Windows情報局ななふぉ出張所
開幕直前BUILD 2014注目ポイント解説 Windows Phone 8.1発表は?
マイクロソフトの年次開発者会議『BUILD 2014』が、2014年4月2日~4日(現地時間)の3日間、米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターで開催されます。ここではWindowsとWindows Phoneの次期OSアップデートに関する最新情報に加え、小型版SurfaceやLumiaシリーズの最新機種といった新デバイスについても期待が高まっています。
日本時間では今夜4月3日の午前0時半からキーノートの中継が始まりますが、直前に、見どころを復習しておきましょう。
↑3月27日のイベントで『Office for iPad』を発表した、マイクロソフト新CEOのサティア・ナデラ氏。今年のBUILDでは1日目のキーノートから登場しそうだ。 |
■出たばかりのWindows 8.1にアップデートが必要な理由
2014年2月に開催されたMobile World Congress 2014の前日には、BUILD 2014に先駆けてWindowsとWindows Phoneの次期アップデートの概要が発表されました。
この時点ではアップデートの登場時期が2014年春であること(Spring 2014であることから、S14 Updateと略されることも)、およびアップデートの内容が静止画のスライドで紹介されるにとどまっていました。すでに海外では“Update 1”とされる流出ビルドが出回っていることから、BUILD 2014では実機でのデモと、具体的な提供スケジュールの発表が期待できそうです。
↑2月にバルセロナで行われた記者向け説明会では、Windows 8.1向けアップデートの概要が明らかとなった。 |
2013年10月、Windows 8からわずか1年となる“ラピッドリリース”で登場したWindows 8.1は、ユーザーインターフェイスの改善やAPIの追加など多岐に渡るアップデートが施されました。その方向性は、Windows 8に対するユーザーの要望を反映したという位置付けとなっていましたが、2014年春のアップデートにおいてもその路線は基本的に引き継がれ、キーボードやマウスを中心としたユーザー体験の向上をメインに、デスクトップ利用の改善が予定されています。
マイクロソフトが2月のイベントで強調したのは、このアップデートが“Windowsにおけるタッチ操作の重要性を揺るがすことはない”、という点です。タッチ以外の操作方法でPCを使い続けている人がまだまだ存在するという現実を踏まえて、そのユーザー体験を底上げするという観点となっています。
Windows 8の発売後、タッチ対応のPCは徐々に増えてきたとはいえ、低価格のノートPCではタッチ未対応モデルがよく売れており、デスクトップPCでは、PC本体とディスプレーの買い換えサイクルが異なることから、今後数年間はタッチ非対応のディスプレーを使い続けるというユーザーも少なくないはずです。
さらに、現在のWindows 8には、“タッチに対応したPCのためのWindows”というイメージが残っていることから、タッチに関心のないユーザーは依然としてWindows 7を選択する傾向にあります。今回のアップデートにより、Windows 8.1がWindows 7に代わってあらゆるPCユーザー向けの次期OSとなれるかどうかが、見どころのひとつとなるでしょう。
また、Windows 8.1に対するアップデートはWindows RT 8.1にも同様に適用されることが分かっています。これに合わせて、Windows RT初の小型タブレットとみられる小型版Surfaceが登場するかどうか、にも注目したいところです。
↑海外サイトで出回っているSurface miniのデザインコンセプトイメージ(nik255)。DEVIANTART |
■Windows Phone 8.1の新機能に期待
Windows Phoneについても、2014年春のアップデート提供が発表されています。このアップデートでは、長らく待ち望まれていたVPNサポートなど企業向け機能の強化に加え、ハードウェア要件の引き下げとリファレンスデザインへの対応など新興市場を想定した内容が中心となっています。
それに加えてBUILD 2014では、Windows Phone OSのユーザーインターフェースの改善、ライブタイルや通知に関する新機能、Bluetoothやセンサーの新機能など、さまざまな新機能を搭載した“Windows Phone 8.1”の正式発表が期待できます。
ノキアの買収完了については、BUILD 2014での正式発表を期待していたものの、当初の2014年第1四半期というスケジュールには間に合わないことが分かっています。3月31日にマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏が送信した社内メール(関連サイト)でも、買収完了を4月末と見込んでいるとの言及があり、買収成立後にノキアの前CEOであるステファン・エロップ氏が、米マイクロソフト Microsoft Devices Groupのエグゼクティブ・バイス・プレジデントに就任することが発表されています。
日本のユーザーにとって気になるのは、果たしていつになったらWindows Phone 8端末が発売されるのか、という点でしょう。今回のアップデートに伴う新たなOEMパートナーとしても、残念ながら日本企業の名前は挙がっていません。
↑OEMパートナーの拡大が発表されたが、日本メーカーの名前は挙がらなかった。 |
最近ではMVNOの人気拡大もあるとはいえ、日本で新たにプラットフォームを立ち上げるには、大手キャリアの協力がまだまだ必要です。当面はキャリアに関心を持ってもらえるよう、Windows Phone自体の機能向上やアプリエコシステムの拡大、キャリア向け施策の強化を続けていくことが必要となるでしょう。
■将来を見据えた+αの発表はあるだろうか?
BUILD 2014は、WindowsとWindows Phoneを中心とした盛りだくさんの内容となることは間違いないでしょう。もちろんその背景には、サティア・ナデラ氏がCEO就任前から手がけてきた“クラウド”というキーワードがあり、BUILD 2014全体を通してのメインテーマも“クラウドとモバイル”になることでしょう。2日目のキーノートでは、Windows Azureから名称変更した“Microsoft Azure”が大々的に発表されると思われます。
ただ、個人的には、最近のマイクロソフトはスマートフォンやタブレットへの対応が後手後手に回っており、たとえ後発で優れた製品を投入したとしても、なかなか市場シェアを取り戻すことができない傾向にあると感じています。
そしてこれらに続く新カテゴリとして、有力な候補がウェアラブルです。グーグルはAndroid Wearを発表し、ウェアラブルデバイス向けのAPIのサポートやパートナーとの連携強化を図っており、将来に向けて布石を打ってきました。
WindowsやWindows Phoneはもちろん重要ですが、それに加えて、新しい分野への進出を予感させるプラスアルファの発表にも期待したいところです。
■関連サイト
BUILD 2014
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
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