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世界初! ソフトキャンディ『ぷっちょ』を燃料にしたロケット打ち上げ計画

2015年03月06日 10時30分更新

 UHA味覚糖は、ソフトキャンディー『ぷっちょ』をロケットの“燃料”に使用したハイブリッドロケット『Candy Rocket Project』打ち上げ計画を、3月4日に特設ページで公開した。

CandyRocketProject

 秋田大学 秋田宇宙開発研究所の和田豊所長と、和歌山大学 宇宙教育研究所の秋山演亮所長、さらに国立天文台 チリ観測所の阪本成一教授との大真面目な共同プロジェクトで、今週末の3月7日(土)には、和歌山県内で実際にロケット打ち上げが行われる予定。

 ハイブリッドロケットとは、固体燃料と液体の酸化剤、2種類の推進剤を組み合わせたエンジンで飛行するロケット。燃料と酸化剤が交じり合わず、爆発の危険性が少ないため、安全に取り扱えるというメリットがある。

 固体燃料には、低コストなポリエチレンやポリプロピレンなど、日常的に生活の中で利用されている素材が使われているが、今回はその固体燃料に『ぷっちょ』を使おうというもの。

 “糖分を多く含む高カロリー食品を用いる”という阪本教授の提案により、プロジェクトがスタート。ロケットの推進力を生み出す源は、キャンディーの甘い美味しさのもととなる“ショ糖”だ。

CandyRocketProject

 ロケットのエンジン部分は和田所長が設計、開発を担当。ロケットの燃焼器には、20個のぷっちょが筒状に詰められている。ここに酸化剤となる液化ガスを入れ、キャンディに点火。キャンディーの表面が溶けながら燃え、発生したガスがロケットを飛ばす推進力になる。そのため、重要となるのが、ロケットを飛ばす際に、ぷっちょが十分に燃える環境をつくることだ。

 それにしても、キャンディーでどのようにロケットを飛ばすのか? ぷっちょ燃料はロケットに向いているのか? 和田所長に聞いてみた。

CandyRocketProject

――ハイブリッドロケットということは、キャンディーに含まれる糖分が燃焼して発生するガスがロケットの推進力を生むということですか?

和田所長「そうです。キャンディーは主に水飴と砂糖が主成分となり、どちらも糖(麦芽糖、ショ糖)です。さらに分解するとブドウ糖やフルクトース(果糖)などで構成されており、いわゆる炭水化物に分類されます。

 炭水化物は炭素と水素、酸素で構成されていて、燃焼すると炭と水になります。ここに液体の酸化剤を加えてさら高温にし、完全燃焼させることでこれら糖類の成分がガス化しロケットの推進力になります。糖類はカロリーが高いので多くのエネルギーを燃焼によって絞り出すことができるのです。」

――ハイブリッドロケットの燃料には、これまで樹脂が使われてきたそうですが、キャンディーの推進力もこうした燃料に引けをとらないのでしょうか。

和田所長「“カロリー”としては引けをとらないどころか、とても優秀なのですが、“燃焼”という概念からすると、ポリプロピレン等の高分子材料の方が燃焼性が良いです。糖類は五員環や六員環などの構造を持ち、バラバラにするためにエネルギーを使うため、できるだけ環状構造を取らないほうが燃焼性は良いのですが、今回のように燃やし方を工夫することでハイブリッドロケットの燃料として利用することも可能です。」

――ショ糖といえば、氷砂糖も高純度のショ糖のかたまりですね。それに比べて、ソフトキャンディーには何かロケット燃料に適した性質があるのですか?

和田所長「もちろん、氷砂糖も有望だと思います。ですが、もしも今後もっと大きなロケットにチャレンジする場合は、構造的に燃料に弾性がないと自重で割れたり崩れたりしてしまいます。ソフトキャンディーはある程度の弾性があるため、今は小さいロケットとはいえ、ソフトキャンディーのほうが大型化の可能性を秘めていると思いますよ。」

 なんと……ぷっちょは大型ロケットへ発展の可能性を持つ、優れた固体燃料だったことが判明! では、もうひとつ気になる点を聞いておきたい。

――燃えるぷっちょの力で飛ぶロケットは、……やはり後に甘い香りを残すのでしょうか?

和田所長「そうですね、甘い香りがするかどうかは、ぜひ現地で楽しみにしておいてください(笑)」

CandyRocketProject
こんな感じでロケットに乗っているのではと想像してしまう。

 わくわくが止まらない『Candy Rocket Project』計画。筆者は、打ち上げを見守るため、和歌山に行ってみようと思う。続報をお楽しみに!

■関連サイト
世界初! キャンディでハイブリッドロケットを飛ばせ!

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