PC向けのBIOSやファームウェア製品などで知られるAMIが、COMPUTEX TAIPEI 2014に今年もブースを出展。WindowsとAndroidのデュアルOSや、最新のタッチ対応BIOSを展示していました。
↑COMPUTEX TAIPEI 2014のAMI(American Megatrends Inc.)ブース。BIOSメーカーならではのコアな製品を展示していた。
■ハイパーバイザー型のデュアルOSソフト『DuOS-M』
昨年もレポートしたデュアルOSソフトウェア『DuOS-M』は、一般向けにも提供開始。公式サイトからトライアル版をダウンロードすることができます。
↑30日のトライアルが可能。正式版でも9.99(1000円前後)ドルと安い。
DuOS-Mを用いることで、Windows7またはWindows8上でAndroidアプリを動作させることができます。内部的にはCPUの仮想化機能を利用したハイパーバイザー型の仮想化技術で動作しており、WindowsのタスクバーからAndroidの画面へカンタンに切り替えることが可能。さらに両OSの間でファイルを共有する機能も備えています。フルバージョンも9.99ドル(1000円前後)と安価な価格で、Google PlayやGmailなどのGoogle製アプリをフルに利用できるようになっています。
↑ハイパーバイザー型の仮想化を利用、Windowsとの切り替えも容易。
気になる動作速度についても、仮想化とは思えないほど高速なものとなっており、デモとしてAndroidの3Dゲームをプレイしてみたところ、実機と遜色ない速度でヌルヌルと動作していたのが印象的でした。
↑Windows上のAndroidで3Dゲームをプレイ。もっさりした感じはまったくなく快適にプレイできた。
■WindowsとAndroidのネイティブなデュアルブートも
このDuOS-Mとは別のソリューションとして、WindowsとAndroidのデュアルブートが可能なデバイスも展示していました。これらはDuOS-Mのような仮想化とは異なり、タブレットのストレージ内にWindowsとAndroidの両OSがインストールされており、いずれかをネイティブに起動することができます。
↑Windowsタブレット上でAndroidをネイティブ起動した状態。このときWindowsはシャットダウン状態となる。
↑Androidからは電源メニューからWindowsを起動可能。Windowsからは専用ユーティリティを用いてAndroidを起動できる。いずれもいったん再起動する必要がある。
↑Windows上からストレージのパーティション構成を表示した様子。Cドライブ以外の大量のパーティションはAndroidが使用しているものとみられる。
このデュアルブート技術の応用として、COMPUTEX2014で大きな話題となった、東芝による“Androidと全く同じハードウェアのWindowsタブレット”の実現にあたっても、AMIのBIOS技術が活用されています。
■デュアルOSタブレットは“政治的に”不可能?
なお、MWC2014ではインテルも似たような構成のWindowsとAndroidのデュアルブートタブレットを披露しましたが、こちらは完全にAMI独自技術とのこと。さらにWindowsだけでなく、AndroidとUbuntu Linuxなど、Linuxとのデュアルブートにも対応しているとのことです。
このようにOSのデュアルブート自体は“技術的には”可能となっているものの、実際に商品化できるかどうかは、別の問題があるとしています。その理由としてブース担当者は、マイクロソフトとグーグルの間に存在する“政治的な”問題が障壁となっていることを挙げています。
たとえば、Windowsタブレットは一般に、Windowsロゴのボタンを搭載していますが、このようなタブレットにAndroidをインストールしてもグーグルの認定要件に通らず、Google Playを利用できないとのこと。
↑WindowsタブレットにAndroidをインストールするのは、グーグル的にはNGという。
このようにデュアルOSタブレットの商品化にあたっては、両社のビジネスモデルや保有する特許なども絡んでくるため、想像以上にハードルは高いという印象を受けました。
■タッチ操作できるWindows8風のBIOSも
ほかにもAMIブースには、Windows8のスタート画面のようなユーザーインターフェイスを搭載した、最新のBIOSが展示されていました。
↑Windows8のスタート画面を模した、BIOS画面。タブレットのBIOSをタッチ操作で設定するといった利用シーンを想定しているという。
↑チャームバーも再現するなど、妙に凝っている。これらはPCメーカーの要望に応じてフルカスタマイズに応じるとのこと。
最近のBIOSはマウス操作に対応したり、グラフィカルなUIを採用するものも珍しくありませんが、それらとは一線を画すインパクトがありました。まさにタブレット時代にふさわしい、タッチ対応BIOSといえそうです。
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
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