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基本性能に死角がないエントリーゲーミングPC、MSI『GP60 2QE』の実力

2015年03月17日 13時30分更新

 新年度を迎えるにあたり、「そろそろ最新ノートPCに買い替えようかな……」と思っている人も多いはず。ノートPCといっても持ち運びしやすい超薄型機から据置き前提の超大型モデルまでさまざまありますが、持ち運びを考えなければ価格とスペックのバランスがとりやすい15インチ前後のモデルがオススメです。光学ドライブを内蔵していることも多いですし、インターフェースで困ることも少ないはず。そこで今回は発売されて間もない、MSI製のフルHDゲーミングノートPC『GP60 2QE Leopard』をご紹介します。

GP60 2QE Leopard
↑MSI製のゲーミングノートPC『GP60 2QE Leopard』(GP60-2QE-881JP)。実売価格は14万9100円前後です。

一点豪華主義より死角のないスペックが吉

 まずは、GP60 2QEのスペックをチェックしてみます。見どころは、グラフィックに第2世代Maxwellベースの“GeForce 940M”を、ストレージにmSATA接続のSSDとHDDを搭載している点です。昨今では、15.6インチのフルHDノートPCなら、10万円程度でCore i7とGTX850Mを搭載したモデルが入手できますが、体感速度を一番左右しやすいOSの起動ドライブがHDDで遅めの機種が多いんですよね。しかし、本機はCPUにCore i5-4210H(2.9GHz、最大3.5GHz)、GPUにGeForce 940M(GTX850Mの1ランク下の立ち位置)ながらも、SSDとHDDのデュアルドライブ構成にした“バランス重視型”で、体感速度も遅くはありません。

■おもなスペック
CPU Core i5-4210H(2.9GHz、最大3.5GHz)
液晶ディスプレー 15.6インチIPS(1920×1080ドット、141dpi)
メモリー DDR3L-1600 8GB(最大16GB)
グラフィック GeForce 940M、Intel HD Graphics 4600(Optimus対応)
ストレージ SSD 128MB(mSATA接続)、HDD 1GB(毎分7200回転)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ
通信機能 IEEE802.11a/b/g/n/ac(最大867Mbps)、Bluetooth4.0
インターフェース USB2.0×2、USB3.0×2、HDMI、ギガビットLAN、オーディオ入出力ほか
サイズ/重量 383(W)×249.5(D)×37.6(H)mm/約2.4kg

GP60 2QE Leopard
↑左側はDVDマルチのトレイと、ゲームに強いとされる“Killer E2200”チップを採用した有線LANポートを搭載。こちら側のUSBポートは、スマホやタブレットの充電用に大電流を流せる仕様になっています。
GP60 2QE Leopard
↑HDMI出力やUSB3.0は左側。外部ディスプレーや外付けHDDなどを接続してもマウスの動きを妨げない(D-Sub15ピンは右側に備えていますが)仕様です。

 しかし、SSDとHDDのデュアルドライブにGPU搭載ノートなら、本機よりももう少し安い製品もありそうだが? という疑問も確かにあるでしょう。しかし、本機の強みは基本スペックの充実度に加え、キーボードなどの作りも低価格ノートPCより1ランク上の品質となっているのです。

 特に注目したいのは、ゲーミングデバイスでお馴染み『SteelSeries』とのコラボによるキーボード。パッと見普通のアイソレーションタイプだし、派手な発光機能もありませんが、打鍵のキレがよく、タイピングが軽快。また、Windowsキーが右側にあるのもゲーマー向けの配慮と言えますが、そのぶん左側のCtrlキーが大型化しているためCtrl+AやCtrl+Z/C/Vといった基本的なショートカットが押しやすく、ゲーマーでなくてもメリットのあるキーボードです。

GP60 2QE Leopard
↑MSIのノートPCといえばSteelSeriesコラボのキーボード。左側にWindowsキーがないので、ゲーム中に誤ってWindowsキーを押してしまう心配も皆無。
GP60 2QE Leopard
GP60 2QE Leopard
↑タッチパッドのつくりは至ってふつうですが、マウス装着時にパッドの反応をオフにできる専用のボタンがパッドの左上に配置されています。
GP60 2QE Leopard
↑キーボード上部には電源や無線LANのオン・オフを行うボタンのほか、ファンを一時的に全力で回す“Cooler Boost”用ボタンを配置。

 さらに、サウンドは“Sound Blaster Cinema2”を利用した高音質設計になっています。音質は外付けスピーカーに比べるとどうしても劣りますが、動画やゲームではクリアーで聴き取りやすい音が楽しめます。オーディオ入出力端子は、エントリーモデルには珍しく金メッキ仕様となっているため、音をしっかり楽しみたい人はヘッドフォンを装着すると良いでしょう。

GP60 2QE Leopard
↑ゲームなら迫力優先に、動画なら台詞を聞き取りやすい音質に調整する……といったシチュエーション別に最適化を行なう“SoundBlaster Cinema2”を標準搭載。

 純粋に価格だけを見れば本機はややスペック控えめの製品のように見えますが、キーボードやサウンドの質にまで気を配ったトータルバランスを重視したノートPCと言えるでしょう。元々はライトゲーマー向けのPCですが、仕事や趣味に使っても魅力的な製品と言えます。

軽めのゲームなら問題なく遊べる!

 では、本機がどの程度の性能なのか、ベンチマークでチェックします。比較対象として同社の薄型ゲーミングノートPCである『GS30 2M Shadow』と比較してみました。Core i5と専用GPUを搭載する本機と、Core i7-4870HQ(2.5GHz、最大3.7GHz)+CPU内蔵(Intel Iris Pro Graphics 5200)のGS30という対決です。

 まずは“3DMark”で3D描画性能の地力を比べてみます。GPUがエントリー寄りのため、テストはやや軽めの“Sky Diver”と、やや重めの“Fire Strike”で比較しました。一応、本機はGeForceを使わない状態(HD4600のみで描画)でも計測しています。

GP60 2QE Leopard
↑3DMarkのスコアー。Core i7+Iris Pro Graphics 5200を備えた『GS30 2M Shadow』よりも、外部GPUの本機の方が高スコアーという結果に。

 Core i7+インテル製の強力なCPU内蔵GPUを採用するGS30よりも、GeForce 940Mを使ったGP60 2QE Leopardの方が良いスコアーを出していることがわかります。超高画質な3Dゲームプレイにはややスコアー不足ですが、息抜きにちょっとゲームをしたいけどガクガクするような低性能なものはイヤ、という人向けのスペックと言えるでしょう。

 もちろん、Core i5なのでCPU性能にはある程度のハンデはあります。“CINEBENCH R15”でチェックしてみます。

GP60 2QE Leopard
↑CINEBENCH R15だと、Core i5とi7の差がハッキリと出ました。

 3DMarkではGPUの性能が重視されるため本機の方が有利でしたが、純粋なCPUの馬力勝負だとCore i7にブッチ切られてしまいます。ただし、オフィス系アプリや簡単な画像編集だと差はぐっと縮まるので、メールやWeb中心の使い方ならCore i5でも十分許容範囲となるでしょう。

 では、もう少しゲームの性能について踏み込んでみます。『FF14』の公式ベンチマークと『METAL GEAR SOLID V:GROUND ZEROES』でどの程度遊べるかチェックしてみました。ここからは本機のみでチェックします。

GP60 2QE Leopard
↑FF14の公式ベンチマーク。フルHDだと標準画質でなんとか遊べそうな感じです。
GP60 2QE Leopard
↑METAL GEAR SOLID V:GROUND ZEROESのフレームレートを『Fraps』で測定しました。画質を低めに落とせばフルHDでもしっかり遊べます。

 両方とも描画が軽めのゲームですが、解像度がフルHDだと30~40fpsをキープするには画質をかなり抑える必要が出てきます。『METAL GEAR SOLID V:GROUND ZEROES』だと、デフォルトの画質は“中~やや高め”の設定になっていますが、これを“中~低”設定に落とすことでフルHDでも遊べるパフォーマンスになります。「ゲームを高画質でガッツリ遊びたい!」という人には不向き(そういう人はGTX860M以上のノートPCを選ぶのが吉)ですが、ライトに楽しみたい人ならこれで十分かもしれません。

 最後にアイドル時(起動10分後)と高負荷時(ゲームを30分遊んだ時)のCPUとGPUの温度およびファンノイズを比較します。室温24℃、暗騒音34デシベルの室内で計測しました(騒音計は液晶から40cmの位置で測定)。また、ゲーム中に限り“Cooler Boost”機能を効かせた状態でも計測しています。

GP60 2QE Leopard
GP60 2QE Leopard
↑ファンノイズと温度の比較。比較的ファンノイズは大きめです。

 ノーマル状態だとCPU温度はやや高めではあるものの、元々が低発熱設計というだけあって、ゲーム中でもかなり温度は低くなっています。しかし、アイドル中であってもファンはある程度回るので、ファンノイズは小さいながらも聞こえている状態です。静音より確実に冷やすことを選択した設計と言えるでしょう。

 また、Cooler Boostの効果は絶大ですが、ファンノイズも相当大きくなるため、ゲーム中にずっとオンにするというよりは、夏場などに「発熱がヤバいかな?」と思った時に行ない、スポット的に有効化するという使い方になりそうです。

本格ゲーマーよりもよくばりなライト層にイチオシ

 コアゲーマーにとってはGeForce 940Mの力不足感は否めません。最新ゲームをフルHDでガンガン遊びたい、という人は先に述べた通り、GTX860M以上のGPUを載せたノートPCを選ぶべきでしょう。しかし、本機を利用して最もしっくり来るのはライトユーザーです。「PCで一般的な作業もしたいしゲームもしたい」という要求をキチンと満たした上で、良質なキーボードやサウンドも備えているバランスの良さが何よりも魅力的です。

 しかも、OSの起動ドライブがSSDなのでCPUやGPUだけ豪華でストレージはHDDというなマシンよりずっと快適に使えます。光学ドライブが標準搭載なのは今どきっぽくありませんが、まだまだゲームやソフトのセットアップ、リカバリー時には活躍することの多い装備。そう考えると後から「しまった!」と思うことのない、死角のなさがGP60 2QE Leopardの長所なのです。

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