SSDはいまちょうど変革期にきています。デスクトップはSATA3(6Gbps)コネクターで接続する2.5インチ型が主流ですが、インテル9シリーズチップセット採用マザーボードでは、新たに“M.2”や“SATA Express”と呼ばれる、内部的にSATA3のほかPCIエクスプレスでも接続できる高速インターフェースを搭載する製品が数多く発売されました。
PCIエクスプレス3.0×4内部接続で、最大32Gbps(理論値)とSATA3の5倍以上速いM.2コネクターを備えるマザーボードもASRockから発売しています。
というように、将来的にストレージの内部接続はSATAからより帯域の広いPCIエクスプレスに遷移し、より高速なアクセスができるようになるでしょう。
この進化はストレージの制御仕様でも計画されており、クライアントマシンよりより高速性が求められるサーバー分野のストレージでは、AHCIよりも高速にアクセスできる“NVM Express”(以下、NVMe)の採用が始まっています。
NVMeはストレージ側のコントローラーが対応してなければなりませんが、AHCIと両対応仕様にもでき、IDEとAHCIのようにBIOSで切り替えられようになるかもしれません。ちなみにWindows8.1ではすでにOSがNVMeのドライバーを備えています。
アスクストレージラボでは、インテル製のNVMe対応SSD『SSD DC P3700』を採用した、サーバー『AIC SB122-TO』で実際に動かしてみるという実験と勉強会が行なわれました。写真を中心に見ていきましょう。
↑AIC SB122-TOはホットスワップ仕様のNVMe SSD用ベイを2基備える。なかでは写真のような特殊なコネクターで接続している。 |
↑NVMe対応のインテルSSD『SSD DC P3700』。 |
↑一見、SASのようなコネクターだが、接点が多い。 |
↑上記のコネクターはSFF8639と呼ばれるものだが、NVMe自体は制御仕様なので、特に決まったコネクターはない。 |
NVMeはキュー(命令)数が最大32個のAHCIと比べ、最大64Kキューと多くなり、複数のデータアクセスがあるデータセンターなどでは効率よく処理できるようになります。一方で、コンシューマー向けのPCのような用途では実際そんなにキュー数が多くなることはないので、高速化はあまり期待できません。
実際に会場でLinuxで速度を計測したところ、速い結果が出たデータ転送速度比較ソフトでも、毎秒1.5GBと驚くほど速いという印象はなく、PCIエクスプレスを使った従来のAHCIで使えるSSDの域を出ない結果でした。そういった意味で、コンシューマー向けへの普及はだいぶ先になりそうです。なお、後日検証した結果では、このSSDとサーバーの組み合わせではWindows8.1の起動ドライブとして認識しませんでした。NVMeのドライバーはあっても、UEFIの対応も必要のようですね。
■関連サイト
第15回アスクストレージラボ
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります