』とはどのようなゲームか知りたい方はこちらの記事も読んでみてくださいね。
■なぜ小学生の間でマイクラが流行しているのか?
「小学生の間でマイクラがはやっているよ」と聞いたときに、私は耳を疑いました。なぜなら、マイクラはできることが多すぎて、楽しいのですが難しい部分もある“大人向け”のゲームだと思っていたからです。
しかし、『マイクラ部 全国キャラバン』の東京会場に行ってみると、みんな楽しそうにマイクラをプレイしているのです。
↑『マイクラ部 全国キャラバン』の会場内の様子。 |
来場していた小学生たちに「マイクラをプレイしてみて楽しかった?」と聞くと、「楽しかった」と口をそろえていました。ですが、意外だったのは「マイクラをもっているの?」という質問に対しては、「もっていない」と答えた子が多かったことです。マイクラを知っているが、プレイするのは初めてという子もいました。
では、どこでマイクラを知ったのか。そのきっかけが気になったので聞いてみると、どうやら友達がプレイしていて、その話を聞いて知ったという小学生が多いようです。今回、話をきいた小学生全員が「マイクラを遊んでいる友達がクラスにいる」と答えました。
おもしろいデータがあります。小学館が主催する『次世代ワールドホビーフェア'15 Winter』で、マイクラを試遊した小学生にアンケートをとったところ、7割が学校のクラスでマイクラをプレイしている友達がいると答えました。さらに、「何人の友達がプレイしているか」というアンケートには、4人以下が多かったものの、10人以上いると答えた人も15%以上とかなり多いことがわかりました。
このことから、小学生の間でマイクラが浸透しつつあることがわかります。また、4人以下が多いということは、のびしろも十分にあるということです。
■実況動画でマイクラを楽しむ子供たち
友達がすでに遊んでいること以外に、マイクラ人気を加速している要因が“ゲーム実況動画”です。
『マイクラ部 全国キャラバン』の会場で子どもたちに、「マイクラ動画をみたことがある?」と聞いたところ、ほとんどの子が「見たことがある」と答えました。
“マイクラ部”自体が実況動画を公開しているので、見たことがある子が多いのは当然と言えば当然ですが、実況動画でマイクラが人気なのは確かです。
例えば、動画共有サイトのYouTubeで、“Minecraft”と検索すると6000万件以上の動画がヒットします。この検索結果には国外から投稿されている動画も含まれているので、“マインクラフト”と日本語で検索してみました。それでも約96万5000件と100万件に近い数の動画が投稿されています。
また、チャンネル登録者数100万人を突破する人気YouTuberのHIKAKINさんやマックスむらいさんもマイクラ実況動画を投稿しています。そして、マックスむらいさんはチャンネル登録者のユーザー層についてこうコメントしています。
「13歳から17歳までが40%以上、18歳から24歳までが30%以上。13歳から24歳までで80%になるんです。システム上、13歳以下のデータを取ることはできませんが、35歳くらいで登録ユーザーの山がもうひとつできています。おそらく、小学生以下のファンが親のアカウントを使ってみているのではないかと思うので、実際はもっと低年齢層がいると思います。
YouTube全体のユーザーの年齢層は、それほど低いわけではないのですが、私やHIKAKINさんのチャンネルは、ぐっと低いですね。」
内閣府が今年の2月に発表した『平成26年度 青少年のインターネット利用環境実態調査』では、スマホやパソコン、ゲーム機などでインターネットを利用しているという小学生が53%となり、実に約2人に1人がインターネットを利用しているそうです。ちなみに、中学生は79.4%、高校生は95.8%でした。
また、小学生のインターネットの利用内容は、73.8%が“ゲーム”で、次いで“動画視聴”が53.7%、“情報検索”が48.4%となりました。
この結果からもわかるように、小学生の4人にひとりが動画を視聴しているということです。インターネットに投稿される動画が一種の“メディア”のような影響力をもつようになっているのではないでしょうか。
実は、週刊アスキーのYouTubeチャンネルでも『マイクラ』のゲーム実況動画を公開しています。初心者の方でもプレイできるように、基本的なところからご紹介しているので、ぜひ見てくださいね。
週刊アスキーチャンネルはこちら
■PS Vitaの救世主になれるか
ここまでは、マイクラが小学生に人気になっているということを見てきました。そこで、気になったのが「小学生は、どのデバイスでマイクラをプレイしているのか」です。マイクラはもともとPC用のゲーム。世界中で大人気となり、XboxやPS3、PS4、PS Vitaと続々とコンシューマー機向けのタイトルが発表され、スマホ版アプリ『マインクラフト ポケットエディション(PE)』も登場し、さまざまなバージョンがあります。
『次世代ワールドホビーフェア'15 Winter』でのアンケートの結果では、マイクラをプレイしたデバイスでもっとも多かったのはスマホで、次いでPS Vita、タブレットという結果になりました。
これは、小学生がスマホやタブレットをもっているのではなく、親の端末を借りてマイクラPEをプレイしているということでしょう。
また、PS Vita版のマイクラは2014年10月29日に配信されたにも関わらず2番目にプレイされているデバイスになりました。
イベントが開催されたのは2015年1月末から2月にかけてですから、3ヵ月ほどで『マイクラPE』を追い上げてきたということです。すごい! 子供の立場で考えれば、親から借りてプレイするより、自分が所有するデバイスで遊ぶほうがなにかと都合が良いですよね。
PS Vita版の販売本数は1月26日の時点で20万本を突破しています。この数字はPS4版や、PS3版を含めたPS版の販売本数の40%を占めています。さらに、3月19日にPS Vitaのソフト版が発売され、これまでダウンロード販売しかされていなかったマイクラがソフトで買えるようになりました。これによりダウンロード販売に抵抗があるユーザーも手に取りやすく、プレゼントとして送りやすくなるなど、少なからず影響することでしょう。
しかし、昨今では小学校高学年で“自分のスマホ”を所持している子どもが増えています。
デジタルアーツが行なった『未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査』では、小学校高学年でスマホを所持している割合は約38%となっています。また、中学生では約55%、高校生にいたっては約88%と、スマホをもっているのが当たり前になりつつあります。
スマホをもっていればマイクラPEをプレイできるわけですから、PS Vita版が今後の主流になり、PSPにおける『モンスターハンター』のように、PS Vitaの販売台数に大きな影響を与えるかと言うと、そこまでの影響力はないでしょう。
子供が「マイクラやりたい」と言い出したときに、新しいキャリア端末を買い与えるのは現実的ではありませんが、PS Vitaなら比較的に安く手に入る利点もあります。しかし、親が2台目、3台目のスマホ・タブレットを所有しているケースも増えてきています。使っていない端末を与える、という人も多いでしょう。
■親子で楽しむマインクラフト
私が子どものころは、テレビゲームをしているとよく親から「ゲームばっかりしていないで勉強しなさい!」と怒られたものです。たぶん、現在でもあまり変わっていないと思います。
親はマイクラをプレイしている子どものことをどのように思っているのでしょうか。
そこで、『マイクラ部 全国キャラバン』の会場で「親はどう思っているのか」という質問をしてみたところ、マイクラをプレイすることに否定的な意見を持っている人は少ないことが分かりました。
なかでも、「マイクラは、自由に組み立てることができるので、創造力がつくのではないかと思う」という意見が多くあり、発想力・創造力を育てる遊びとしても注目されています。
確かに、ブロックを積んで何かを作るという行為は、積み木やレゴブロックを彷彿とさせますね。
4月2日に『マイクラ部 全国キャラバン』のイベントに参加したパパイヤ鈴木さん親子もマイクラの世界を楽しんだようで、体験した感想を聞かれると「(息子に)助けられながらでしたが、楽しかったです」と回答。長女の彩花さんは「家族で冒険したいです」と話ました。
小学生の子どもの間で流行している『マイクラ』を、今度は家族のコミュニケーションツールとして使って見るのもいいかもしれませんね。
↑『マインクラフト』をみんなでできて楽しそうなパパイヤ鈴木さん親子。 |
ここまで、小学生のマイクラ事情を見てきました。いかがだったでしょうか。実況動画人気やさまざまなハードへの対応など、まだまだマイクラの世界は広がっていきそうです。
それにともない、親子のコミュニケーションの取り方も変わっていくのでしょう。かつて、キャッチボールやサッカーなどをしてコミュニケーションをとっていた時代から、『マイクラ』を通してコミュニケーションする時代がくるかもしれません。
■関連サイト
・マインクラフト
・マインクラフト(PS版)
・マイクラ部
・平成26年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
・未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査
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