この夏、絶対に行っておきたい超目玉イベント『宇宙博2014-NASA・JAXAの挑戦』が幕張メッセ国際展示場で9月23日まで開催中。“NASA展示エリア”、“JAXA・日本の宇宙開発展示エリア”、“火星探査展示エリア”、“未来の宇宙開発展示エリア”に総数500点以上もの貴重な展示物が並んでいます。
日本初出展のアポロ司令船のレプリカをはじめ、スペースシャトル・アトランティス号や火星探査機『キュリオシティ』、ボルトのひとつひとつまで完全に再現した国際宇宙ステーション日本実験棟『きぼう』の模型など、ここでしか見られない実物大モデルもたくさん! まずはNASAエリアからのぞいてみましょう。
■NASA展示エリアへ突入だ!
スペースゲートを抜けると、アメリカと旧ソビエト連邦の宇宙開発から、スペースシャトル計画に至るまで、宇宙開発の歴史が並びます。天井には、ソ連が人類で初めて打ち上げた人工衛星、『スプートニク1号』(レプリカ)。写真左はご存じ、アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディ(1917-1963年)、右はソ連の最高指導者ニキータ・フルシチョフ(1894-1971年)です。奥に見えるのはアメリカ人初の宇宙飛行士アラン・B・シェパード、対して人類で初めて宇宙飛行に成功したユーリ・ガガーリン(1934-1968年)です。
ロケットエンジンとロケットのノーズコーン(弾頭部分)が見えてきました。ここでは宇宙に挑んだ科学者たちが紹介されています。手前のガラスに書かれているのは、宇宙旅行の父ことコンスタンチン・ツィオルコフスキー氏によるロケット速度の概念図と公式でしょうか。
こちらはアメリカ初の液体燃料大陸間弾道弾『タイタン I ロケット』。第1段エンジンは、エアロジェット(現エアロジェット・ロケットダイン)によるLR-87エンジン。より多くの積載物を運べるようになった『タイタンII』は、退役後に改良され、ジェミニ計画で有人宇宙船用のロケットとして使用されました。
10分の1サイズで再現されたサターンVロケットも展示(本物は全長111メートル)。アポロ8号から17号まで宇宙飛行士を月に運び、アメリカ初の宇宙ステーションであるスカイラブを宇宙に届けたのもこのロケットです。ちなみに、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』冒頭で軌道上の作戦を展開するエヴァ2号機を打ち上げたのは、このサターンVの第1段部分ではないかと云われています。
こちらは1950年代につくられ、使用された、ネズミの宇宙実験用モジュールです。ちなみに2014年秋には、ネズミの宇宙飛行士がISS補給船『ドラゴン』に搭乗し、ISSでの長期滞在実験を開始する予定です。
旧ソ連の遠隔操作月探査車『ルノホート2号』のレプリカも! 1号は1970年、2号は1973年に打ち上げられ、無事月面着陸に成功しています。NASA所蔵のルノホート2号写真資料と比べると、レーザー反射板の位置やカメラ形状などが少々違う気がするので、どこが違うか探しながら歩くのもおもしろいかもしれませんね。
ちなみに、月面で使用された貴重なカメラ類も展示されています。
アポロ12号が撮影したフィルムの実物展示もあるので、見逃さないようにしたいところ。
こちらのカメラは、ハッセルブラッド・エレクトリック・データ・カメラ(EDC)。重量軽減のため、本体は着陸船と共に月面に残され、フィルムだけ持ち帰ってきたので、実物は今も月に。実際のEDCは60ミリ広角レンズが取り付けられていて、本体上部から開閉式ファインダーが取り去られているという特徴があります。
アメリカ初となる有人宇宙飛行計画『マーキュリー計画』の宇宙船もあり、コックピットをのぞきこめます。本物は1999年にフロリダ沖で38年ぶりに引き上げられました(右の写真で写真を撮っているのは編集のにゃかむらです)。
展示はそのまま、有人月計画の前段階として基礎技術を取得したジェミニ計画の宇宙船から、アポロ計画へ。ジェミニ宇宙船再突入モジュールも、ハッチから中部を覗き込むことができます。
