アップルの本社が、クパチーノの“Infinity Loop(インフィニティループ)”にあることは、アップルという会社に少し興味がある人ならご存知でしょう(実際にこの名称が正式な住所でもある)。その本社社屋を、数キロ先の広大な用地に移転して円盤型の巨大建造物をつくろうとしている、ということも比較的有名な話だから聞いたことがあるかもしれない。
さて今回は、僕と一緒にその新社屋予定地を訪問することにしよう。あなたはホテル近くのHertzでネット予約した7人乗りバンの助手席に乗り(借りられるものがこれしかなかった)、iPhoneのGoogle Mapアプリで行き先を確認し、ひたすら南西を目指す。
WWDCが開催されているサンフランシスコ中心部からクパチーノキャンパスへは、ハイウェイをひた走って約74キロ。小一時間程度のドライブだ。
フリーウェイ101号線から280号線に入り、あとはひたすら南東方面に走っていくだけ。周囲の風景は、茶色っぽい草と木々に覆われた丘陵地帯。乾いたカリフォルニアならではの光景が広がっている。
ちなみに、現在のクパチーノキャンパスと、新キャンパスの位置関係は、距離にしてわずか2.6キロ。ひとつ向こうのハイウェイ出口という近さだ。
↑現社屋は“インフィニティループ”と呼ばれている左下の建物。新社屋は、ハイウェイを挟んだ右隣という位置。その気になれば歩ける距離だ。 |
45分後、あなたはハイウェイの“Wolfe Road”出口を出てノース・ウルフ・ロードを左折し、高い建物ひとつないエリアに出る。そこから1分ばかり走ると、進行方向右側に緑色の工事用壁でおおわれた広大な一帯が出現する。そこが、アップルの新社屋、通称『Apple Campus2』の建設予定地だ。
↑人の背の高さの3倍近くもある緑の壁が一帯を覆っている。近隣住民には説明パンフレットなども配布されており、地域全体で建物の存在が認知されている。 |
広大な建設予定地は71万平方メートルあり、とても歩ききれないほどに広い。きっと電動カートか何かで移動するのだろう、とあなたは思う。
この広い土地は、“プランアーリッジ通り”で南北に分断されている。あなたは当然、そこを通ってみようと思う。クルマで通りをしばらく走ると、工事用車両の出入り口が見えてくる。
↑入り口付近には警備員が立ち、通行車両を誘導している。気候の良い地域で炎天下なので、かなり暑い。 |
出入り口が近づくと、あなたは一時停止信号機の脇に“Hewlett Packardドライブウェイ”という看板を見つける。それが、この場所にかつてHP社のオフィスがあったことを示している。
↑一時停止信号の脇に、HPの看板がみえる。以前ここには巨大なHPのオフィスがあった。 |
信号で止まる間、あなたはしっかりとゲート内の敷地の様子を見ることができる。けれども次の瞬間、少しがっかりするハズだ。工事用壁の上端から覗く砂山と、土砂運搬車輛が舞い上げる土埃ばかりだからだ。
↑工事用壁が途切れたゲートのとある部分は、このように道路より高い山になっていた。 |
↑別のゲートからは奥の方まで見渡せる。画面右端には、積み上げられた土の山が見える。残土なのか、土地自体に土を盛ってしまうのか、建築資材なのかは不明。 |
ここは今、数ヵ月かけて、やっと古い建物を更地にしたばかり。円盤状の社屋の姿は影も形もない。Apple Campus2の完成は2年後の2016年だ。
プルネリッジ通りをUターンして、元のノース・ウルフロードに戻る。右折して数十メートル進むと、歩道が途切れたエリアにひとつの看板がある。それが、冒頭にあったこの表示。
↑アップルが立てたものではなく、クパチーノ市の建築のお知らせのようだ。こんな形の巨大な円盤状の建築物含む全建物のなかで1万3000人が働く予定。 |
看板の向かい側には、寂れたショッピングセンターがある。クルマを停めて建設予定地を眺めるにはちょうどいい場所だ。あなたと仲間はそこでクルマを停め、10分ほど休憩する。空は雲一つなく、年間300日近くが晴れと言われる恵まれた気候を肌で感じる。昼が近づく。
↑ショッピングセンターを背に、Campus2建設地の壁を見たところ。視界いっぱいにグリーンの壁が広がる。 |
↑ショッピングセンター。下町のショッピングセンターといった雰囲気が濃厚だが、Campus2オープン時にはおそらく新しいレストランなどがオープンするのだろう。 |
↑Campus2の脇を通るノース・ウルフロードは道路工事中。工事車両が通ることもあり、渋滞気味。 |
誰から言い出すともなく、クルマに乗る。そしてあなたと仲間は、50分前に通って来たフリーウェイをサンフランシスコ市内目指してまた戻っていく。
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