TSUTAYAやTカードを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループによるベンチャー支援プログラム“T-VENTURE PROGRAM”の最終審査会が2015年1月20日に東京・渋谷のヒカリエで行なわれた。このプログラムはCCCグループのネットサービス促進のため、スピード感のあるベンチャーサービスといっしょに成長できるモデルをつくるのが目的。ベンチャーにとっても、サービスをいきなり約5000万人をほこる“Tカード”のT会員に届けられる大きなメリットがある。また、審査は同社のサービスプラットフォーム“T-SITE”との連携など考慮しサービスを選出され、T会員との顧客接点、マーケティング支援や必要に応じて資金提供も含めた支援が行なわれる。
2014年10月にウェブエントリーをスタート。1、2次審査を経て、集まった110企業の中から選ばれたベンチャー企業12社のプレゼンが行なわれた。プレゼンは自社サービスの紹介に加えて、T会員、T-SITEのサービスと連携して何ができるか提携後のサービス像を描いたもの。具体的でユニークなプランが集まった。
審査員のCCCの増田宗昭代表取締役社長兼CEOは審査のポイントにプラットフォーム、自然の取り入れ、互助会的な思想、特にT-SITEとも連携する新たなライフスタイルの提案を強調して上げていた。当初は最優秀賞1社と優秀賞2社が決まる予定だったが、急きょつくられた賞もあり最終的に7社が選出された。
最優秀賞はアグリメディアの“シェア畑”。都市と農業をつなぐをテーマに、都内近郊で専用区画で農園を持てるというサービス。サポート付きで、週末だけ作業をしにいくという利用も可能だ。売り上げは2012年のサービス開始以来、2年連続で400%以上で成長中。
T-SITEとの連携プランは、藤沢市辻堂のリアル店舗“湘南T-SITE”内にファームを設置して、野菜づくりを生活の一部に楽しめるようライフプランを提案する。またウェブサイトで野菜にまつわるコラムなど食を学べるコンテンツを提供する。自然とネットを結び付け、新たなライフスタイルの提案と審査のポイントにも合致していたところが評価された。
優秀賞にはワンモアのクラウドファンディングサービス“GREEN FUNDING(グリーンファンディング)”。自社サイト以外にもプラットフォームを公開しており、パートナー専用のファンドサイトを提供。モール型のクラウドファンディングサービスを目指している。
連携は専用のクラウドファンディングサービス“T-MIRAI”を立ち上げ、T会員の属性に合わせたファンドをレコメンドで提供する。いっしょに商品開発、イベント展開なども行なう。
もうひとつ優秀賞に選ばれたのは「デジタルの極みのコンテンツで子供を攻めている」と評され、審査員も使いたいと絶賛した子供の成長シネマサービス、コトコトのスマホアプリ『filme(フィルミー)』だ。アプリでスマホ動画を撮影し、アップロードすると自動で編集されたムービーを観られるサービス。利用者は500円でDVDメディアを購入できる。T-SITE限定でフォトブックをつくれたり、VODサービス“TSUTAYA TV”で遠隔地でも作成したムービーを視聴できるサービス連携などが示された。
審査員特別賞にはザワットの24時間フラッシュオークションサービス“スマオク””。毎日24回、最短5分で終了する限定のブランド品特化オークションを開催。リアルタイム性とゲーム性で参加者の購買意欲を促す。T-SITE内にオークションサービスの設置、TSUTAYAなどのリアル店舗で出品できるようになる連携や、TSUTAYAイベントでの芸能人チャリティーオークションの実施を想定する。
審査員特別賞の2つ目は、野菜のECサイト“坂の途中”、栽培計画の最適化などを行ない新規就農者を増やす。T会員の顧客属性に合わせて最適な野菜セットを送ろうとする。
Tカード賞にはつみきのソーシャル映画レビューアプリ『Filmarks(フィルマークス)』が選ばれた。スマホアプリ対応で気軽にレビューを書き込めるのが人気で、2年半で日本最大450万件のレビューを集めた。ご存じのとおり、映画レンタルを行なうTSUTAYAとは相性は抜群。CCCの増田社長も「うちがやらなければいけなかった」と評価していた。
わかりやすいユーザー体験とTポイント賞に選ばれたのが、“キャッシュバック賃貸”。サービスをとおして賃貸契約を結ぶと1万円以上が必ずキャッシュバックされるという、なぜ今までなかったのかというサービス。同サイトでは賃貸物件の掲載が無料、契約時に掲載費が発生。広告費、掲載だけして掛け捨てになっていた費用などをユーザーに還元する仕組み。Tポイントによる超高額キャッシュバックを実施し、提携サービスでの消費を促す。また引っ越しした顧客データの運用を計画する。
当日急きょ4社ぶんも賞が増えるほど、サービスのレベルが高く、具体性のある連携提案は実現するとおもしろいと思わせるものばかりだった。この日、審査で選ばれたベンチャーサービスは、実際にT-SITEとテスト連携して、今春にはベータサービス的に提供される予定。また継続的に審査会を行なっていくとのことで、この日選ばれたサービスの実装を含めて、今後の“T-VENTURE PROGRAM”の展開が楽しみだ。
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