NTTとドワンゴの合同研究説明会が開催され、11月17日に『50周年記念 小林幸子in日本武道館~夢の世界~』で使用された『全天球映像向けインタラクティブ配信技術』を含む3つの技術が紹介された。
●全天球映像向けインタラクティブ配信技術
この技術は、バーチャルリアリティーLIVE配信に使われており、『Oculus Rift』などのヘッドマウントディスプレイを通して臨場感のある360°の3D映像を配信できる。
エンコードは、360°の映像を複数のタイル状態に分割してからおこなう。また、このとき高解像度の映像とは別に低解像度の映像も作成する。
↑画質の向上がひとつの課題となっているが、数か月で改善できるだろうと見込みを語った。 |
配信時には、ユーザーの視聴方向だけ高解像度を映し、その他の部分は低解像度映像を配信する。視聴している場面が変わると、数秒で高画質な映像に切り替わる。
●視聴品質最適化技術
NTTの通信統計情報やニコニコの利用データを元に、ユーザーの視聴状態を予測して、視聴状態に最適化した動画品質で配信される。
視聴品質とは、ユーザーが映像を視聴したときに感じる品質(QoE:Quality of Experience)のことで、NTTの研究では「ネットワーク速度がある程度以上になるとQoEは上がりにくくなる」ことや「ネットワークスループットが確保できずに映像再生停止が発生すると、QoEが急激に低下する」ことがわかっているという。
↑動画が止まることなく、画質が最適な状態の配信を目指す。 |
通常の映像配信ではネットワークの速度は関係なく配信されているが、『視聴品質最適化技術』を使うことで、混雑したところでは途切れないように、すいているところでは高画質といったように利用状況に合わせて配信される。また、11月20日から実証実験が開始された。
●H.265/HEVC
H.265を導入するとこで、H.264と比べて約半分の配信帯域で同じ画質の動画を配信できるようになる。
これにより、放送画質の向上や、画像のカクつきの解消が期待されている。まずは、公式生放送で視聴者実験をして、将来的には一般放送でも利用できるようにしたいという。
↑テレビ配信とは違い画面が小さいので分割するブロック数が少なくなり、並列処理の効率化の効果が薄れてしまう。 |
↑目線が集まるところを重点的に処理することで、限られたデータ量を有効活用する。 |
■関連サイト
・ニコニコ生放送
・Oculus Rift
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります