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Googleが考えるスマホ時代の検索は音声検索とGoogle Now

2014年06月17日 15時00分更新

 MMD研究所の調べでは、2014年4月時点の日本国内のスマートフォン所有率は56.5%、10代の所有率にいたっては84.5%だったという。スマホ時代になったことで、ネット検索の動向にも変化が表れている。今回、Google Japanの製品開発本部長(インタビュー当時)徳生健太郎氏に、スマホ時代の検索について取り組みを聞いてみた。

「完璧な検索エンジンというものは、ユーザーが本当に知りたいことを理解して、欲しい情報を的確に返す」

 これはラリー(Google CEO、ラリー・ペイジ)が10年前に言っていたことです。具体的に言うと、「安倍首相の年齢」を知りたいとなったら、検索結果をクリックしてわざわざ中を見なくても、答えはたくさん転がっているわけで、それをパッと出したほうが早い。基本的には検索エンジンというのはこういったものがあるべきだという考えです。

Googleが考えるスマホ時代の検索~音声検索とGoogle Now~
Google Japanの徳生健太郎氏。Google 製品開発 シニアディレクター。2003年にGoogleアメリカ本社に入社し、モバイル検索やGoogle マップ、広告事業を担当。2009年から、GoogleJapanの製品開発本部長に就任。検索部門のトップとして音声検索やGoogle Now をはじめとする製品の開発に従事。2014年からはGoogle 米国本社で検索製品の国際化を統括。

 これまでの検索といえば、検索ボックスにキーワードを入れると結果が10個表示されて、クリックしていくと何かがありました、というお話でした。答えを一気に出せるものではなかったけれども、そこまで正しく導いてあげようというものです。

 ですが、これはデスクトップ検索における考えと言えます。時代が変わって、今はスマートフォンが主流になっていますね。ユーザーの動向が変われば、当然そこに最適なサービスを提供したいわけです。そこでまず注目したのが音声検索です。

タイプ入力から音声入力へ

 スマートフォンは、「目」と「耳」と「どこにいるか」という情報を持っています。指で入力するよりも直感的に使えるだろうというのが注目点です。

 乗換案内で言えば、普通ならアプリを立ち上げて出発駅を設定して目的の駅を設定して……。という順序があります。ですが、音声の場合は、「六本木から池袋まで」、あるいは「ここから池袋まで電車で」と話しかけるだけで、実際に乗り換え案内が出るようになっています。

Googleが考えるスマホ時代の検索~音声検索とGoogle Now~
音声検索による乗換案内の結果。「東京駅から大阪駅」という検索トリガーによって、乗換案内カードが最上段に表示される。

 車内だとか、あるいは買い物で手がふさがっているだとか、タイプできる環境にないときでも検索できるので、ユーザーの使い勝手は向上すると思います。ですが、これはタイプするのが音声になったという単純な意味だけではありません。それでは、結果に変化が起こりませんから。これまでデスクトップ検索でも取り組んでいた「●●駅から××駅」といった検索トリガーや、検索結果の上部に表示されるカードなどとの組み合わせによって、使い勝手がより向上するようになっています。

 音声認識の技術も進んできたので、比較的長い文章でも正確に答えを返せるようになったというのも大きな要因と言えますね。現在の検索のひとつとして、音声検索というのは重要な役割を担っていると考えています。

検索前に答えを提示する「Google Now」という考え

 最近では、ユーザーが次に何を欲しているか?ということに着目しています。製品の使い方によっては、ある程度予測できるようになる部分があると考え、その部分を検索する前に答えとして出せないかというところからGoogle Nowは始まっています。

 簡単なものでいうと、天気だとか、友だちの誕生日だとか、好きなチームのスコアだとかがカードで表示されるわけです。今ではAmazonにGmailで登録していると、荷物の発送状況とかも出るようになっています。あとは地震や津波などの災害があったときのカードもあります。

Googleが考えるスマホ時代の検索~音声検索とGoogle Now~
Androidの場合はホームボタンを上方向へスワイプ(または長押し)、iPhoneの場合は「Google検索」アプリで利用できる。Google Nowを有効にしておくと、トップページに天気や検索した内容に則したカードが表示される。

 表示されるカードについては、基本的にはアカウントに登録されている情報がメインになります。たとえばGmailやカレンダーなどでログインして使っているものについては、自動的に情報として意味のあるものが表示されます。自宅と職場を登録しておけば、通勤の所要時間といったカードですね。ビジネスシーンであれば、カレンダーのカードが出てくることが多いでしょう。打ち合わせ場所を入力しておけば、自動的に経路検索もしてくれるので便利です。

Googleが考えるスマホ時代の検索~音声検索とGoogle Now~
Googleカレンダーに登録した予定がカードで表示される。場所を入力しておくことで、経路検索も自動で行われる。

 それ以外のカードとしては、ユーザーが何を調べているかであったり、位置情報であったりといった、スマホが持っている情報にも影響します。たとえば飲食店や飛行機の到着時間の検索結果、ホテルの予約といったものです。先ほど述べた災害に関するカードも、位置情報から関係のない地域では出てこないようになっています。ただ、親戚とかが被災地に住んでいて、その場所の情報を検索したときなどはカードが表示されるようになっています。その人にとって意味があるだろうという状況でカードが出るようになっているわけです。

 旅行先に行けば、自分が普段いる場所と違うことを検知して、現地での翻訳カードだとか、現地通貨と日本円の交換レート、日本時間などが自動的に表示されます。日本に帰ってくるとこれらのカードは消えます。このあたりの情報は、おそらくよく訊ねるものであろうということで表示するようになっています。

 おおよそこのような概念のものがGoogle Nowです。ユーザーが訊ねなくても、ユーザー情報や行動を学んで、先回りして情報をお見せできるサービスとして展開しています。

 正式に何種類のカードが出るかというのは、ユーザーや場所によって出てくるカードの数や種類が異なります。旅行先でも出てくるものが違いますから。それでもだいたい十数種類はご覧いただけるのではないかと思います。

 今回お話したものもまだまだ氷山の一角をあつかっただけです。これからもスマートフォンの進化や、ユーザーの使い方もどんどん変わっていくと思います。そこに最適なものを提供できるように、こういった取り組みを続けていこうと考えています。

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