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iPhoneも受賞している! “ギネス世界記録” by遠藤諭

2014年10月07日 14時30分更新

 週刊アスキー本誌では、角川アスキー総合研究所・遠藤諭による『神は雲の中にあられる』が好評連載中です。この連載の中で、とくに週アスPLUSの読者の皆様にご覧いただきたい記事を不定期に転載いたします。

文具とパソコンの話

 今年のイグ・ノーベル賞(物理学賞)は、“バナナの皮はスベる”を証明した北里大学の馬渕清資教授ら4人のチームに与えられた。日本人の受賞は8年連続だそうで、なんとなくGDP世界第2位の繁栄が今ごろこんな形で効いてくるのか? などと分析したくなる(もちろんそれぞれの研究は真摯なものだと思うので念のため)。このあとに待っているのが、ダーウィン賞の時代だなんてことのないことを願うばかりだが(ダーウィン賞=愚かな行為による死亡で自らの遺伝子を淘汰、ヒトの進化に貢献した人に贈られるブラックな賞ですね)。

 さて、こうした世界スケールのアワードとして、それを最初に一般化して世の中を元気にし続けているのが“ギネス世界記録”。いわゆるギネスブック。その『ギネス世界記録2015』(クレイグ・グレンディ著)だが、これの日本語版の発行元が角川アスキー総研ということで(発売はKADOKAWA)、約30年ぶりくらいに読んでみた。こいつが、私の中の眠っていた“ギネス趣味”を呼び覚まさせてくれたのだった(私のHDDの中には20年以上にわたる自分の原稿が保存されているが“ギネス”で検索すると20件ほど出てくる=玉子立てや円周率暗記の記録からロンドンのギネス館に出かけた話まで)。

 しかし、それで驚いたのは'55年から歴史があるわりには、インターネットやモバイル関連などアップ・トゥー・デートな話題がとても充実している! ハイテク分野で仕事をしている人でも、“なるほど〜”とウナりたくなる話題が少なくない。

ギネス
↑世界同時発売、電子書籍版もある『ギネス世界記録2015』。

 “インターネット”はもちろんだが、“クラウドソーシング”で見開きが与えられているし、“ロボットと人工知能”などは、まさにギネスブック向きなネタでいま大開花中だ。“Facebookで最多の“いいね”を獲得したアイテム”、“最も多く見られたオンラインビデオコマーシャル”、“24時間以内で最もTwitterでメンションされたブランド名(ご存知“ポッキー”の昨年11月11日=ポッキーの日の記録ですよね)”、“キックスターターで約束された最多金額(スマートウォッチPebbleの1026万6845ドル)”、ちなみに、“キックスターターで最も成功したプロジェクトのカテゴリー”は、音楽、映画・ビデオ、アート、出版、劇場、ゲーム、デザイン、フード、コミックスの順だそうで、私が出資者になってる『OUYA(ゲーム機)』や『3Doodler(3Dペン)』などのガジェットはランキング外(勉強になるなぁ)。細かいところでは、“最初のセルフィー(自分撮り)”、“宇宙での最初のセルフィー”、“宇宙遊泳中の最初のセルフィー”、日本人的にギネスっぽいなぁと感じる“目隠しでテキストメッセージを打ち込む最速速度”などと出てくる。

ギネス
↑情報通信革命は見開きの年表になっていて、“2007年、最も売れているスマートフォンの第1世代アップルiPhoneが登場、販売1ヵ月で231万台を記録”なんてのが出てくる(先日のiPhone6の1日で400万台という数字がいかに大きいかということもわかります)。iPadのほうは“最も売れた消費者家電(コンシューマアプライアンス)”として出てきて、iPhoneとは分野をはっきり分けているところに見識を感じます(アップルでさえわからなくなりかけているところですからね)。

 そういえば、昨年、IBMが世界最小の映画として『A Boy And His Atom』という原子を並べて作ったアニメーションがギネス世界記録に認定されたと発表しておりました。実のところギネス世界記録には、ハイテクとビジネスとマネーこそ似合うのかもしれません(つまり、私がこのパソコンジャーナリズム系の仕事をしているのもギネス趣味によるところが大きい!)。先日も、米『Forbes』誌が“'15年、10のビジネスに影響をおよぼす技術的ブレイクスルー”として、IBMの原子スケールの技術を使った磁気メモリを2番目にあげていた。現在のHDDの100倍、半導体メモリーの150倍の記憶密度になるものを来年末に投入するそうです。ちなみに、こいつが6個ずつ2列に並んだ原子くんたちになっていて小学校の体育の時間みたいでカワイイ。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員。元『月刊アスキー』編集長。元“東京おとなクラブ”主宰。コミケから出版社取締役まで経験。現在は、ネット時代のライフスタイルに関しての分析・コンサルティングを企業に提供し、高い評価を得ているほか、デジタルやメディアに関するトレンド解説や執筆・講演などで活動。関連する委員会やイベント等での委員・審査員なども務める。著書に『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書)など多数。『週刊アスキー』巻末で“神は雲の中にあられる”を連載中。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

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