週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

超宇宙&超深海ブースで超本物の宇宙船と深海調査船を目撃|ニコニコ超会議3

2014年04月28日 18時30分更新

 宇宙航空研究開発機構 JAXA協力のもと展示された超宇宙ブース入口では、ロシアのソユーズ宇宙船用“ソコル”宇宙服と、H-IIBロケットの模型がお出迎え。

超会議3 JAXA
↑ソコル宇宙服は、5月14日までISSでコマンダーを務める若田光一宇宙飛行士仕様とのこと。H-IIBロケットは国際宇宙ステーションISSの補給船『こうのとり(HTV)』を運んでいるロケットだ。今年度はHTV5号機が打ち上げられる予定(時期未定)。
超会議3 JAXA
↑JAXA広報部の名村栄次郎さんが着用姿を披露。カッコイイ!
超会議3 JAXA
↑後ろ姿は紐止め仕様。レプリカです。
超会議3 JAXA
↑宇宙飛行士のブルースーツ、オレンジスーツの着用体験コーナー。肩のミッションパッチは日本人宇宙飛行士のこれまでのミッションに合わせて1点ずつ違う。

 ブース内には、今回の目玉ともいえる高さ5メートルのロケット部品、フェアリングを展示していた。これは、H-IIAで実際に打ち上げられ、太平洋上に落下して回収されたホンモノとなる。

 鉛筆キャップのようなカタチをしていて、人工衛星を大気圏の熱や振動から保護するためのカバーの役割を担っている。大気がほとんどない高度100kmを超えるほどの高さまでロケットが到達すると、2つに割れて落下する。アルミの薄板で、同じくアルミのハニカム構造を挟んだ厚さ5cmほどの材料でできており、水よりも比重が軽い。ロケットの各段、補助ブースターなどほとんどの部分は海に沈んでしまうが、フェアリングは打ち上げ後も海上を漂い、日本付近に戻ってきて回収される。

超会議3 JAXA
↑これがH-IIAロケットで実際に打ち上げられ、回収されたロケット先端のフェアリング(の一部)。
超会議3 JAXA
↑「これは何?」との問い合わせがあったとのことで、初日午前に急遽このように注意書きが追加。
超会議3 JAXA
↑各種表示が描き込まれている。
超会議3 JAXA
↑回収時にできた傷。表面はアルミの薄板なので、ハンマーなどで穴をあけることができ、回収用フックなどを打ち込むとのこと。

 JAXA宇宙輸送本部のエンジニア、伊海田皓史さんによれば「フェアリングが落下するのは、日本の近海、小笠原の西側付近。その後、海流に乗ってぐるっと沖縄付近まで戻ってきます。よく見つかるのは、沖縄付近の宮古島、石垣島のあたり。打ち上げ射場の種子島まで戻ってきたこともありますよ」とのこと。落下時に海面へのぶつかり方によっては、破損して破片の状態になることもあれば、原型をとどめてきれいな形でみつかることもあるとのこと。最近では、ほぼ100パーセント回収できるそう。

超会議3 JAXA
↑フェアリング裏側その1。
超会議3 JAXA
↑フェアリング裏側その2。
超会議3 JAXA
↑フェアリング裏側その3。フェアリング接合部。打ち上げから回収まで1~6ヵ月ほど海上を漂う。
超会議3 JAXA

 超会議から約2週間後となる5月の14日には、日本人宇宙飛行士で初めて国際宇宙ステーション(ISS)のコマンダーを務めた若田光一宇宙飛行士が地球に帰還する予定。ロシアの有人宇宙船ソユーズの帰還カプセルに乗り、カザフスタンの基地に降りるのだが、この帰還カプセルの訓練用模型も展示されていた。1分の1の実物大で、JAXA坂下哲也さんによれば、内部はほぼ実物と変わらないという。最大の違いは、「帰還後には一面が黒こげ」になっていることだとか。

超会議3 JAXA
↑訓練用はつるりときれいだが、再突入後は全体が焦げて真っ黒になるとのこと。
超会議3 JAXA
↑こちらが突入面。実際には、“アブレーション”と呼ばれる大気圏突入時の熱を下げる素材が塗られているという。
超会議3 JAXA
↑5月24日(土)12時5分~12時20分(日本標準時)に打ち上げを予定している、陸域観測技術衛星『だいち2号(ALOS-2)』のミニ模型も。

