↑まだ雪の残るNECパーソナルコンピューターの米沢事業場。 |
NECレノボ・ジャパンは3月18日に山形県米沢市にあるNECパーソナルコンピューター(以下、NEC PC)の米沢事業場にて『ThinkPad』の生産を記念した植樹式を行なった。同事業場では2月より『ThinkPad X1 Carbon』と『ThinkPad X250』の米沢生産モデルの生産・出荷を開始している。
↑米沢事業場で生産された『ThinkPad X250』。 |
植樹式ではNECレノボ・ジャパングループのCEO、ロードリック・ラピン氏の挨拶に続き、米沢市長の阿部三十郎氏が祝辞を述べ、花水木の植樹を行なった。阿部氏の祝辞のなかで、ふるさと納税のお礼の品として高額納税者に対してNECレノボの製品を贈られる予定ということが明らかになった。
↑植樹式には米沢市の公式ゆるキャラ『かねたん』(左)もお祝いにかけつけた。 |
米沢事業場は現在のノートPCの原型となる『PC-8401A』を開発した歴史があり、現在もNEC PCの『LaVie』シリーズや法人向けのデスクトップPCなどの重要な製造拠点。その長い歴史に裏付けされた独自の製造ノウハウを生かし、2万種類にも及ぶBTO仕様の製品を製造している。
米沢事業場の入り口近くには、『PC-8401A』やPC-9800初のノートPC、その他NECの歴史に名を轟かす名機の数々が展示されていた。
米沢事業場のラインは横に長く伸びており、製造は少数の作業員が1から完成まで行なうセル生産方式を採用している。各PCの構成はICカードで管理されていて、カードを読み取ることでCPUやメモリー、ストレージといった情報を表示して管理している。
作業は複数の作業員で行ない、Bの作業員の手が空いたら、Aの作業員は現状終わった作業までをチェックして引き継ぎ、新しい製品の作業に入る。そうしたリレー方式により、すべての作業員の手持ち無沙汰にならないようにして効率化を図っているという。
↑各パーツの収集状況、どの工程を誰が行なったかなどもディスプレーに表示され、常に一覧できるようになっている。 |
器具に関しても工夫が行なわれている。吊り下げられたドライバーなどは、手を離すと自動的に引き上げられて収納され、作業の邪魔にならないよう端にスライドされる。また、各部品は稼働する棚に置かれたおり、必要な部品を取りたい場合は、ボタンを押すと最も取りやすい腰から胸の間の高さに移動する。
また、同事業場では現在の作業手順や工程など、あらゆる改善点を生産現場の提案を収集し、効率化や品質向上に努めているという。こうした、行ないは中国の生産現場にはないことなので、国内生産の安全性の裏打ちとなっていると感じた。
製造ラインは60本で、現状うち40をノートPC、20をデスクトップで使用。ThinkPadシリーズはそのうち2本を使用しているが、ノートPCのラインならいつでも移行できるとのこと。サーバーのみはデスクトップのラインでも手狭なため、新しいラインをつくる必要があるようだ。
同社によると、現在ThinkPadシリーズは生産開始に先立って予約を開始したこともあり、納期まで10日かかっているという。しかし、今後生産ラインを増やしたり、NEC PCの製造ノウハウを生かし、4月中には最短5日へ短縮するとのこと。5日とは最初の1日で注文が行なわれ、2日目に受注、3日目に製造し、4日目に検査などを行なって出荷、5日目に届くという目算のようだ。
↑本体の底面やバッテリー部のシールには日本で組み立てていることをを示す“Assembled in Japan”の文字が記載されいている。 |
↑工程の最後に箱詰めされる際に、米沢生産を示すシールが外箱の側面に貼られる。 |
↑注残を処理するため残業や休日出勤の続く工場で働く職員に向かって「4月になって通常シフトに戻ったら、家族などと過ごして欲しいと」激励するラピン社長。 |
同社は今後米沢工場でBest of CES賞を受賞した『LaVie HZ』の米国モデルの開発・出荷。同社のx86サーバーの生産やメインストリームのノートPC、ThinkCenterといった主要機種の生産の拡大、新しい米沢生産限定モデルの生産などを予定しているとのこと。
一方、海外からもSNSなどを通して、「米沢生産モデルを買えないのか?」という質問を受けることがあるので、今後グローバルに米沢生産モデルを出荷していくことも検討しているようだ。
↑出荷直前のThinkPadシリーズ。 |
米沢工場はまだ余裕があり、10%のキャパシティーアップも可能とのこと。今後、Xシリーズのみならず新たなThinkPadシリーズが、安心の高品質で手早く手元に届くことに期待したい。
■関連サイト
ThinkPad米沢生産モデルのページ
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