渋谷ヒカリエで開催された、ITベンチャーの合同説明会「リアル・ウォンテッドリー」。500人近い転職希望者がつめかけた |
「年収は下がりましたが、働いていて楽しいです」
金融業界からITベンチャーに転職して半年という男性(31)が嬉しそうに話していた。社員数もケタ違いの大手企業では味わえなかった、仕事をしている実感があるそうだ。
渋谷ヒカリエで27日に開催された、ITベンチャーの合同説明会「リアル・ウォンテッドリー」。DeNAやグノシーなど人気の20社が集まり、500人近い転職希望者に仕事を説明していた。
主催は求人ベンチャーのウォンテッドリーだ。設立は2010年、資本金は1億2182万円。年収の記載がない求人サイトを運営。企業は仕事の内容やビジョンを語り、就職希望者を募集している。
とりわけエンジニアなどIT求人に強みを持って成長してきた。
ウォンテッドリーを使うのは「安いから」
「リクナビ」を抱える最大手リクルートを筆頭に、求人サービスは山ほどある。エンジニアやデザイナーを欲しがっているITベンチャーがウォンテッドリーを使うのはなぜなのか。
ウォンテッドリーで人を採用した会社に尋ねてみると「やっぱり安いから」と答えが返ってきた。
通常、人材紹介サービスは年収に対して数パーセントの手数料が必要になるが、ウォンテッドリーは月額3万5000円のシステム利用料しかかからない。別の企業は「リクナビさんに広告を出したときは、1ヵ月で180万円もした」とこぼしていた。
ウォンテッドリーは、収入や福利厚生など雇用条件を書いて雇用契約を結ばせるのではなく、あくまで企業と個人をつなぐ「マッチングサービス」を運営しているという建てつけ。そのためシステム利用料だけで運営できるという体になっている。
「顔が見える転職」がうれしい
一方、ウォンテッドリーで転職したエンジニアは「開発もするが英語が得意。できれば英語を使う職種がよかったが、リクナビにはほとんどそういう仕事がなかった」と話す。現在は英会話系のベンチャーで働いているそうだ。
ウォンテッドリーを使った転職者に共通するのは「実際に採用企業の担当者と会って、顔を見て話ができるのが嬉しい」という声だ。年収などの詳しい話は実際に会って話をすることになる。
「顔が見える求人」にこだわっているのは、リアル・ウォンテッドリーにも参加していた面白法人カヤックだ。
昨年上場したカヤックは横浜の事務所に200人の従業員を抱え、企業から依頼されたアプリ、自社で企画したゲームアプリの制作が主な事業。求人にあたっては社員の顔を見せ、「この人と働きたい人を募集します」という募集の仕方をしているそうだ。
「200人が1人ずつ連れてくれば、200人が採用できるわけだから」とカヤックの柴田史郎人事部長は笑っていた。
実際会場で、ITベンチャーは社員の紹介でエンジニアを採用することも多いと聞いた。大手からベンチャーに人を引っ張ってくると、事業規模の違いから価値感がちぐはぐになってしまう。そんな「ミスマッチ」が少ないからだそうだ。
年収より仕事内容、社名より社員。ソーシャルネットワークの力で、求人の姿がちょっとずつ様変わりしているみたい。
写真:編集部
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