ヤマハは歌詞とメロディーを入力するだけで楽曲のボーカルパートを作成できる歌合成ソフトVOVCALOIDの新バージョン『VOCALOID4』を都内にて発表。その様子はニコニコ生放送およびUSTREAMでも放送された。
VOCALOID4 Editor
VOCALOID4 Editorは、新たに声を激しく震わせてうなるような効果を付けられる“グロウル”や、2種類の歌声ライブラリをブレンドして、自由に音色をコントロールできる“クロスシンセシス”機能を搭載。
さらに、描画されたグラフでピッチやビブラートのかかり具合を視認できる“ピッチレンダリング”、従来では自動調整のみだったピッチカーブをオフにしてロボットのようなボイスを生成する“ピッチスナップモード”などが新たに追加された。
VOCALOID4 Editor for CUBASE
VOCALOID4 Editor for CUBASEは、VOCALOID4 Editorにスタインバーグ社のDAWソフト『Cubase7』の機能を加えたソフト。外部MIDI機器から入力されたMIDI情報を、リアルタイムにエディット画面に反映し、より効率的に音楽制作が行なえる。VOCALOID4 EditorとVOCALOID4 Editor for CUBASEは、単体では使用できず別途対応する歌声ライブラリが必要。
VOCALOID4 Library VY1V4
VOCALOID4 Library VY1V4は、VOCALOID4の性能を最大限に引き出せる、日本語の女性声の歌声ライブラリ。単体では使用できず、別途VOCALOID4 EditorとVOCALOID4 Editor for CUBASEが必要。価格はいずれもオープン価格で、詳細はわかっていないが機能が追加されたぶん従来モデルよりもやや高くなるとのこと。
イベントではヤマハ株式会社のVOCALOIDプロジェクトリーダーの剣持秀紀氏(左)が、VOCALOID4 Editorの新機能を解説。その後ヤマハシンセ プロダクトスペシャリストの青木繁男氏(右)がVOCALOID4 Editor for CUBASEを使ってデモを行なった。
青木氏は新機能のクロスシンセシス、グロウルを実際に加えて音を再生。また、MIDIキーボードなどでメロディーを作成する際、さ行などの歌い始めに息を吐く遅延をオフにして、リアルタイムに入力できる機能を紹介した。
↑画面は新機能のクロスシンセシス使用時のもの。後半にソフトのパラメーターを加えたことで、楽曲の後半が柔かい表現に変わった。 |
VOCALOID4の販売を記念したキャンペーンも発表された。すでにVOCALOID3を使用しているユーザーには、VOCALOID STOREにてVOCALOID4を5400円と低価格にてアップグレードするキャンペーンを実施。
加えて、これからボカロPをめざす人を対象に、2014年11月10日以降にVOCALOID3 EditorまたはVOCALOID3 Editor for CUBASEを購入して、領収書など購入履歴がわかるモノを所持しているユーザーには、VOCALOID4を無償でアップグレードする。
初音ミクの生みの親であるクリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉氏も登壇。
VOCALOID4に対応した『巡音ルカV4X』を発表。音符ひとつひとつに“強い”、“弱い”、“囁き”といった声の表情を設定できたり、フレーズの語尾に吐息を加えるといった、ユーザーひとりひとりが自分の思う声の表情を付けられる機能を搭載しているのが特徴。2015年2月下旬に発売予定で、直販価格1万7280円。
ルカV4Xをインストールすると『初音ミクV3』、『MEIKO V3』、『KAITO V3』の“Piapro Studio”の機能が増えてパワーアップする。また、これらの製品のVOCALOID4対応も検討中とのこと。
↑巡音ルカの声を担当した声優の浅川悠さんもゲストとして登場。収録時のエピソードなどを語った。 |
AHS代表取締役の尾形友秀氏からは、これまでVOCALOID2をベースとしていた『ボカロ小学生 歌愛ユキ』、『猫村いろは』、『SF-A2 開発コード miki』、『ボカロ先生 氷山キヨテル』の4製品をすべてVOCALOID4にすることが発表された。
また、VOCALOMAKETSの企画の『結月ゆかり』は、VOCALOID4に対応するほか、囁き系の新音源を加え『結月ゆかり 隠』として制作していることを明らかにした。
株式会社インターネットの代表取締役村上昇氏はビデオメッセージにて『メグッポイド』、『がくっぽいど』などの同社の製品すべてVOCALOID4で楽しめることを語った。
イベント後半では、VOCALOIDのIAから、1st PLACE株式会社の『IA』と『IA ROCKS』もVOCALOID4に対応していることが明らかにされ、音源のデモ映像が流れた。
さらに、『YOHIOloid』などの開発で知られるPowerFX社のCEOビル・ブライアント氏(左)からのビデオメッセージが流れ、それを急きょ声優の浅川悠さんが翻訳するといった一幕が。予定のない事態に概要をさっと伝え、エンディングにUSTREAMで発表会を見ている海外のユーザーに対して、英語でコメントを行なうといった、バイリンガルな一面を見せ、ニコニコ動画のユーザーを驚かせていた。
最後にVOCALOID4の発売を記念して、歌詞を入力するだけで楽曲が作成できるボカロネットの楽曲コンテストが発表された。11月21日から開催され、最優秀賞にはVOCALOID4 EditorまたはVOCALOID4 Editor for CUBASEと、VOCALOID4 Library VY1V4がセットで贈られる。
これを機にボカロPになってみたい!と思っている人は、ぜひ参加しよう。
●関連サイト
VOCALOID4公式サイト
巡音ルカV4X公式サイト
AH-Software
1st PLACE
ボカロネット
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