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最終回はMSXシューティング祭り! コナミのMSXゲーム伝説17回:MSX31周年

2014年11月13日 11時30分更新

MSX30周年スロット&スプライトロゴ

 始まりがあれば終わりがある。コナミのMSXゲーム伝説・最終回は名作揃いのシューティングゲーム特集。『パロディウス』、『ゴーファーの野望エピソードII』、『スペースマンボウ』の3本をお送りします。最後に大事なお知らせもあるよ。


■パロディウス(1988年発売)

コナミのゲーム伝説17

 「おちゃめでポップ!」、「ストレス解消ギャグシューティングだぞ!」のキャッチコピーの眩しい、グラディウスシリーズ4作目……と言いたいところだが、後に多くのシリーズ展開を見せた『パロディウス』シリーズの第1作目、としたほうがよいだろう。タイトル画面では「~タコは地球を救う~」という副題が付いているが、パッケージ表紙には無い。

 1987年末に出たMSX版『沙羅曼蛇』からほとんど間をおかずにリリースされて驚かれた本作は、当時の雑誌記事を信じるのであれば、『沙羅曼蛇』開発の合間に『グラディウス』のシステムを使って製品に入れられないような冗談ゲームを気分転換に作っていたものを、『沙羅曼蛇』マスターアップ後の少しの時間で1本のゲームとしてまとめてしまったもの、だという。そういう経緯もあって開発期間はわずか1ヵ月程度……と言われているのだが、今聞くとちょっと信じられないような話だ。今だったらこういう経緯のゲームは製品のオマケとしてつけてしまうのかもしれないが、そこはコナミ。1本の独立したゲームとして全く恥じない完成度にしっかりと仕上げて世に放った。

コナミのゲーム伝説17
↑当時のコナミの象徴的キャラ“モアイ”。だが、攻撃方法がきちゃない。目つきはもともと変。後頭部にEXTRA STAGEへの入口があるぞ。


 基本は『グラディウス』と一緒……なのだが、敵を撃てば「ひ」、「で」、「ぶ」、「!」、自分がやられれば「あ」、「ん」、「ぎ」、「ゃ」、「ち」、「ゅ」、「ど」、「ん」と文字が出てくるし、敵基地は木造アパートだし……と、書いても書いてもキリがないくらいに『グラディウス』シリーズとは対極の、カッコ良さとは無縁の方向に振り切れている。しかもコテコテの関西のノリなので関東人にはとても付いていけそうもない。と言いつつ夢中でプレイしてしまうのだが。音楽もSCCによるクラシック曲のアレンジだが、もうやりたい放題のアレンジがなされていてしかも名曲ぞろい。全体的なハイテンションぶりは後の『パロディウスだ!』シリーズ(アーケード、コンシューマーゲーム機ほか)のどこか少し優等生的なパロディとは違い、溜まった鬱屈を一気に解放したような迫力を感じる。なるほど、“ストレス解消”とは制作スタッフの方だという説もあながちウソではないようだ。

 パワーアップも、カプセルを取るとたまに目押しの効かない速度のルーレットが始まり、うっかりすると“何~やそれ!”を選んでしまい、装備なしに戻される始末。思わず「ふざけんな!」と大声を張り上げ、家族から「何事か!?」と白い目で見られつつもリセットボタンに手も伸びようというものだが、それでも気力を振り絞って頑張ればクリアできるように作られているところがグラディウスシリーズで培われた凄いゲームバランスの調整技術だと言うべきなのだろう。と自分に言い聞かせて冷静にプレイを続ける大人な私である。

コナミのゲーム伝説17
↑エネルギーカプセルに無意味に“タコ”の文字。前方を塞ぐのは“ぐー”、“ちょき”、“ぱー”。どれかを取ってボスとじゃんけんだ。勝つと不戦勝。あいこで対戦。負けるとなんと面の最初からやり直しだ。


 MSXで展開したグラディウスシリーズでは唯一、ゲーム開始時に難易度の設定があり、腕に覚えのある自称プロゲーマーはわざわざ高い難易度で始めることもできる。高難易度である“じごくを見る!”は本当に地獄を見れる。久々にやったら1面中盤の巨大モアイすら拝めない始末。では低難度の“らくしょうパターン!”は簡単かというとさにあらず、それなりに難しい。ただ他のシリーズと違って全6面と比較的コンパクトにまとめてあるので永遠に終わらないのではという不安を感じることなくエンディングまで一気に行ける。長いゲームでは時々落ち着いた感じの面を入れたりするところだが、パロディウスは全編ハイテンションで力尽きるころにエンディングを迎えられるようになっている。MSXユーザーなら常にそばに置いておきたい1本である。

 さて、以前『夢大陸アドベンチャー』の回で小説『中二病でも恋がしたい!』に触れたが、実は『夢大陸…』以上に本作を主人公とヒロインの2人で遊ぶシーンが1巻に存在する。タイトルこそ出ていないが、エンディングまで遊ぶ描写があるのだ。このシーンがアニメ化されなかったのが惜しまれるほどに詳細な描写は一読の価値ありだ。……今からでも遅くはないぞ京アニ。


■ゴーファーの野望エピソードII(1989年発売)

コナミのゲーム伝説17

 MSXにおけるグラディウスシリーズ最終作にして、コナミMSX1ソフトの最後の作品でもある。1MビットROM採用でユーザーを驚かせた『グラディウス』であるが、本作はシリーズで唯一2MビットのROMを採用している。倍となった容量でオープニングからエンディングにかけてのデモはさらに充実し、ステージ数も10と過去最大となっている。
 ストーリーは純粋に『沙羅曼蛇』の続編だが、100年が経過し『グラディウス2』の主人公“ジェイムス・バートン”も亡くなっている。世代が代わってもバクテリアンとの戦いは終わっておらず、技術開発によってようやくバクテリアンの本拠地である亜空間への入り口が開かれた……という設定である。
 そんな折、バクテリアンの目的が“過去にさかのぼってジェイムス・バートンを抹殺する”ことにあることを知った本作の主人公“ディヴィッド・バートン”」がそれを阻止すべく過去へ向かうのであった。

 本作のタイトル『ゴーファーの野望』は元々アーケード版の『グラディウスII』の副題で、MSX版の独自性からか『エピソードII』というフレーズがついている。しかし設定は1面の人工太陽にアーケード版『グラディウスII』の名残がある程度で、全体としてはMSX版のみのストーリーに沿っていて、このタイトルはどっちつかずな印象が否めない。海外でも発売されたが、タイトルはズバリ『NEMESIS3』である。これは日本版のカートリッジにも書かれているので、『グラディウス3』で良かったのではなかろうかとも思ったり思わなかったり。

コナミのゲーム伝説17
↑たくさんの人工太陽が配置されている、のっけからクライマックスみたいなステージ1のボス“ギーザー・バトラー”登場!


 ゲームは『沙羅曼蛇』の反省からかシリーズの中でも少し難易度が抑えられ、かつやられた時の復活にそれなりの努力が必要、という絶妙なバランスを持っている。各面に仕込まれたギミックの数々も惜しみなく大量投入され、2MビットROMの余裕を感じさせる出来だ。『グラディウス2』、『沙羅曼蛇』はパワーカプセルの数が少なく、特に復活時のパターン構築に余裕がほとんどなかったが、本作では武装の選択に多少の幅もあり何とかなる。ただ、初心者にはパワーアップの段階数と枝分かれが多く、どれを選べば良いのか分かりにくい面もある。そこは、後述する『スペースマンボウ』ではシンプルに回帰している。また、大容量ROMの恩恵はグラフィックにも生かされておりMSX2以降の機種ではちょっとだけ絵がキレイになったりする。
 そして本作でも宿敵“ヴェノム”がエンディングのみにしぶとく出てくる。残念ながら彼からは逃げるのみで決着はつかない。そして、MSX版のシリーズが終わってしまったため、彼の出演もここまでとなってしまった。やはり完結編をMSXで見たかった! それだけがちと残念である。

コナミのゲーム伝説17
↑食虫植物惑星の中ボス(?)ラフレシアみたいなのに注意。MULTIPLE(オプション)を食べてしまうぞ。グラディウスシリーズでも最高の仕掛けの多さなのだ。


 さて、MSXにおけるグラディウスシリーズは本作で最後となるが、2008年にWiiで『グラディウス リバース』というダウンロード専用(Wiiウェア)ゲームが登場している。設定的には『グラディウス2』の2年前となっておりMSX直系、音楽もMSXが元になる曲が数多く編曲されている。グラフィックもレトロ調で、ゲームバランスも初心者OK。MSXユーザーなら大満足すること間違いなしの名作である。ぜひとも遊んでみて頂きたい。


■スペースマンボウ(1989年発売)

コナミのゲーム伝説17

 1989年末、MSXでコナミのシューティングと言えば『グラディウス』だった時に突如として現われた作品『スペースマンボウ』。一見してふざけたタイトルに見えるが、MSX2としてはこれまでにないほどの技術とアイデアがつぎ込まれた作品で、今なお世界中にファンを持つゲームである。
 MSX1は性能上どうしても8ドット単位でしかスクロールができない。これは“字”の形を書き換えて“絵”に見せるしかないMSX1の貧弱なビデオチップの仕様上どうしようもなかった。同じ年の8月に発売された『激突ペナントレース2』ではMSX1同様の画面モードを使いつつもMSX2特有の“画面位置調整機能”でスムーズにスクロールしているように見せることに成功し、その技術をシューティングゲームに応用したのがこの『スペースマンボウ』である。
 実は同様の技術を使ったゲームは他社からも数本出てはいたのだが、あまり注目されることがないままになっていた。スペースマンボウはグラフィック、演出、ゲームバランスなどの面で非常に優れており、今に至るもMSX2の横スクロールシューティングゲームの代表作とされている。

コナミのゲーム伝説17
↑惑星内部に侵入する2面。下に下にと入っていくのが新鮮だ。前後左右に細かい操作が要求される難所だ。


 まず1面で全MSXユーザーの度肝を抜いたのが、地上を疾走する敵巨大戦車であった。いくつものキャタピラがついており、それが地面に合わせて上下する! ゲームとしては単なる演出に過ぎないとも言えるが、MSX2の限界を超えていると思われる表現の数々に誰もが驚いたのである。その後の面もアイデアに富んだ、かつグラディウスシリーズとは大きく方向性の異なる演出が詰め込まれている。6面のスクロール方向の突然の切り替わりで「おお!」と声をあげ、敵のラスボスであるマンボウが発射してくる最終面の超極太レーザーでは驚きのあまり「うわっ!」と大声で叫んだ。不必要に難易度が高く設定されてないことから、計算された仕掛けの数々を純粋に楽しむことができ、プレイした人の脳裏に強く末永く好印象の残る名作ゲームとなった。

 さてこのゲームの翌年、1990年をもってコナミはMSXソフトの新規開発を止めてしまう。コナミがMSXで築き上げたシューティングの歴史は、伝説的な完成度をもった『スペースマンボウ』で終わってしまった。この技術をもってグラディウスの新作が出ていたら、あるいはマンボウの続編が出ていたら……と惜しまれたものである。その後のインタビューなどから続編が開発されていたことが分かっているが、開発記録からは「コナミらしさとは……」、「コナミらしさが……」という言葉が何度も出てきており議論を重ねていたようだ。結局完成まで至らず発売されなかった理由は不明だが、この“コナミらしさ”への強い強いこだわりこそが、コナミのMSXゲームが伝説となった原動力なのではないかと思われる。

コナミのゲーム伝説17
↑3面のボスはどう見てもミジンコを巨大化してサイボーグ化した“ルアンモー”。こんなに大きなボスが次々と登場するゲームがMSXに出るなんて。長生きはするもんだと子供心に思ったものです。


 さてこのゲームの裏話には“元はマンボウじゃなかった”というものもある。しかも諸説がいくつもある。そのひとつが“制作途中で方針転換をして突貫でマンボウにしてしまった”というのだが、開発現場あるいはその周囲にいた人たち皆が「当時の部長が突然マンボウと言い出した」と口を揃えて言っているらしい。そのあたりのことをいつかご本人にインタビューさせていただけないかと思っているのだが……。

 ということで17回にわたってお送りしてきた『コナミのMSXゲーム伝説』ですが、いかがでしたでしょうか。後日、番外編がオマケとして収録される電子書籍版も出る予定ですのでお楽しみに。また、コナミ以外のメーカーさんのゲームでリクエストがありましたら、Twitterで。ちなみに『スロット&スプライト』本編はまだまだ続くきます。いっそMSX35周年まで続けようかしら。人気が続かないかな。ではまた!


(C)Konami Digital Entertainment

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ツイッたより(ツイッターのつぶやきをおたよりとして紹介します)

レドウルホウ@redwolf さん
イーガー皇帝の逆襲はグラフィックも綺麗だったしゲームも面白かったな。かなり難しかったけど残機99人モードとかで練習したので二周は普通にできるようになってた

――二周は普通……なにげに尊敬に値するつぶやきではないかと。やはり諦めずに続けるって大事ですよね(←自分に言い聞かせる)。

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あ、そうだ。
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ではまた!


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