これまで多数のスマホやタブレットを日本に投入して来たサムスンから、キャリアを通さないメーカーモデルとして『GALAXY Tab Sシリーズが発表されました。今回発表されたGALAXY Tab S 8.4』と『同10.5』はハイスペック&プレミアムな質感という同社のフラグシップタブレット。
両モデルともWiFi版となりますが、これまで同社はLTE搭載のタブレットを販売してきた実績があるだけにLTE版の投入も当然期待したいもの。そしてメーカーが直接端末を販売するということで、今後タブレット以外のモデル、すなわちスマホのSIMフリーモデルの日本投入も期待されます。
果たしてGALAXY Tab SのLTE版の追加投入は? さらにはグローバルで販売されているスマホのSIMフリーモデルが日本で販売される可能性はあるのでしょうか? 今後の新製品の動向について、サムスンの石井圭介専務に直接話を伺いました。
↑サムスンの石井専務にLTE版やSIMフリーモデルの可能性を直撃。 |
まず今回販売されるGALAXY Tab Sのふたつのモデルは、グローバルで販売されている製品がほぼそのままの仕様で日本に投入されているとのこと。もちろん技術適合認証などの法的な部分の認可を受けたうえで販売されています。またWiFi版ということでLTEの対応周波数を日本向けに変更するといった作業は不要です。そのような技術的な背景もあるため、両モデルはLTE版ではなくWiFi版が日本へ投入されたとも考えられます。
この点について石井専務は「サムスンは世界各国のあらゆる市場に向けて多数の通信方式のスマホやタブレットを投入しており、各国の通信キャリアや量販店から通信部分についさまざまな要望をモデルごとに受けています。日本で販売する製品についても、LTEや3Gの有無、対応周波数の変更、各国の認証機関への申請といったカスタマイズは速やかに対応できる開発体制が整っています」と説明してくれました。つまりLTE版であっても日本へは問題なく速やかに投入することが可能なようです。
6月にニューヨークで発表されたGALAXY Tab Sはすでに海外市場で販売されていますが、日本ではようやく8月に販売開始となりました。この遅れは日本向けに仕様変更するために時間がかかったわけではなく、前述したように日本で販売を始めるための端末の用意に係る時間はグローバルモデルとほとんど変わらないとのこと。
↑6月には製品の発表は行なわれていた。 |
ではどうして日本での販売が8月までかかったのかというと、それは販売の“準備”に時間がかかったからとのことです。
これまでサムスンはキャリア経由でスマホとタブレットを市場に投入してきましたから、おもな販路はキャリアの店舗でした。また製品の説明もキャリアのスタッフが行なっていたわけです。ところがメーカーモデルとして販売するGALAXY Tab Sは、サムスン電子が自ら量販店などに製品を納入し、販売する必要があります。製品の在庫管理や配送、販売方法などこれまで手掛けていなかったことをイチから構築していった結果、最短での販売開始時期が8月になったわけです。
↑日本で行なわれた囲み取材で、「GALAXY Tab Sで生み出される新たな体験を実感して欲しい」と語る石井専務。 |
もちろん新製品の販売は早ければ早いほど有利でしょう。ですが8月の販売は室内でも屋外でもクリアな表示ができるGALAXY Tab Sを、旅行などに持って行って楽しんでもらうというアピールもできそうです。タブレットをまだ使ったことがないというユーザーへアプローチを行なうことも考えると、8月の販売開始はベストな時期なのかもしれません。
↑10万対1のコントラスト比で、明暗ハッキリした映像が楽しめる。 |
そういえばサムスンは今年4月から自社製品の実機を体験できる“GALAXY SHOP”を各都市の量販店内などに展開しています。メーカーモデルの販売は製品を直接ユーザーに説明しなくてはなりませんが、その点はすでに全国17店舗あるGALAXY SHOPを活用することができます。そう考えるとGALAXY SHOPの存在はまるで今回のメーカーモデルの販売を見越したうえでの展開にも見えます。しかし石井専務によるとGALAXY SHOPはあくまでもスマホやタブレットを実際に体験してもらい、製品のよさやメリットを理解してもらうために展開してきたとのこと。
↑ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba店内にあるGALAXY SHOP。 |
その結果として製品の拡販も期待していたとのことですが、ショップ展開を行なってからは販売数の拡大に大きな手ごたえを感じているそうです。GALAXY Tab Sの両モデルの新機能や便利な機能もGALAXY SHOPを中心に消費者にアピールできれば、これまで販売されてきた各社のメーカーモデル以上の成功も見込めるかもしれません。
さてこのようにメーカーが自社で製品を日本に投入し、しかも販売網も整備するとなると次なる製品展開が気になるところです。まずはMVNOの格安SIMも出そろった状況の中で、GALAXY Tab SのLTE搭載モデルがWiFiモデルに続いて投入される可能性に期待したいところではないでしょうか? 石井専務にLTE版投入の可否を伺ったところ「まずはメーカーとして自由に出せるWiFiモデルを投入しました」とのことで、LTE版については今回は残念ながら明言はできないとのことです。
このあたりは海外の事例を見ると「LTE版はキャリア、WiFi版はメーカーモデル」という国もありますし、サムスンがLTE版とWiFi版どちらも投入しているケースもあります。日本がどのようになるかは現時点では明らかにはしてもらえませんでしたが、同社初の試みとなるGALAXY Tab Sの自社販売が成功すれば、LTE版の投入も期待できるのではないかと感じられました。
↑個性的なグローバルモデルの日本導入も 夢ではない? |
そして最大の関心は、グローバルモデルかつSIMフリーのスマホを日本へ投入するかどうかです。日本向けの通信方式のカスタマイズは技術的には問題なく販売網も自社で整備を進めているだけに、例えばカメラに特化した『GALAXY Zoom』シリーズなどといった特徴的な製品の日本への投入はいつでもできる状態と言えます。この点についても石井専務に伺ったところ「はっきりしたことは申し上げられないが、検討と準備は行なっている」とのこと。サムスンとしてもMVNO市場の盛り上がりは認識しており、市場動向の解析は常にしているそうです。SIMフリーモデルの投入は日本のMVNO市場がどこまで拡大するか、その動向が大きなカギと言えそうです。
スマホもタブレットもキャリアが販売してきた日本の通信事情の商習慣は、この1年で少しずつ変わろうとしています。メーカーモデルの登場はキャリア販売市場を無くすものになるのではなく、消費者に製品選択肢と購入のルートを広げるものになるでしょう。そしてその結果として日本のスマホ市場が今まで以上に盛り上がっていくことも期待できます。GALAXY Tab Sに限らずサムスンの今後の新製品の動きには大きく注目したいものです。
●関連サイト
・サムスン 公式サイト
・サムスン GALAXY SHOP一覧ページ
山根康宏さんのオフィシャルサイト
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