こちらは宇宙開発当時の宇宙食。お湯が使えるようになったのは、1968年以降のアポロ計画からとか。右下、17番は旧ソ連の宇宙食なんですが、よく見ると『ウォッカ』と書いてあります。ロシアが宇宙にお酒を持って行っているというのは公然の秘密、といわれていましたが本当だったんですね(笑)。アメリカもジェミニ計画時代にシェリー酒を宇宙食に加えることを検討したのですが、「宇宙に酒など持ち込むべきではない」という世論の反対にあって断念した歴史があります。
宇宙服開発の歴史も展示されています。上の写真はマーキュリー計画の宇宙服。
こちらはマイナス120度から120度の変化に耐えられる、スペースシャトルの宇宙服です。水を循環させて冷却する下着も同時に展示されています。
そのほかサバイバルキットや生命維持装置の展示のほか、アポロ15号で使用した宇宙服の手袋、ブーツ、月の石採集袋やケースも展示されています。
ひときわ目をひくのが、アポロ司令船のレプリカ。内部はアポロ計画で使われた、実際の訓練シミュレーターがそのまま使われています。上の大きなパラシュートは、1972年に月に着陸したアポロ計画最後の17号司令船が使用した実物で、ところどころに焼けこげた跡が見られます。このパラシュートを3つ用いて、太平洋に着水しました。
アポロ司令船のハッチ部分。宇宙服を着てここを通り抜けるのは大変そう……。
司令船の中は、3人乗りでこの広さ。2014年5月に公開されたスペースXの宇宙船『ドラゴン V2』は、倍以上の7人乗りですが、もしかしたらアポロ時代よりも窮屈になる可能性もあるんだとか。
そしていよいよ、スペースシャトルゾーンへ!
奥にどーんとそびえるは、スペースシャトル機首部分のレプリカ。1981年のコロンビア号から始まり、2011年のアトランティス号まで全135回のフライトに成功したNASAのスペースシャトル計画。展示されているのは、最後のスペースシャトルとなったアトランティス号(前部模型)の鼻づらです。全長37メートルのオービターのうち、長さ9メートルの最前部を再現しています。
スペースシャトルに乗り込むようなかたちでサイドの階段から上へとのぼると、コックピットを後ろからのぞき見ることができます。
■“火星探査展示エリア”へ!
2012年8月に火星に着陸し、先日火星での1周年を迎えた『キュリオシティ』の実物大モデルも展示されています! NASA ジェット推進研究所が製作したもので、米国外では初の展示になるとか。
キュリオシティのホイール部分はだいぶ破損しているため、これ以上の損傷を防ぐために後ろ向きに走行するといった検討もなされているとのこと。もし実行に移されたら、キュリオシティのお尻が前になるかもしれません。
■レッドブルのあの機体も!
記憶に新しい、2012年に上空30キロメートルの成層圏から人類初のダイブを敢行した『レッドブル・ストラトス』プロジェクト。パイロットのフェリックス・バウムガートナーさん(45歳)が着用した実際の宇宙服と、カプセル実機が展示されていました。宇宙服とカプセルには合わせて7台の『GoPro』が取り付けられ、その際のパイロット視点映像がYouTubeで視聴されたことでも話題になりました。
高度3万8969.4 メートルから、時速 1357.6キロメートル(マッハ1.25)という音速を超える人類初のフリーフォール(距離3万6402.6 メートル、時間にして4分20秒)というとんでもない新記録を打ち立てた、人類史上初のダイビング映像がこちら。
『SPACE EXPO 宇宙博 2014 | NASA・JAXAの挑戦』
http://www.space-expo2014.jp/
開催期間:2014年9月23日(火・祝)9時30分~17時
会場:幕張メッセ 国際展示場 10・11ホール(千葉県)
入場料:一般2500円、高校・大学生1500円、小・中学生900円
【2014年08月14日16時】レッドブルストラトスについての原稿の誤りがありましたので一部、修正致しました。宇宙船ではなく、正しくはカプセル、となります。読者様、並びに関係各位の皆様にお詫び申し上げます。
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