手洗い場や厨房の蛇口にとりつけるだけで、水の使用量を通常の5%まで減らせる。そんな魔法のようなノズルがある。
大阪生まれのスタートアップ、DG TAKANOが売っている『バブル90』だ。TBSの生活情報バラエティ番組「がっちりマンデー!!」で放映、これはすごいと注目を集めた。
業務用で、価格はオープン。バブル90を使ったところ、あるラーメン屋チェーンでは水道代が年間120万円が66万円、同じくある部品組立工場では年間200万円が130万円に下がったというから驚きだ。今後はシステムキッチンで使える家庭用も開発する予定とのこと。
ウォシュレットなどで使われる、水泡(バブル)を含んだ水「脈動流」を水圧だけで生み出し、少ない量の水でも強力な洗浄力を得るしくみ。ただ水に空気を含ませるだけでなく、空気を振動させて水泡を作り出し、勢いよく吐き出す構造を独自技術で実現させた。
蛇口のあらゆる規格に対応し、メンテナンスも不要。取り付けるだけで5~10年は使えるそうだ。
もっといいモノが作れる
開発元DG TAKANOの高野雅彰代表は、東大阪市の金属加工工場の3代目で開発者だ。
あるとき工場に節水製品を持ち込まれ「これと同じものを作って欲しい」と言われた高野代表。「いいですよ」と二つ返事で引き受けたが、その市場価格を聞いて驚いた。
「この程度の製品がそんな高価に売られているなんて」
うちで作るなら、もっといいモノが作れる。そんな思いからバブル90の開発を開始した。
「良いものを適正価格で」という思いから計17回もの試作をくりかえし、2008年の開発開始から1年ごしで現在の形を完成させた。
節水の魔法で世界の問題を解決する
「目標は世界を『節水する』ことだ」
高野代表はそう語る。見据えているのは水ビジネスだ。
「地球は水の星と言われるが、98%は海水だ。水不足が深刻化する中、農業用水は使える水の70%を使っている。世界で必要な食料が倍増すると言われる中、使える水を増やさなければならないと、水メジャーがプラントやインフラを作っている」
水ビジネスの市場規模は2025年までに世界110兆円規模にふくらむとされる試算もある。一方、水メジャーはフランス・イギリスが中心。そんな水メジャーに対抗できるだけの実力がバブル90にはあると高野代表は考えている。
「われわれに水のプラントは作れないが、バブル90はプラントを作るのと同等の力を持つ。1人の水の消費量が1日10リットルとすれば、70億人が1日700億リットルの水を節水できることになる」
大阪の金属加工工場で生まれた小さなノズルが、魔法のような力で世界の問題を解決せんとしている。素直に言える。これはすごい。
■関連サイト
バブル90
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります