週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

Xperia Z4 Tabletはなぜ世界最薄&最軽量、17時間駆動を目指したのか? 開発責任者に直撃:MWC 2015

2015年03月09日 19時30分更新

 バルセロナで開催されたMWC 2015で、ソニーから発表された『Xperia Z4 Tablet』。この商品企画を担当する統括部長 伊藤博史氏に、このXperia Z4 Tabletについてプレス向けにインタビューが行なわれた。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑ソニーモバイル統括部長 伊藤博史氏。

──今回発表したタブレットを10インチモデルとした目的は?

 タブレット市場のプライスレンジが広くなっているので、プレミアムレンジの部分でしっかりエンターテイメントを楽しめるタブレットを提供したいと考えています。こだわりのポイントは10インチクラスで世界最薄・最軽量。前モデルの『Xperia Z2 Tablet』でソニーモバイルが誇りとしている“薄さ”、“軽さ”、“エンターテイメント性”で好評を得ているので、そこをさらに進化させていかにタブレットのユースケースを広げられるかということにこだわって企画した商品です。このクラスでこれ以上軽い薄い製品はないはずです。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑手に持つと想像以上に軽さを感じる仕上がり。

 タブレットは少しでも重量があると、持ち歩かなくなり家に置きっ放しになってしまうので、まずはどれくらい軽くできるのかとうところのチャレンジがありました。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑黒いベゼルのZ2 Tabletの上に重ねてみると、ひとまわり小さくなっているのがわかる。

 日常生活で常にカバンに入れていられる重さを目指しています。たとえば、WiFiモデルは389グラムですが、この重さは350ミリリットルくらいの缶ジュースと同じくらいの重さなので、これなら持ち歩けるのではないかと思っています。

──Z3 TabletではなくZ4 Tabletとした理由は?

 スマホに関してはZ3が好評なので、引き続き販売していきたいと考えています。今回、Z3ではなくZ4とネーミングしたのは、まずCPUとOSがアップしていて、新しいプラットフォームになっているためです。

 CPUにはSnapdragon 810を採用しております。オクタコアで64ビットのCPUとなっており、Z2 Tabletとの比較では処理能力は2倍にアップしています。また、OSはAndroid5.0(Lollipop)を採用。こちらも64ビットOSになっています。

 次に、エンターテイメントとしてのこだわりです。ディスプレーで2K表示の高精細パネルを使用しています。ディスプレーは高精細に振ってしまうとどうしても全体的に暗くなりがちなのですが、エンジニアの力で、Z2よりも40%も明るく仕上がっています。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑音楽系のアプリ名が『WALKMAN』から『Music』に変更されているが、基本的にはエンタメ系のアプリはZシリーズのものが引き継がれてる。

 音に関しても、評価の高いハイレゾ再生・出力機能とノイズキャンセリング機能はそのままで、Z4 Tabletではハイレゾ音源をワイヤレスでも再生できる『LDAC』というコーデックにも対応しています。

 LDAC対応のヘッドホンと組み合わせれば、ワイヤレスで良い音を楽しんでいただけます。

 このあたりの機能は次世代モデルの先取りという意味もありますので、Z3 Tabletではなく、Z4 Tabletというネーミングにしました。

──スマホ版のZ4は、Z4 Tabletをコンパクトにした感じになるのでしょうか?

 スマホ版のZ4に関してはお話できることがないのですが、ソニーモバイルとしては単純にプラットフォームをアップしただけの製品はつくりません。それ以上のことを期待していただきたい。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑スマホ版は海外向けのスーパーミッドレンジ『Xperia M4 Aqua』が発表されたのみ。ハイエンドのZ4は夏以降か!?

──バッテリー容量は前モデルと同じ?

 CPUパワーがアップして、さらに軽量薄型化していると、気になるのがバッテリーの持続時間だと思います。バッテリー容量は6000mAhでZ2 Tabletと同じですが、こちらもエンジニアの“マジック”で、それ以上の性能を実現しています。

 たとえば、ビデオの再生時間では連続で17時間となっています。この17時間というのにもこだわりがありまして、これは飛行機のフライト時間の最長時間が約17時間ほど(デルタ航空のアトランタ-ヨハネスブルグ線)ということで、そこを目指しました。

──バッテリーでは充電コネクターがUSBだけになりましたが。

 今回から、防水機能は維持しつつ、USBポートはキャップレスとなりました。もともと充電ポートはキャップを外さずにサッと充電できるように考えて開発したのですが、キャップレスのUSBポートなら同じように手間をかけずに充電できます。そこでコネクターに関してはUSBにフォーカスということにしました。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑キャップレスのマイクロUSBポートとなり、専用の充電ポートがなくても問題なし(写真ではセキュリティーでふさがっている)。

──専用キーボードも発売されるようですが。

 今回はタブレットのユースケースを広げるために、専用のBluetoothキーボードを用意しました。キーボードにも弊社ならではのこだわりがあって、チルト機構で0度から130度までのところで自由にディスプレー位置を固定できます。タッチパッドを搭載したり、キーピッチとキーストロークもPCの使い勝手と近くなっています。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑タッチパッドを搭載し、ペアリング時は専用のツールメニューも表示される。

 遊びも仕事もとことん使いこなすスタイリッシュな製品に仕上がりました。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑ヒンジもしっかりしつくり込まれており、薄型でもたわみが少なく丈夫。

──Androidタブレットを仕事で使う層というのはどれくらいいるのか?

 今回のZ4 Tabletで狙っているのは、会社でガッツリ使うという層ではなくて、メモを取ったり、自宅でちょっと書類の手直しをしたいなどライトユーザーをターゲットとしています。こういったライトユーザーがかなり多いのではと考えています。

──以前ほど“One Sony”というキーワードを聞かなくなりましたが……。

 他事業部との協業や協力が“One Sony”というかけ声で、今は当たり前のようにできるという状況になっていると思います。そのうえでさらに、この次はどうしていこうかという議論に入っている段階です。“One Sony”というかけ声でできる次のこと、それを踏まえた上でのコミュニケーションや協業の形を模索し始めている最中です。

 たしかに“One Sony”というキーワードは目立たなくなってきているかもしれません。先ほどの『LDAC』についても、他部署の開発したコーデックを採用しているわけです。あまり目立ってアナウンスはしていませんが、それだけ“One Sony”の考えが社内では根付いているということだと思います。

Xperia Z4 Tablet インタビュー
↑関連製品として、動くBluetoothスピーカー『BSP60』も登場。ソニーらしい楽しさを追求した製品に期待したい。

●関連サイト
ソニーモバイル

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう