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WWDC2014から予測するAppleの新ハードウェア by 本田雅一

2014年06月05日 07時00分更新

 いやぁちょっと待ってよ、ハードウェアに関連するような発表は、ほんの1ミリでさえなかったじゃないの……。とはいうものの、下請け仕事の僕らが仕事を断る権利を行使するには、相当な勇気がいるもの。

 鬼の形相の週アス副編のACCNを前にして「喜んでお引き受けいたします」と言ってしまった手前、なんとかかたちにしなきゃいけないので書き進めておりますが、今回のWWDCで発表されたiOS8、OS X Yosemiteの機能からハードウェアを連想させる何かがあるか? というと、どう考えてもない。

MacのラインアップがYosemite登場で変わる?

WWDC2014
↑OS X Yosemiteでは、iOS7に似たフラットなUIが搭載される。

 たとえばOS X Yosemiteを見ていると、iOSとの親和性が高まっていること以外にも、通知センターの改良などiOSから持ち込まれた部分など、あちこちに”フルスクリーン指向”を感じるかな?という印象はある。基本的にアプリがフルスクリーン動作でしか動作しないiOSから、情報の通知、表示の手法を持ち込んでいるので当たり前と言えば当たり前だが、なんとなく”小さめの画面でも生産性が高そう”という印象を受ける。

WWDC2014
↑現行のMacBook Airは、11インチと13インチの2モデルだが、Yosemite登場時にはラインアップが変わるかも。

 現在のMacBook Airには11インチモデルと13インチモデルがあり、可搬性ならば11インチ、生産性を求めるならば13インチと、用途によって異なるモデルを選ぶことが想定されているように思う。しかい、OS X 10.10で小画面での生産性が高くなるならば、あえて2つのモデルを用意するのではなく、12インチで13インチ並の生産性と11インチ並みの可搬性を両立する方向の商品企画も考えられると思う。液晶パネルのベゼルサイズを詰めれば、11インチモデルに毛が生えた程度の12インチモデルを作ることもできるだろう。

WWDC2014
↑Broadwellと呼ばれていたIntel Core Mプロセッサーは、Haswellに比べて熱設計電力が60%も低くなっている。

 しかも、WWDCの開催と前後して、インテルが台湾で第4世代インテルCoreアーキテクチャーのIntel Core Mプロセッサーを発表したばかり。Intel Core Mプロセッサーは、「Broadwell」と呼ばれていたここ数年のインテルCoreプロセッサーから1世代進んだ内部設計を採用している。

 インテルがCOMPUTEX Taipeiの記者会見で語ったところによれば、Broadwellは第4世代インテルCore(Haswell)に比べて熱設計電力(搭載コンピュータのサイズ、薄さを決定づける発熱の目安)が60%も低い。その上、ピーク性能は20〜40%高くなるというから、これをアップルが採用しないはずがない。

 Intel Core Mを搭載したリファレンスデザイン(インテル自身が設計した基準となるパソコン設計の例)は、タブレットとノートPCの両用タイプ(いわゆる2-in-1)に12.5インチ液晶パネルを搭載して7.2ミリの薄さと670グラムの重量だ。

 ここまでドラスティックに消費電力(=ハードウェアのメカ設計で重要なバッテリ容量や発熱などの条件)が変化するのだから、Core2 Duo時代に設計されたMacBook Airの設計がそのまま引き継がれるとは考えにくい。

 かねてより12インチサイズのMacBook(Airかどうかはわからない)が噂されているが、どんな画面サイズになったとしても、その姿は大きく変化したものになるだろう。

 パソコンメーカーとしてのアップルの強みは、OSとハードウェアの両方を自社で設計し、ハードウェアに合わせてOSを、OSの新機能に合わせてハードウェアの設計をすり合わせることが可能な点である。

 個人的には、その強みを最大限に発揮して、生産性と可搬性を両立した決定版とも言えるモバイルパーソナルコンピュータを提案してほしい。ちなみいIntel Core Mプロセッサーの登場は、今年の年末商戦ごろとのこと。OS X 10.10のリリース予定と極めて近い。

次期iPhoneで気になる3つのポイント

 もうひとつはiOS搭載機、すなわち次のiPhoneと次のiPadだが、こちらは本当に手がかりがない。噂どおりに5.5インチモデルが登場すれば、バッテリー容量にやや余裕が生まれるため、これまでのiPhoneよりも一段高性能を狙ったハードウェアとし、それに合わせた新機能やアップル謹製の新アプリなども考えられるだろうが、こればかりはよくわからない。そのため、ハードウェア予想にはならないが、個人的にどうなるのかな?と注目している点が3つあるので、ここで書いておきたい。

 1つ目はHealthアプリとHealthKitに絡んで、どこまでこの分野をプラットフォーム化しようとしているのか。現時点ではiPhone内に追加の生体センサーなどが搭載されるのかどうかなどはわかっていないが、Healthアプリに絡んで何らかの行動履歴や生体情報を取得するハードウェア上の仕組みが用意されるかもしれない。

WWDC2014
↑WWDC2014で発表された「Health」アプリとAPIの「HealthKit」。サードパーティーの各種ライフログデバイスのデータを1アプリに集約可能になる。

 それら追加のセンサーなどハードウェアの仕組みを導入したうえで、OSとしても多様なウェアラブルセンサーにアップルが対応していくとしたら、ソニーモバイルがやろうとしているSmartWearコンセプト(こちらはHealthだけでなく、エンターテインメントにも向いているけれど)やサムスンのGalaxy Gearにも大きな影響を与える。

WWDC2014
↑サムスンのスマートウォッチ「Gear 2」。OSは、AndroidではなくTizenがベースになっている。

 2つ目は複雑化が進むであろうLTEネットワークの状況に、どう柔軟に対応していくのか。ご存じのようにKDDIがLTEのキャリアアグリゲーションに対応。時間の問題で、どのキャリアも複数の通信周波数帯をひとつにまとめて扱うようになる。

 しかもLTEで使われている周波数帯は地域ごとにバラバラ。今年、iPhone6と呼ばれる製品が出るとして、それがどこまで各キャリアのLTEネットワークにフィットしたものになるのか?

WWDC2014
↑auのキャリアアグリゲーションの仕組み。異なる2つの周波数帯の電波を束ねて高速なLTE通信を可能にする。

 Android端末は、キャリアと共同開発されているものが多いだけにiPhoneの端末としての競争力にかかる問題だ。

 3つ目に、あまり大きなネタではないが、iPhoneの筐体背面が金属なのか否か。アップルはNFCに興味を持っていないように思えるが、筐体背面が電波を通すものになるなら、NFCを検討している証拠では?と思ったりするからだ。

『MyBeacon touch』
↑アプリックスIPホールディングスがリリースした接触型のiBeacon端末。NFCのようにかざして利用できる。iBeaconはBluetoothなので既存の金属筐体でも問題はないが、NFCを搭載するとなると背面パネルの素材に金属は使いにくくなる。

 ということで、予想になっていないじゃないか!という苦情は、ぜひACCNにしていただくとして、新しいMacと新しいiPhone。年末に向けてまだまだ時間はあるので、ゆっくりと予想をしながら楽しみに発売を待つことにしよう。

WWDC2014まとめはこちら

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