 JAXA宇宙輸送ミッション本部の伊海田皓史さん、坂下哲也さん、広報部の名村栄次郎さんの3人でトークショーが行なわれた際には、背後のフェアリングがプレゼンテーションを表示するスクリーンとして大活躍。

 また、午後からは、有人潜水調査船『しんかい6500』を展示するお隣の超深海ブースより、JAMSTECの高井研 プログラムディレクターと櫻井利明指令を迎え、宇宙を目指すJAXAと深海を目指すJAMSTECの合同トークバトルが開催された。

超会議3 JAXA
↑JAXA坂下さん(左から2番目)、伊海田さん(中央)、JAMSTECの高井さん(左から2番目)、櫻井さん(左)。

 JAMSTEC高井プログラムディレクターが「地球は水の星というけれど、海は地球のごく表層を覆っているとても薄い水の層。地球より小さい木星の衛星エウロパよりも、地球の水の方が少ない。こんなに薄い海だからこそ、多様な生物が存在する。海にはそれを知りたいという探究心、資源の宝庫という実利、全てがそろっている」と語ると、JAXA 坂下さんも「地球はこの薄い大気と水で、生物にギリギリセーフの条件を保っている。わかっていないことはまだたくさんあり、JAXAは宇宙からその解明をめざす」と応じ、未知の世界への知的探求に対してそれぞれの立場から魅力を語った。

 また、高井ディレクターは、宇宙と海をつなぐ探査目標として、土星の衛星“エンケラドゥス”、木星の衛星“エウロパ”、“ガニメデ”、“カリスト”、水蒸気が噴出する小惑星“セレス”など、太陽系で海を持つ天体を“オーシャンズ X”と紹介。

超会議3 JAXA
↑JAXA・JAMSTEC合同の地球外海洋探査計画!!!

 生命の起源の探究にもつながる、JAXA・JAMSTEC合同地球外海洋探査への期待を語ってトークバトルを締めくくった。

 JAMSTECの超深海ブースでは、こちらもホンモノの『しんかい6500』を展示。

超会議3 JAXA JAMSTEC
↑前面の投光器、マニピュレーターの操作デモンストレーションでは人だかりが。
超会議3 JAXA JAMSTEC
↑ターゲットはツノナシオハラエビ、スケーリーフット、ゴエモンコシオリエビなど、海底の生物や海底鉱物資源のサンプル。
超会議3 JAXA JAMSTEC
↑前面の投光器、カメラを近寄って撮ってみた。カメラは1回の調査航海で数千枚は撮影するという。
超会議3 JAXA JAMSTEC
↑『しんかい6500』は数日前に調査航海から戻ったばかり。マニピュレーターには海底の泥が残っていた!
超会議3 JAXA JAMSTEC
↑サンプルを採取するアーム部分“マニピュレーター”。ボトルのお茶も持てて、来場者にお茶をサービスしてくれました。
超会議3 JAXA JAMSTEC
↑26日は自民党、石破幹事長が『しんかい6500』コックピットを訪問。
超会議3 JAXA JAMSTEC
↑外側からのぞき窓を通して視察の様子がうかがえた。

 余談だが、超宇宙ブースのおとなり、自衛隊・在日米陸軍ブースのアパッチをJAXA有人宇宙ミッション本部の坂下さんが写真におさめていたので話しかけてみたところ、「飛ぶものってカッコいいですよね……」と笑顔で返してくれたのが印象的だった。

超会議3 JAXA
↑ロケット部品、探査船、戦闘機がいっぺんに(しかも超間近で)見られたニコニコ超会議3。

 そのほか、ニコニコ超会議3のニコニコ学会βブースでも、宇宙研究会の発表や、宇宙エレベーターのクライマーなどが見かけられたので紹介しておこう。

超会議3 ニコニコ学会β
↑これは! 昨年の宇宙エレベーターチャレンジで世界初の1000m上昇を達成した宇宙エレベーターのクライマー『モモンガ5』!
超会議3 ニコニコ学会β
↑ミニクライマーの操作デモンストレーションも。来場者が操作可能だった。
超会議3 ニコニコ学会β
↑こちらも宇宙研究会に展示されていた作品。
超会議3 ニコニコ学会β
↑NASAやJAXAの宇宙オープンデータを、魚眼レンズを通して左の写真にある球形のミニスクリーンに投影するというもの。

■関連項目
ニコニコ超会議3
JAXA|宇宙航空研究開発機構
JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります