マイクロソフトへ買収されるノキア、そのノキアが突如発表したスマートフォン『Nokia X』『Nokia XL』はAndroid端末ながらも専用UIを搭載したノキアならではのスマートフォンになっています。ノキアの最初にして最後となるAndroidスマートフォン、果たしてどんな製品になっているのでしょうか?
↑最近のノキア端末でおなじみのパッケージ。
Nokia XのパッケージはノキアのスマートフォンのLumiaシリーズやフィーチャーフォンのAshaシリーズ同様、ノキアブルーを基調に端末写真が印刷されている最近ではおなじみのもの。Nokia XのUIはWindows Phoneライクなものなので、パッケージをぱっと見るとWindows Phoneなのかな?と一瞬思ってしまいます。
↑コンパクトでカラフルな本体。
Nokia Xの本体サイズは115x63x10.4ミリ。ディスプレイは4インチ480x800ピクセル。本体の大きさは片手ですっぽりと持てる小さめのサイズです。フロント部分にはハードキーは無く、画面下にソフトキーがあるのみ。そのソフトキーも矢印をデザインしたシンプルなものになっています。
↑カジュアル感ある背面仕上げ。
本体の裏を見ると、側面と一体化されたカラフルなボディーに覆われています。Nokia Xの本体カラーはベーシックなブラック、ホワイトに加え、ブルー、イエロー、レッド、グリーンの全6色。このあたりはLumiaシリーズ同様「あ、ノキアのスマートフォンだ!」と一目でわかるつや消しのカラーリングですね。
↑側面もすっきりしたデザイン。
本体は右側面にボリュームボタンと電源ボタン、左側面にはボタン無し。そして本体の下部にマイクロUSB端子、上部にヘッドフォンコネクタを備えます。こうしてみるとプラスチックの質感とカラーがうまく活かされており、安っぽさは感じられません。
↑電池カバーはそのまま交換式の本体カバーに。
本体を覆うカラフルな電池カバーはそのままはずすことが可能。このカバーを交換することで他の色にチェンジすることが可能です。実は今回も買ったのはホワイト版。一緒にグリーンのカバーを買って着せ替えたのです。このあたりの交換カバーシステムはノキアは大昔の機種から対応していますが、Nokia Xのターゲットとする新興国や途上国では手軽にイメチェンできるとあって人気になりそうです。
↑マイクロSIMx2のデュアルSIM仕様。
Nokia XはデュアルSIMに対応。SIMスロットは片方がW-CDMA/GSM、もう片方がGSMに対応しています。残念ながらデュアルW-CDMAではないので、日本や韓国などでは片側のSIMしか利用できません。またW-CDMA対応のSIMスロットは固定なので、両方に3GのSIMを入れて切り替えて使う、ということもNG。まぁこのあたりは前述したように新興国などがターゲットの製品なので、片側が2Gのみでもユーザーにとっては困らないのでしょう。
↑さっそく起動。
SIMを2枚入れて起動すると、おなじみのノキアロゴが表示されます。昔のノキア端末ならば手と手をつなぐアニメーションが出てきたのですが、さすがにもうそれの復活は無いようですね。まもなくこの画面も“Microsoft Mobile”に変わっちゃうんでしょうか。
↑Windows Phoneのようなアイコンの並び。
起動されるとアイコンの並んだスマートフォンらしい画面となります。ですが一般的なAndroidスマートフォンとは異なり、アイコンの形状はタイル状で横に3つがつながったような表示となります。タイル形状が若干異なるものの、これはノキアのWindows Phoneライクな外見です。Nokia XシリーズはノキアのLumiaシリーズの下位モデルという位置づけなので、ルックスをなるべく似せているのでしょう。また画面下の矢印キーですが、一回タップすると“戻る”、長く押すとこのホーム画面に戻ります。
↑基本操作その1。左右スワイプでスリープ解除。
Android OSを採用しながらAndroidっぽくなUIのNokia X、他の操作も独自のインターフェースを搭載しています。ロック画面の解除方法も、画面の外側から指先をスワイプすることで行います。この操作は左右どちらから行ってもOK。実はこのUI、以前ノキアが販売していたMeeGo OSスマートフォンでも採用されていたもので、それが復活したものなんです。
↑基本操作その2。画面は上下スクロール。
Nokia Xのホーム画面はインストールしたアプリのアイコンがタイル状に並びます。ホーム画面にはショートカットやウィジェットを置き、インストールアプリはアイコンの並ぶメニュー画面と2つの画面を切り替えて使うAndroidスマートフォンとはこのあたりのUIも異なります。入れたアプリはタイルアイコンが追加されていきます。アプリを探すときはホーム画面を指先で上下にスワイプすれば画面をスクロールすることができます。
↑基本操作その3。左右スワイプでタスク一覧へ。
さてAndroidスマートフォンならば、最近使ったアプリをタスク一覧としてすぐに呼び出せます。Nokia Xの場合はホーム画面で画面の右、あるいは左からスワイプするとタスク一覧画面が表示されます。左右にスワイプしてアプリ一覧を呼び出し、ちょっと前に使っていたアプリへの切り替えもすぐに行なえます。
↑基本操作その4。アイコンカスタマイズはWindows Phoneと同じ。
そしてタイルアイコンのカスタマイズはNokia Xならではの機能。タイルを長押ししてそのままスライドさせると好きな位置へ移動させることが出来ます。またタイルの大きさは小さいタイル4枚分の大型サイズにもワンタッチで変更できます。
↑ところどころAndroidらしさも顔を見せる。
一方で設定画面などはAndroidとメニューのレイアウトなどはかなり類似しています。このあたりはカスタマイズせずベースをそのまま利用しているのでしょう。なおアカウント設定を見ると見事にGoogleがありません。“非グーグルなAndroid”であるNokia Xならではなのでしょうが、一方でマイクロソフトのアカウントが登録できないなど若干ちぐはぐさを感じるところも。
↑デュアルSIMの設定も可能。
デュアルSIMはどちらでデータを使うか、片方をオフラインにするか、といった設定が可能。海外だと2枚のSIMを入れて自在に使い分けることができますね。但しやはりSIM 1とSIM 2、どちらも3Gに切り替えできるとなおよかったのですが。
↑アプリはストアからダウンロード。
さてNokia XにはGooglePlayが搭載されていません。その代り“ストア”アプリがインストールされています。ここからAndroid向けの各種アプリをダウンロードできるようになっています。メジャーどころはある程度用意されているようですが、検索しても見つからない場合は、なんと別の独立したアプリマーケットのアプリの一覧が表示されます。ノキアの用意するアプリマーケットに欲しいアプリが無い場合は、それらを落として自分で探してね、というわけです。
↑apkもインストール可能、日本語入力もOK。
またアプリマーケットを使わずとも、直接apkファイルをインストールすることも可能。なおファイルマネージャーとして『ASTRO File Manager』もプリンストールされています。日本語入力関連のアプリはNokia Xのストアには入っていませんが、何らかの方法でapkファイルを入手してインストールすればこのように日本語も打てるようになります。
↑ソーシャルアプリは普通に使える。
FacebookやTwitterくらいしか使わないなー、って人ならプリインストールされているそれらのアプリでも十分使い物になります。コンパクトな端末ですし、SNSのビュワーとして使うのもよさそう。
↑ブラウザも普通に動く。
もちろんブラウザも入っていますから普通にWEBページの閲覧も可能。なおタイルアイコンの大きさを変えられる説明写真にあるように、ブラウザは別途Operaも入っています。
↑地図はHere、検索はBingやGoogleを利用。
そしてNokia Xがノキアらしいな、と感じるのは地図サービスがGoogle MapsではなくノキアのHereになっていること。旧Nokia MapsであるHereは日本のデータはすっからかんなのが残念ですが、海外だと情報量は結構多くてそこそこ使えます。また検索サービスはマイクロソフトのBingだけではなく、グーグルも使えるようになっています。
↑カメラはメモ程度と考えたほうがよさそう。
3メガピクセルのカメラはオートフォーカスには非対応、またフラッシュも搭載していません。写真の撮影結果は全体的にコントラストが少なく、近距離もやや苦手とします。食事の写真を撮るよりも風景撮影などが向いているかもしれません。まぁ週アスPLUSを読んでいてNokia Xを買う方々は他にもスマートフォンを持っているでしょうから、Nokia Xのカメラはメモ用途くらいに限定して使うのがよいでしょう。
↑Antutuのスコアはスペック相応。
では気になるベンチマークを見てみましょう。Antutuのスコアは7000台前半と出ました。Nokia XはCPUがデュアルコア1GHz、RAM512MB/ROM4GBとスペックとしては2-3年前のスマートフォンといったところ。とはいえ1万円台前半で買える低価格品ということを考えたらベンチの結果は価格相当、ということが言えそうです。
↑お遊び用や2台目によさそうね。
ノキアが出すAndroid、ってことで過剰な期待をした人がいるかもしれませんが、このNokia Xのターゲットは先進国ではないのです。ですが価格は安く抑えられており、そして着せ替えできるカバーやデュアルSIMに対応するなど、新興国や途上国のユーザーが楽しんで使えるような仕上げになっているわけです。見た目だけでもカワイイですから、メインスマートフォンのサブに使うのも十分ありですね。なおRootを取ってGoogleサービスを入れる方法もネットに公開されているので、Androidスマートフォン化してお遊び用途に使うこともできます。ノキアにはこのXシリーズをこれからも定期的に出してほしいと思いますが、マイクロソフトへの買収後はそれもなかなか難しいかもしれません。“ノキア最後のAndroid”になるかもしれないNokia X、気になる人は速めにゲットしておきましょう。
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