12月13日に公開された「ゼロ・グラビティ」。VFX(ビジュアル・エフェクツ)によるリアルな宇宙空間の描写が話題の本作に合わせて、宇宙映画が見たくなりました。諸富デスクは「アポロ13」、藤村編集者は「ミッション・トゥ・マーズ」を見ました。
アポロ13
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いやー、ビックリした。今回初めて見たんだけど面白くて。トム・ハンクスが若えー! と思ったら1995年公開だから、もう18年前の作品なのね。お肌ツルツル。当時相当話題になったし、アカデミー賞も獲ってるからまあそれなりに期待できるだろうと思ったら、想像以上に面白かった。
僕ね、SF映画は好きなんですけど、こういうリアルな宇宙映画はあんまり好きじゃないんですよ。なんか息苦しいじゃないですか。ていうかね、あんな窮屈そうな服を着て、乗り心地の悪そうなロケットに乗ってまで宇宙に行こうという人の気が知れない。だってさ、出発前から帰ってくるまで、ずっと命懸けなわけでしょ?
アポロ13号は行って帰ってくるまで6日間かかってるんだけど、それって6日間ずっと、バンジージャンプをしてはジャンプ台に上ってまた飛び降りて、みたいなことを繰り返してるようなもんですよ。それでもバンジージャンプのほうがまだなんぼか安全かもしんないってくらい。この映画は事実に基づいてるらしいけど、マジ綱渡りっすよ。
NASAなんて米国のエリート中のエリートが集まった機関という印象がありますが、この映画を見る限り、お気楽脳天気野郎どもの手段です。基本的に「成功すること」が前提になっていて、失敗したらどうしよう、というプランはない。まあ脚色もあるでしょうけど、もしこの映画で描かれているようなやり取りが実際に交わされていたのなら、月面着陸なんてマジ狂気の沙汰としか思えない。事故への対策が全部ドロ縄なんだもん。え、それ想定してなかったん? みたいなことの連続。「アルマゲドン」が結構リアリティのある映画に思えてきますよホントに。
つーか、アポロ13号って1970年の話なんですよ。日本じゃようやく一般家庭にカラーテレビが普及してきた頃です。Macどころかパソコンのパの字もありゃしません。当時最新鋭の宇宙船アポロ13号の計器類や操作系も、全部カチカチするボタンとかガチャガチャ回すダイヤルとか、そんなんです。コンピューターも搭載してるんですけど、たぶん性能的にはいまのiPhoneのほうが何倍も高いはず。でね、電源をギリギリまで節約するためにコンピューターをいったん止めて、鉛筆で軌道計算とかしてる。もう見てらんない。
そんで、いよいよ大気圏突入ってときになって極低温の状態からコンピューターを再起動するわけですよ。当時のコンピューターが、そんな環境下でちゃんと再起動する保証とかまったくないわけですよ。Mac OSなんて2000年代になって出てきたOS Xでようやく安定してきたくらいなのに。火中の栗を拾うとか、そういうレベルじゃないっすよ。アメリカ人、本気でイカレてやがると思いましたね。
とまあ、そんだけハラハラする要素てんこ盛りなんで、140分の長尺ながらたっぷり楽しめます。いまなら2時間以内に収まるように編集されるとこでしょうけど、当時はまだハリウッドもイケイケだったのでね。トム・ハンクスの演技は文句ないし、ケヴィン・ベーコンやエド・ハリス、ゲイリー・シニーズといった渋い配役もいい。ちなみに、ゲイリー・シニーズは藤村編集者が見た「ミッション・トゥ・マーズ」に主役として出ております。しかもジムという名前で。ニヤリ。
そういうわけで、ハリウッドがまだ映画界の不動のセンターだった時代の、横綱相撲的な脚本、演出、演技が見られる作品です。それから、当時の最新のCGを用いて制作されたロケットの打ち上げシーンは、いま見ても見事です。映像好きはこのシーンだけでも見る価値あり。多分「ゼロ・グラビティ」と見比べても面白いはずです(諸富)
アポロ13
HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円
ミッション・トゥ・マーズ
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これまで見てきた宇宙を舞台にした映画の設定は、ふたつに分かれると思っていました。「誰かのために自分が犠牲になる」か、「地球に待つ人のために意地でも帰還する」か。絶賛公開中の「ゼロ・グラビティ」は後者に当たるでしょうか。
しかし、今回見た「ミッション・トゥ・マーズ」の結末はどちらとも違っていました。とにかく見ていただきたいのですが、宇宙と一体になったとでもいうような、斬新なエンディングです。実際にはあり得ない、と思いながらも目が離せませんでした。
設定は2020年、火星での調査がいまより進んでいる時代。火星に降り立って探索をしている最中に突然巨大な竜巻が発生します。ほとんどのクルーが死んでしまい、命からがら生き残ったひとりを救うため、新たに宇宙ステーションから救出隊が出動。彼らが火星に到着して遭遇したのは、巨大な人面石でした。
あとから調べてみて知ったのですが、1976年にNASAが打ち上げた火星探査機が、実際に火星の表面に人の顔のような岩を発見しているのですね。その後も1996年、2006年にも発表されており、話題になっています。本作はその人面石を元にして、地球上の生命の源は火星であることを描くSF作品です。
想像の域を超える不思議な展開はもちろんのこと、NASAが全面協力したという宇宙船内の様子や、宇宙映画に欠かせない息苦しいシーンなど、臨場感たっぷりの迫力のシーンばかり。SF映画が好きな方には、ぜひ見ていただきたい作品です。
ミッション・トゥ・マーズ(字幕版)
SD版レンタル:300円
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