今やレノボのブランドになった米モバイルデバイスの雄、モトローラ(現・モトローラ・モビリティ)。AndroidではDROIDシリーズ(米国・Verizon)など傑作と言えるスマホを数々と出してきたわけですが、日本国内でのリリースはかなり少ないのです。KDDIから発売されたPHOTON、RAZR、ソフトバンクから発売されたRAZR Mを思い出す人も多いでしょう。
過去にはドコモからも発売していました。それが今回発掘した、モトローラ製スマートフォン『M1000』です。
↑ドコモが発売していたM1000。 |
M1000の日本デビューは古く、2005年7月に発売されました。2008年7月がiPhone 3Gの日本発売であったことを考えると、3年も早く発売していたことになります。
海外向けのA1000をベースにドコモとの共同開発で日本市場に投入されたM1000は、“タッチパネルを備え、データ通信ができ、電話もできる”とまさに今のスマホの先駆けだったわけですが、この頃はまだ『スマートフォン』という名称もなく、電話機能付きの『PDA』と呼ばれていました。通信はFOMA(W-CDMA)、GSM/GPRSに対応しており、WiFiを利用することも可能です。なお、iモードには対応していませんでした。
↑電源を入れると、Mのランプが青く点灯。カッコいいぜ! |
画面サイズは2.9インチ。これでも当時のFOMA端末の中では最大でした。OSには旧NOKIAではおなじみのSymbian OS(Symbian OS 7.0/UIQ 2.1)が採用されています。タッチパネルは感圧式、文字入力は50音、ローマ字、携帯入力といったソフトウェアキーボードと手書き文字入力が可能です。フリックなどといった小洒落た入力はもちろんありません。
メインカメラのCMOSは約131万画素、サブカメラは約31万画素となっています。メモリーはRAM/ROMともに24MB、micro SDは256MBまで使えます。そう。GBじゃないのです、MBの時代です。
今となってはかなりロースペックですが、そんな時代でした。2005年と言えば、初代iPod shuffleが登場した年です。その頃に今で言うスマホが登場していたのですから「時代に対して早すぎたガジェット」だったと思います(少なからず日本では)。
↑SIMサイズは当たり前ですが通常SIM。マイクロSDカードも対応してます。 |
↑スタイラスは下部に収納されています。 |
しかしながら、デザインは色あせませんね。この武骨感。たまりません。
北米の匂いがプンプンします。
まさに男の道具です! さて、早速、電源を投入します。本体右側面の電源スイッチを下にスライドするとONです。
↑2.9インチTFT液晶、208×320ドットってこんなもんだったのです。 |
画面に『MOTOROLA 3G』のロゴが表示され、画面上のMのマークが青く光りました。そして、電源を入れて最初の感想は
ホーム画面が見づらい!
でした。現代スマホに慣れきってしまった私には2.9インチの画面はさすがに小さすぎました。フォントがカクカクしてるのも見づらさに拍車をかけているようです。でも、当時はこれでも最高スペックだったことを考えると、改めて「テクノロジーの進歩ってスゲーな!」となるのです。それではWiFiに接続して、ウェブサイト『週アスPLUS』を見てみることにしましょう。本体下部から内蔵のスタイラスを取り出して使います。感圧式なので必須です。
[コントロールパネル]の[接続]から[ネットワーク設定]を開き、設定します。
うん、なんだがすごく面倒くさいです。
この時代のモバイルデバイスはブラウザーを立ち上げればすぐインターネット、とはいかないのですよ。現代のスマホならブラウザーアプリのアイコンをタップするだけですからね。いやー、便利になったものです。
では、ブラウザーを開いて週アスPLUSを表示してみます。「おっ、読み込んだ」と思ったのも束の間、全然表示されません。待つこと5分、ようやく読み込みが完了しました。が、これはまともに見られる表示ではありませんでした。しかも、PCサイトを表示しちゃうんですね。そして、お約束のように固まってます。
↑週アスPLUSをブラウザーで表示。でも固まってますよ……トホホ。 |
ブラウザーはこんな感じで、色々なサイトを試しましたが、最近のウェブサイトの表示はキツイ感じでした。一方、メーラー、スケジューラーなどは今でもなんとか使えそうです。ちなみにカメラは131万画素ですから、……お察しください。
↑メインカメラで撮影。予想通りの低画質です。 |
モトローラM1000。間違いなく時代の斜め先を行き過ぎた名(迷)機でした。コレクションには良いかもしれません。この機種を触ると、いかに最新のスマホが高機能になったのかを実感する良い機会になります。
余談ですが、実はM1000以前に同様のタッチ操作端末『SH2101V』がシャープから2002年に発売されています。こちらはシャープ製PDA『Zaurus』(ザウルス)のOSをベースにしており、FOMA草創期の製品ながら当時としては高機能なため、実売価格は10万円を超えるという恐るべき高額機でした。今の高級路線のスマホだと、こちらが本家ご先祖様と言えるかもしれません。
↑次回はついに持ち込みレトロデジギアがやってきます。 |
さて、次回のレトロデジギア・ハンターは、ついに我が研究所に読者様提供のブツが持ち込まれます。「拝啓、甲斐様。Zipドライブの記事を見ました。当家にこういうものがあるのですが、いかがでしょうか?」というメッセージと共に送付されていた写真には、“Clik!”の文字。それは、壮大な未知との遭遇だったのです。次回も乞うご期待!
レトロデジギア・ハンターでは、今後もホコリをかぶって忘れられていた珍品やお宝を紹介していこうと思います。皆様からのタレコミも大歓迎です。「我が家にスゲーのあるぞ!」、「この珍品に光をあててくれ!」という方はコチラ(@ksgkkai)までご一報を!
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